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芽吹け 白球の夢

フィジー野球協会に用具を寄贈するJICAのボランティア

 中南米で、アフリカで、白球を追う子供たち。彼らが手にするグローブやボールは、日本からの善意の象徴だ。用具がなくて野球ができない国々にグローブなどを贈り、コーチを派遣する「世界の野球グローブ支援プロジェクト」が2年目を終えた。世界に野球の種を巻き、芽を吹かせようと、読売新聞社が独立行政法人国際協力機構(JICA)の協力を得てスタートさせた活動だ。

中南米へ アフリカへ

 2017年度は、グローブ、ボール、キャッチャー用具など、初年度(1649個)の3倍近い計4532個が集まり、ウガンダやパラグアイに寄贈された。

 ウガンダでは、でこぼこのグラウンドで、子供たちがテニスボールや折れた木を使って野球の練習をしていた。初めて目にする用具に、子供たちの歓声が沸き起こった。「ありがたい。グローブがあれば、安全に、思い切りプレーすることができます」。小学校のコーチたちが喜びを伝えてきた。

 西アフリカの内陸国ブルキナファソからは、12歳の少年の感謝の言葉が届いた。「野球をやりたい友だちがいても、用具がなくて誘えませんでした。みんなでできるのがうれしい」

日本に親近感

「用具を通じて日本に憧れを抱いている子供たちも多い」。フィジーで野球を教えるJICAのボランティアが報告する。「子供たちは野球用具が大好き。守備の練習なのにバットを離さなかったり、修理できないほどボロボロのグローブも欲しがったり。寄贈された用具はどれも手入れが行き届いていて、日本の野球少年の意識の高さに驚かされました」

野球用具を受け取った国々から届いたメッセージ

寄贈されたグローブで練習するウガンダの子供たち

五輪定着へ普及を

 野球は1992年から五輪の正式種目に採用されたが、2012年以降は外されている。種目として定着させるには競技人口拡大が急務だが、開発途上国の子供たちには、グローブなどの用具は高価で、指導者も不足している。そこで、日本から用具とコーチを届けようと、このプロジェクトが始まった。「野球・ソフトボール」がオリンピック種目として復活する2020年の東京オリンピックまで続ける予定だ。

「野球を愛する全ての人たちへの恩返し」がしたいと、元大リーガーの松井秀喜さんも賛同。プロジェクトのウェブサイトなどで「使わなくなったグローブなどがあれば、ご提供を」と呼びかけた。読売ジャイアンツ球場などで集まった用具も寄贈された。

「小学生の甲子園」と呼ばれる「高円宮杯全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」では、出場チームの選手や関係者からグローブが寄付され、贈呈セレモニーを巨人1軍戦後の東京ドームグラウンドで実施。マクドナルド・トーナメント予選に出場した八成野球クラブが、JICA青年海外協力隊事務局長・山本美香さんに手渡した。日本大学も、大学を挙げて用具寄贈に協力した。

 用具は現地で活動するJICAのボランティアを通じて手渡された。初年度はアルゼンチンなど5か国に、2017年度はスリランカ、フィジーなどアジア・太平洋地域、ガーナ、ケニアなどアフリカ、ニカラグアなど中南米の計12か国に贈られた。また、2月から3月にかけて、読売巨人軍が運営する「ジャイアンツアカデミー」の田中大二郎コーチがタイを訪れ、子供たちを指導した。

松井秀喜さんもプロジェクトに賛同する

マクドナルド・トーナメントで集まった用具の贈呈セレモニー

元プロ指導で「まず楽しむ」 ジャイアンツアカデミー田中コーチ

タイの学校5日間

チェンマイ・スポーツ・スクール野球部の部員たちを指導する田中大二郎コーチ

 まず、2月27日からの3日間は、スパンブリ―・スポーツ・スクール。首都バンコクから車で約2時間、中高一貫のスポーツ専門学校だ。野球部員23人とタイ代表チームの合同指導で、27日は送球や捕球の動作を細かく分けて丁寧に教えた。日本の元プロ野球選手の指導に選手たちも興味津々、贈呈したジャイアンツユニフォームと野球用具も大いに喜ばれ、田中コーチの不安は吹き飛んだ。28日、3月1日は、田中コーチ自ら守備の練習ではノックし、打撃練習ではボールを遠くへ飛ばす手本を見せた。

 3月2日、3日はタイ北部のチェンマイへ。2日はチェンマイ・スポーツ・スクールの野球部17人を指導。こちらでもユニフォームや長野県岡谷市早起き野球会から寄贈されたグローブなどを贈呈した。決まった回数を投げ手に打ち返す早さを競うトスバッティングなど、ゲーム性を取り入れた練習が行われた。

 3日はチェンマイ大学で誰でも参加できるオープンスクールを開催。前日指導した野球部のほか、その友人や、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の情報を見て駆けつけた野球ファン、現地在住の日本人親子など50人近くが集まった。野球が初めての人も多く、ボールに親しむところからキャッチボールまでを指導。「ヌン、ソン、サーム(1、2、3)」という田中コーチのタイ語の掛け声もすっかり板についた様子だった。最後は、中学生以上は紅白戦を、小さな子供たちは親たちのチーム相手に試合形式のボール投げを行った。  「タナカ、タナカ」「ダイジロー」。別れ際になると、スパンブリーでもチェンマイでも、田中コーチにサインをねだる子供たちの声が、夕焼けの空に響いた。

意欲「想像以上」

■田中コーチ「タイで野球が知られていないと聞いた時は正直不安でしたが、野球を楽しもう、上手くなろうという選手たちの気持ちは想像以上で、国の違いは関係ないと感じました。今回の指導をきっかけにもっと野球を好きになってレベルアップしてくれるとうれしいです。彼らの成長や、タイで野球が普及する様子をまた見に来たいです」

■スパンブリ―・スポーツ・スクール野球部キャプテンで代表チームにも所属するナッチャノン・センシー君(高2)「田中コーチに指導してもらえてとても嬉しかったし、上手くなれそう。チームメイトも皆喜んでいる。ぜひまたタイに来て教えてほしい」

■チェンマイ在住の清水龍太君(6)「野球は初めてだったけど、ボールを投げるのも、走るのも楽しかった。次は打つのをやってみたい」

[主催]読売新聞社 [事業協力]JICA [賛同企業]日本マクドナルド [協力]全日本軟式野球連盟、アンダーアーマー [特別協力]読売巨人軍

WEB登録締切 2019年10月30日(水)

野球用具の必着日 2019年10月31日(木)

寄付いただいた用具が多数となった際、募集を早期終了する場合がございます。

事前登録はこちら

【問い合わせ先】
世界の野球グローブ支援プロジェクト事務局 TEL:03-5577-3064(平日10:00~18:00)
主催:
読売新聞社
事業協力:
JICA
協力:
全軟連JABAアンダーアーマーNPO法人 松井 55 ベースボールファウンデーション合同会社EXP
賛同企業:
マクドナルド
JEEP
特別協力:
ジャイアンツ

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