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※掲載の肩書は取材当時のものです。

新学部・国際社会科学部の設置と高大接続

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現在、文部科学省が新時代にふさわしい高大接続の実現に向けて、高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的な改革を進める中、幼稚園から大学までを擁する総合学園・学習院は来春、学習院大学に半世紀ぶりとなる新学部、国際社会科学部を開設する。井上寿一・学習院大学長と平野浩・学習院常務理事が、新学部にかける期待や狙い、高大接続との連関性について語った。そのインタビューの模様をお伝えする。

*平成27年8月31日付けで学部設置が認可されました。平成28年4月、国際社会科学部を開設します。

中規模大学の新たな形を示す新学部

——来春、学習院大学にとって半世紀ぶりとなる新学部、国際社会科学部が開設されます。なぜ今、国際系の新学部なのか、そこにかける期待や狙いをお聞かせください。

井上 寿一(学習院大学長)

井上

新学部が誕生すると、学習院大学は実質上、学生総数1万人程度の中規模大学になります。新学部は、このような中規模大学としての学習院大学の新しい形を示す象徴的な存在になり、私たちの大学が向かうべき方向へと引っ張る“タグボート”のような位置付けになるものと考えています。では、なぜこの新学部は国際系なのか――。学習院大学は、100年以上続く学習院の中にあっては一番新しい学校です。学習院は歴史と伝統のある学校であると評価されており、その文脈で学習院大学も同じような見方をされてきましたが、他方で“古くさい”あるいは“閉鎖的である”などと、誤解される場合もあります。本来、学習院は国際性を重視してきた学校です。例えば戦前の一時期には“学習院の卒業生は世界で活躍すべき”との方針の下、外交官になることが推奨されたこともあります。

 歴史と伝統、そして国際性は表裏一体の関係として、長きにわたって学習院の特長でありました。しかし残念ながらこの特長は十分に伝わっていないのが現状です。そんな中、“国際”の名前を冠した学部ができるということは、メッセージとして非常にはっきりしたものがあり、国際系の新学部ができることによって、既存の学部も本来国際性を持っていたのだということを、改めて学外に向けてアピールできるものと期待しています。ひいては新学部が新しい学習院大学の方向性を示すと同時に、これまで持っていた学習院大学の魅力というものを、改めてご理解いただくことにもつながるのではと考えています。

平野

学習院では幼稚園から大学まで、グローバル化した世界で生きていける人材を育てることを念頭においた教育を実践してきました。同時に学習院では一貫教育を重視しており、その学びの最終段階である学習院大学に国際系の新学部が誕生するということは、学習院全体のグローバル化にとっても非常に重要なことだと考えています。大学に新しい学部が増えることで教育が拡散的になるのではなく、むしろそれがきっかけとなって学習院全体が、国際感覚や語学能力を含め全体としてレベルが上がっていくことに期待をしています。また外部に向けても、学習院全体の国際性をアピールするよい機会になるのではないでしょうか。

——現在、文部科学省は「高大接続改革実行プラン」を示し、高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜のいわゆる一体的改革を進めようとしています。これらの動きに対して、学習院はどう臨もうとしているのか、考えをお聞かせください。

平野 浩(学習院常務理事・学習院大学法学部教授)

井上

「高大接続改革実行プラン」は、我が国の教育にとって本当に重要な試みであり、決して一大学の問題ではなく、国を挙げて取り組まなければならない非常に大きな改革だと考えています。私自身、関係者の方々と意見交換をさせていただく機会があるのですが、その際、高校側は“大学が変わらないと高校の教育は変えられない”と訴え、一方で大学側は“高校の教育が変わらないと、それに見合った新しい入試改革ができない”と主張するなど意見がかみ合わず、理想はともかく、話が具体的に進んでいかない現状を目の当たりにしています。

 先日、文部科学省が小中高校の次期学習指導要領の原案を明らかにしました。そこでは日本史と世界史を融合して主に近現代史を学ぶ「歴史総合」を必修化するなど、非常に大胆な改革案が出てきています。当然、こうした改革に対応する形で高校教育、大学入試の形も変えていくことになります。これまでの歴史教育を抜本的に変えるような内容であり、高校と大学が本当に緊密に連携していく必要があるでしょう。幸いにも学習院大学には、系列の高等科及び女子高等科があり、長年にわたって信頼関係を築きながら、一貫教育の理念を守ってきました。また今年、東京都立戸山高校、私立順天高校と連携協定を結びました。戸山高校は文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクールに指定されており、また順天高校はスーパーグローバルハイスクールに指定されるなど、非常にユニークな教育を展開しています。学習院大学としてはこれらの高校と連携し、大学として高校の教育にどういうサポートができるのか具体的に考えていく中で、先端的な高校の教育現場をよく学ばせてもらい、それをもとに入試改革も進めていきます。もちろん、高校の側からも大学が持つ新しい知見をもとにして、高校での教育改革に生かせることがあるでしょう。系列の高校や連携協定を結んだ高校との緊密な連携の中で、学習院大学による「高大接続改革実行プラン」の形を示していきたいと考えています。

平野

学習院には「ひろい視野」「たくましい創造力」「ゆたかな感受性」という教育目標がありますが、今、高大接続という教育改革によって求められている人物像、育てるべき人間像は、これまで学習院が目指してきた人間像に非常に近いものがあると、私は考えています。例えば「ひろい視野」は、情報が氾濫するグローバル世界において、多くの情報を俯瞰しながらも適切な取捨選択ができる能力ということにつながります。また「たくましい創造力」は、自ら主体的に問題を発見し、解決していくために必要な力であり、もともと答えのないところに答えを見つけ出していこうというアクティブ・ラーニングの考え方と重なるところがあります。さらに、アクティブ・ラーニングでは学ぶ者の主体性が求められる一方、多様な人たちと協働して問題解決をしていくことも求められています。そうした学びの場では、自分と立場や考え方の違った人とも協力して問題解決に臨む必要があり、他人に対する「ゆたかな感受性」が武器になります。このように学習院の育てる人物像は、高大接続の議論の中から出てきているグローバル化に対応した人物像に重なるところが多く、その中で系列の両高等科との関係や外部の高校との連携も強めているところです。そういう意味で、学習院では高大接続改革実行プランへの準備も、着実に整いつつあるものと言えるでしょう。

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