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※掲載の肩書は取材当時のものです。

グローバル社会に必要とされる人材とは

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国際協力の意味を知るラオス研修

――学習院女子大学で学んだことが、世界で活躍する上でどのように生かされていくのか。ゼミや課外活動など、先生ご自身と学生との関係性の中から具体的にお聞かせください。

 学習院女子大学は、国際文化交流学部という国際系の一学部を掲げる大学ですから、私の専門である国際協力に興味を抱いている学生はたくさんいます。しかし、私が担当するゼミや研修に学生を募集する際には、あえて“国際協力に興味のない方こそ来てください”という姿勢を取っています。もともと“国際協力の舞台で働きたい”という意識のある学生は、自分自身で道を切り開くものです。一方、私自身は国際協力をもっと普通の活動にしたいという思いがあります。“グローバル”という言葉を特別なものとして捉えるのではなく、どんな人でも活躍できる仕事として国際協力を考えてほしいからです。

 現在、私は「国際コミュニケーション基礎・専門演習」や「ボランティア論」「国際開発論」などの講義を担当していますが、講義で学生たちに伝えられる内容は限定的です。ある意味、講義は興味を開拓するひとつのきっかけでしかありません。開発途上国での現状をどのように解釈し、またそれに対して何ができるのかは、自分自身で考え、学ばなくてはならないものなのです。極端なことを言えば、私が国際協力について知識として教えられるのは、本を数冊読み込めば事足りるもの。例えば、講義の内容について事実関係を確認するような試験問題を出せば、本学の学生にとってはお手の物でしょう。しかし、学問というものは、点数ではかるものではなく、その知をどのように現実社会と結び付けられるのだろうと自問自答してこそはじめて活きてくるのではないでしょうか。覚えた知識ではなく、学問によって新しい価値を創造できるような環境作り――それが私が着任して以来努めていることであり、そのための代表的な学びの舞台が「ラオス国際協力研修」です。

 2004年に立ち上げたこの研修は、学生自身がイニシアチブを取りながら、国際協力の意味について理解を深めていくことを目的としています。現地で何をし、何を明らかにしたいのか――学生たちが自分たちで考え、企画し、実行していくという研修のスタイルは、高校までのすべてを準備されてきた学びとは違って大きなチャレンジとなります。

 研修は春学期の授業の一環として4月に参加者を募集し、9月に10日ほどラオスの農村に滞在するというもの。毎年、学生たちはラオスの現状を調べることからはじめ、5か月間をかけてアクティビティーやワークショップを企画・実践していくことになります。例えば、昨年の研修ではラオス北部のノンカム村にホームステイをし、経済的な豊かさでは測れない「心の豊かさ」をテーマに掲げ、現地の方の暮らしぶりや考え方を探るワークショップや、子どもたちに遊びを通してお手伝いの大切さを伝えるアクティビティーなどを実施。さらにラオスから帰国後、日本の中学校・高校を訪問し、ラオスでの体験を通じて途上国における開発のあり方を考える「開発教育」とよばれる授業も行いました。

 研修内容はすべて、学生たちが企画し、実際に行ったもの。もちろん、研修として行うわけですから、明らかな間違いを正し、大きな方向性を示唆することはありますが、現地に入ってしまえば基本的に教員がやることは何もありません。現地の方々とのやりとりはもちろん、開発教育を行う学校との折衝なども、すべて学生たちに任せています。

 初めは頼りなかった学生たちが、数か月にわたる準備や実際の研修を通じて成長していく様子には、目を見張るものがあります。実際に見て、触れて、感じたラオスの人々とその「豊かな」生活が、彼女たちの心に何を残したのか――それを研修後に自分の言葉で語ろうとする学生たちには、国際協力のあるべき姿”が以前より着実に見えてきているように感じます。その成果は明らかです。学生が中学校・高校で実施する開発教育の授業は、見事に生徒たちをひきつけ、「また来年も授業お願いします」と教育現場のプロフェッショナルの先生方から声をかけられています。

 研修に臨むにあたり学生たちによく言っているのは、“何事も鵜呑みにしないこと”。国際協力の現場では、現地で暮らす人々の主体性を引き出す「参加型開発」がキーワードとなって久しいですが、文化や価値観が違う中、現地の人々の目線に合わせて開発を考えていくことは意外と難しいものです。教科書に書かれていることは、必ずしも開発の現場では正しくありません。常に“本当にこれで正しいのか”と自問自答し、自分なりに“あるべき姿”を思い描いた上で進めていく必要があることを、学生たちはまさに研修の現場で学んでいくことになります。

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