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※掲載の肩書は取材当時のものです。

開かれた〈知〉のコミュニティをめざして ~新学長が語る学習院大学のグランドデザイン~

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汎用性のあるスキルを身につける必要性

——2016年度の開設を目指した「国際社会学部」(仮称)の構想についてもお聞かせください。

 現在まだ構想中の段階なので、詳しいことは差し控えますが、新たに「国際社会学部」(仮称)を立ち上げるということは、今現在の学習院大学の姿を再認識していただき、率直かつ具体的に新しい方向を示す絶好の機会になるものと思います。

 国際社会学部はこれまでにないユニークな教育分野であると同時に、“グローバル学習院”を掲げる本学にとって、今後を占う試金石というべき存在になるものです。新学部が誕生すると学習院大学の学部は五つになります。そのすべてがこの目白キャンパスを拠点にするという利点を生かし、新学部が既存の学部と相互補完関係の中で協力し合いながら、相乗効果で学習院大学全体をよりよくしていくタグボートのような役割を果たしてくれるものと期待しています。

——これからの時代に学習院大学が必要とする“学生像”とはどんなものですか。

 世界は今、先行き不透明な時代を迎えています。日本も成熟した先進民主主義国になる可能性がある一方で、衰退に向かう不安を抱えています。こうした時代に必要とされるのは、どんな環境にあっても生きのびることのできる汎用性のあるスキルを身につけ、問題を発見し解決する能力ではないでしょうか。

 たとえば高校生までの勉強では、問題とは誰かに与えられるものであり、それを解いて、正解にたどり着くことが目的でした。しかし、これからの世界と日本が直面するのは、そもそも問題が何であるのかが分からない——そのような複雑で困難な時代です。

 問題が分からなければ、解き方も分からないわけですから、まずは問題がどこにあるのかを発見する能力が重要になってきます。また、発見した問題を単にマニュアルに沿って解決するのではなく、自分の頭で考える必要もあります。自力で問題を解決するには、汎用性のあるスキルを身につけるべきなのです。

 学習院大学の学部大学院にはそれぞれ専門分野がありますが、それらに共通する本質的な勉強をすれば、汎用性のあるスキルはきちんと身につくものだと思っています。ビジネスの世界に行きたいから経済学を学ぶというのでは、あまりに短絡的です。むしろ汎用性のあるスキルを身につける上で、専門は何でも構わないのです。

 大学で学ぶ専門とは、いわゆる資格試験で身に付けるようなものとは違います。どのような環境の中でも、ゼロから問題を発見し、それをどう解決していけばよいのかを自力で考えることができる——そんな能力を養うのが大学教育の本分であり、また学習院大学の得意とするところだと考えています。

——最後に読者向けてメッセージをお願いします。

 学習院大学は、特別な人のための大学だと思われているところがあるようです。正しくはそこで学ぶことで特別な人になる——そういう大学だと私は考えています。特別な人とは、先ほども述べたとおり、汎用性のあるスキルを身につけ、どんなところへ行っても自力でやっていけるような、そういう人を指しています。

 学習院大学には、歴史と伝統のある大学というイメージがあります。確かに旧制学校の流れを汲む学校法人としての「学習院」はそうなのですが、学習院大学自体は戦後にできた新制の大学であり、まだ新しい大学であるともいえるのです。

 「学習院」の歴史と伝統を生かしながらも、戦後に生まれた新しい大学として、学習院大学は積極的に新しいことを取り入れ、ユニークな教育と研究に取り組むことで評価されてきた部分があります。そうした側面を含めて、等身大の学習院大学を見ていただければ、ご理解いただけるものと確信しています。一人でも多くの人に学習院大学を目指していただき、この目白の杜のコミュニティで一緒に学んでいきたいと、強く思っています。

[2014.04.04]
プロフィール

井上 寿一 (学習院大学長)

井上 寿一 (学習院大学長)
1956年東京都出身。81年一橋大学社会学部卒業。86年一橋大学大学院法学研究科博士課程単位取得。89年・法学博士(一橋大学)、同年学習院大学法学部助教授。93年より同教授。研究テーマは近現代日本政治外交史。95年『危機のなかの協調外交』(山川出版社)で吉田茂賞、政治研究櫻田会奨励賞受賞。近著に『第一次世界大戦と日本』(講談社現代新書)がある。2014年4月に学習院大学長に就任。

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