コロナ禍における学習院のキャリア支援:特集: 学習院TIMES 学習院大学:読売新聞オンライン

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※掲載の肩書は取材当時のものです。

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新型コロナウイルス感染症の流行は、学生の就職活動にも大きな影響を与えている。新卒採用・就職活動の現状と、コロナ禍における学習院のキャリア支援について、本学OBであり、株式会社リクルートキャリア 就職みらい研究所にて就職・採用動向の調査・分析に取り組む増本全氏と、本学キャリアセンター・淡野健が語り合った。

2021年卒生の就職活動への影響

――新型コロナウイルス感染症の流行は、2021年卒業予定の学生の就職活動にどのような影響を与えているでしょうか?

増本 全
リクルートキャリア 就職みらい研究所 所長

増本 大きく2つの変化が見られています。1つめは、企業の採用活動が昨年に比べて約1カ月遅れで進捗していること。2つめは、採用選考プロセスのオンライン化が一気に進んだことです。

 まず、1つめについてですが、就職みらい研究所の企業に対する調査では、当初(コロナ禍が顕在化する前)はおよそ4社に1社が2021年卒学生の採用活動スケジュールの前倒しを計画していました。背景には、ここ数年、大卒求人倍率が高止まりしており(2020年卒生においては1.83 1)、2020年卒生の採用においては、およそ2社に1社が採用計画に対して充足していない(※2など、採用の難度が上がっていることがあります。

 加えて、当時は夏に東京オリンピック・パラリンピックを控えていて、期間中は時間や行動の制約を受けることが見込まれていました。これらを考慮して、企業は採用活動を前倒して進めることを計画していたわけです。

淡野 我々キャリアセンターも、売り手市場、採用・就職活動の早期化、オリンピック・パラリンピックによる制約というところを十二分に想定し、オリンピック・パラリンピック期間中、企業は採用活動をしないであろうこと、また、それに伴い採用選考が早期化するであろうことなどを、ガイダンスなどを通じて学生に伝えて準備を促していました。

 また、ここ数年の大卒求人倍率は高止まりしていますが、オリンピック・パラリンピック景気はすでに終わっていますし、オリンピック・パラリンピック後の経済は、近年では1996年のアトランタを除いてすべて下降しているので、いつ景気が落ち込んでも適応できるよう、学生もキャリアセンターも準備しておくべき、という考えで提供する講座の内容や学生へのメッセージをつくっていました。

増本 ところが、2月中旬ごろから新型コロナウイルス感染症の感染拡大への懸念が広がり、企業説明会が活発化するはずの3月頭の時点で、合同企業説明会や大規模な個社説明会は軒並み中止・延期となりました。そして、4月の緊急事態宣言をうけた外出自粛要請により、企業と学生が直接会うことができなくなり、7割を超える企業が採用スケジュールの見直しを検討(※37月時点では、前年よりも約1カ月遅れで進捗している状況です。

 ただ、学生の内定率を見ると、41日時点では、前年よりも高い水準でした。これは、早期から採用活動を開始した企業が、大人数で集まる場はなくした一方で、会う人数の上限をコントロールしながら採用選考を進めていたからです。しかし緊急事態宣言の後は、説明会や選考をオンライン化しても、最終面接だけは直接会って判断したいと考えた企業が多く、内定率は前年同月を割り続けています。

淡野 健
学習院大学キャリアセンター 担当次長

淡野 学生や企業と接していて得られている実感値でもそうですね。今年は、昨年に比べて採用広報を2月以前に始める企業が多く、企業・学生の動き自体が早まっていたので、本学の学生の4月時点の内定率も前年より上がっていました。ただ、その後は、大手企業のグループ企業や中小企業などが「せめて最終面接だけでも直接会いたい」との考えで6月いっぱいまで選考や内定出しを止め、7月に入ってまた一気に動き出しました。結果、例年の約1カ月遅れで動いているという感覚です。

 このあと、多くの企業が8月上旬までに内定出しを終え、9月には、なんとか内定式までに採用目標数を充足したいという企業の採用活動が活発化すると見ています。


1 リクルートワクークス研究所「大卒求人倍率調査」より
2 就職みらい研究所「就職白書2020」より
3 就職みらい研究所「2021年卒採用活動プロセスの見直しの現状に関する調査」より