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※掲載の肩書は取材当時のものです。

[特別鼎談]明日へ向かっての挑戦

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学習院の今とこれからを伝える「学習院TIMES」の開設を記念して、学習院大学長の福井憲彦氏、学習院女子大学長の石澤靖治氏、そして学習院大学の卒業生であるアナウンサー・神田愛花氏の顔合わせによる鼎談が行われました。世界が大きく様変わりをしようという時代にあって、大学教育の理念と方向性が改めて問われる中、「明日へ向かっての挑戦」をテーマに3人が熱く語り合った、鼎談の模様をお届けします。

大学自身の構想力が問われる時代

——今、大学を取り巻く現状をどう捉えるか?

福井 憲彦(学習院大学長)

福井
日本の教育のあり方は、小学校から大学まで、根本的に点検し直す必要があると、私は考えています。というのも、日本に限らず、今、世界は文明史的に見ても大きな転換期にあるからです。既存のパラダイムや考え方の下で、今までの知識を吸収しているだけでは対応できない場面が、様々な局面に出てきています。また、こうした変化に対して積極的に自分で引き受けて行動できるような人間が育たないと、日本の社会は立ちゆかなくなっていくとも感じています。大学教育に関していえば、若い人たちの自己の形成期における最終段階となるのが大学時代ともいえます。激動の時代を生きる彼らが、既存の枠組みの中で受け身に回っているようでは困ります。自らが何を問題として認識し、何を自分で引き受け、いかに行動すれば自分や社会のためになるのかを、自分の頭で考えられる人間を育てたいと思っています。文系か理系か、専門が何かとは別に、現代を生きる人間としての姿勢を身につけさせることが、大学教育の基本ではないでしょうか。
石澤
大学産業という観点からいうと、どの大学も完全に力勝負の時代になったと認識しています。これまでも少子化などに代表される様々な課題があって、それへの対応という形でやってきたわけですが、この先はもっと根本的なところを考え抜いていかなければ大学として生き残れません。それと同時に、今後はより明確な形で、社会におけるそれぞれの大学の役割や性格をはっきりと打ち出していかざるを得ないでしょう。近年のインターネットの爆発的な普及は知識社会の構造を根底から変えています。誰もが高度な知識を共有できる社会にあって、学生や社会に向けて何を打ち出し、訴えていけるのか、大学自身の構想力が問われる時代だと思っています。

神田 愛花さん(アナウンサー)

神田
確かに、最近は内向きの学生が増えているように感じますね。「大学としても積極的な学生を育てていきたい」というお話がありましたが、社会に出ると、“積極性”は教育で養われるものではなくて、自分自身の意識次第であると感じるんです。具体的にはどういう教育をすると、学生たちは積極的になれるとお考えですか。
福井
ひとつには、教室やゼミでの指導のあり方にも関わってくるでしょうね。ハーバード大学の『白熱教室』などがよい例ですが、学生同士の議論を含めて双方向型の討議授業といった設定には、積極性を養うヒントがあると思います。とはいえ、神田さんがおっしゃるように、確かに積極性とは実際の社会で色々な場を経験して身につけていくものでもあります。そういう意味では、もっと若いうちからそういう実際の経験をうながすような教育をやっていかなければならないんですよ。
石澤
幼稚園の授業参観などは、誰もが「はい!はい!」と手を挙げて非常に積極的に発言しますが、それがだんだん元気がなくなって、最後に大学に入学するというところでしょうか。そこでまず、大学が縮んでしまった学生たちの積極性をもみほぐして、活力のある状態にしてあげないといけない、という感じなんです。これはどこの大学も同じで、大学の任務というものはますます重くなっています。では、具体的にどうもみほぐすのか。これは福井学長がいわれたとおり、やはり色々な経験をさせる場を作ってあげることでしょうね。例えば、本学では海外研修の一環として、学生たちに開発途上国でのボランティア活動を行っています。大きく異なる環境と価値観に刺激を受け、異国で人の温かみに触れることで、学生たちは目を見張るほど成長します。
福井
大学側が用意しなくても、学生たちが自発的にボランティア活動をしていることも少なくありません。そこで、そういう学生たちに“ちゃんと見てるよ”ということを伝える必要もあります。自主的な海外ボランティアへの参加に対しては、大学の方である程度金銭的にサポートをする体制も整えました。要は活動をオープンにしてもらうことで、他の学生たちにも自発的なボランティア活動などを自然な形で波及させたいという狙いです。

緑あふれる都心のワンキャンパスで

——両大学の校風、キャンパスの魅力について

石澤 靖治(学習院女子大学長)

神田
私が学習院大学を志望したのは、あまり規模が大きい大学ですと、学生同士の顔が分からないまま卒業してしまうことがあるかも知れないと思ったからです。学習院大学は理系の学部も文系の学部も同じキャンパスにあります。実際に入学してみると、想像通りとても居心地のよい空間で、学生として守られている感じもあるのですが、実はみんな結構自由! 理系と文系の学生が自然に笑い合っている環境も魅力的でした。一般的に、“学習院の学生はおとなしい”イメージがあると思いますが、実際はまったく違いますよね。ものすごく活発! 自分の考えをしっかり持っている学生に囲まれて、ずいぶん刺激を受けました。私自身も、社会に出ると「学習院ぽくないね」といわれましたし、実は勤めていたテレビ局に学習院出身のアナウンサーが何人もいるのですが、それぞれがまねのできないこだわりを持って仕事をしていて、全員かなりユニークです。社会に出て改めて「学習院って、実は個性的な集まりだったんだな」と実感しました。
石澤
学習院女子大学も一般的には「お嬢様風」と見られているようです。よくも悪くも、女子大ということで学習院大学以上にガードされている大学ですから、そういった意味では親からすれば安心だとは思います。とはいえ私自身は、外部から適度に風が入るというのは大事なことだと考えていて、そのための工夫は色々としています。
福井
応援団のチアや吹奏楽をはじめ、学習院大学と学習院女子大学の学生が、合同でクラブ活動をやっているところは結構多いですよ。色々なタイプの学生たちが接し合うというのは重要なことですし、そういう動きはもっと活発にできたらいいなと思います。学習院女子大学にも同じことがいえると思うのですが、ワンキャンパスに色々なタイプの学生がいて、関心も方向性も様々な人間が交流できるというのは、すごく貴重なことだと思います。
石澤
改めて考えると、学習院大学も学習院女子大学も環境には恵まれていますよね。都心でこれだけ緑があって、学生と教員にもちょうどいい距離感がある。経営の話をすると、学生を増やしたり、規模を大きくしたり、あるいは社会の要請に従って学部を増やすのも必要なことですけど、規模とか環境という点からいうと、非常に安定したよい大学だと思いますね。
神田
社会人になって3~4年がたった頃に、卒業後初めて母校のキャンパスを訪れました。社会にもまれ、その時には自分も客観的に物事を見られるようになっていて、改めて「よい学校だなぁ」と思いました。今でも学習院大学でできた友だちは特別に仲がよくて、少なくとも月に一度は顔を合わせてお酒を飲みに行っています。自分の人生で何か悩んでいる時も、旧友たちに会って、あの頃の夢を語っていた自分を思い出す……すると、また一歩前に進めるということもありました。そういう意味でも、学習院に進学してよかったなと思います。
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