教職インターンシップを初の導入 中教審答申に対応したICT活用に向けて:オピニオン: 学習院TIMES 学習院大学:読売新聞オンライン

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オピニオン Opinion

※掲載の肩書は取材当時のものです。

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 今年1月に出された文部科学省中央教育審議会(中教審)の答申で、教育現場でのICT活用が強く打ち出された中、学習院大学では3月に新宿区教育委員会と教職インターンシップ協定を結び、4月からその運用を始める。同大学として初の取り組みとなる教職インターンシップの内容や教職課程におけるICT活用への取り組み、さらには歴史ある教職課程における情報公開のあり方と今後の展開について、担当の3教授にお話をうかがった。

教職インターンシップで、指導スキルと学生の自己肯定感を高める

 まずは、今年3月に新宿区教育委員会と締結した教職インターンシップ協定により、学習院大学で教職課程を履修する学生にどのようなメリットがもたらされるのかについて、締結に至った経緯も含め、同制度の運営を担当する文学部教育学科の岩﨑淳・教授に語っていただいた。

岩﨑淳・教授(文学部教育学科)

 最初に、教育実習と教職インターンシップとの違いについて説明します。教育実習は大学のカリキュラムのひとつとして、学生が3週間から4週間ぐらいかけて、学校の中で通常の教員と同じように児童・生徒と接し、さまざまな経験を積んでいきます。一方、教職インターンシップは、だいたい週に1回、1年ほど学生が学校に通い、たとえば補習授業やクラブ活動の指導などの手伝いをする、いわゆる就業体験、職場体験です。

 比較すれば、教育実習の方がより幅広く経験を積めるのに対して、教職インターンシップの活動は限定的です。「教育実習はハードルが高い」と感じている学生でも、教職インターンシップを前もって経験しておくことで、教育実習に臨むにあたり、スムーズに取り組むことができるというメリットがあります。

 一般的な話を申し上げると、近年、教員になっても早期に退職してしまう事例が全国的にみられます。また、教育実習中に教職に就くことを諦める学生もいます。理由はさまざまあるのでしょうが、そのひとつに、思い描いていた教師像と実際の教師の姿とに大きな隔たりがあることが挙げられます。教職インターンシップの活動を通して教育の現場を知り、「自分が教職に向いているのか、向いていないのか」と考えることは学生にとって重要なことです。そしてこの教職インターンシップのような教育現場を体験させることが、文部科学省より教員養成課程のある大学に求められています。

3、4年生が対象、悩みごと相談は大学で対応

 本学では、以前からこのような教職インターンシップの導入を検討しておりました。本学のある豊島区などで学校ボランティアとして学生が活動を続けてきた中、昨年、コロナ禍により、教育実習が短縮され、文部科学省の方針として、学校におけるボランティア活動が代替として認められることになりました。そうした折り、近隣の新宿区教育委員会のご担当の方から、ボランティアの機会をいただいたご縁で、今回、新宿区と教職インターンシップ協定を締結するに至りました。

 新年度の4月から告知・募集を始めて、5月から来年3月までの活動を予定しています。今年度は教職課程を履修する3年生以上を対象としています。希望者が新宿区教育委員会への申込書等に必要事項を記入し、それを元に派遣先の学校や活動内容を区が決定します。実際のインターンシップの活動では派遣先の学校の先生とともに、われわれ教職課程担当教員もサポートする予定です。

学力を高めると同時に、教員としてより視野を広める、経験を深める方向へ

 こうした教職インターンシップを経験することにより、先の自分の適性を考える機会を得るというメリットに加え、児童・生徒に対する指導のスキルアップを図ることができると期待しています。また、このような社会貢献を経験することは、学生自身の自己肯定感を高めることにもつながっていくと思っています。

 令和の新しい時代において、教員にも社会とのかかわりがより重視されるようになりました。これまでの教職課程では、学生個々の学力を高めることを柱のひとつとしていましたが、教職インターンシップの導入を契機として、今まで以上に視野を広める、経験を深める、そういった方向への新たなページが開かれると感じています。そうした貴重な機会を与えてくださった新宿区教育委員会の皆様に深く感謝しています。