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※掲載の肩書は取材当時のものです。

【G-Days】 子どもの"やりたい" が叶う社会に―大学経済学部清水ゼミ学生による第15回日銀グランプリでの提言―

古瀧 紗夜/佐藤 七愛/小泉 亜夕 (学習院大学経済学部3年生、清水順子ゼミ所属)

「ポイントカード型教育バウチャー券」のモデルケース

 こんにちは。学習院大学経済学部清水順子ゼミの古瀧紗夜、佐藤七愛、小泉亜夕と申します。

 私たちは、日本の金融・経済に関する提言を行う「第15回日銀グランプリ」(プレゼンテーションを行う決勝大会は2019年11月23日開催)で、子どもの習い事を支援する仕組みとして「ポイントカード型教育バウチャー券の導入」をテーマにした論文投稿・プレゼンテーションを行い、優秀賞を受賞しました。

 その内容は、子どもたちが地域のボランティア活動に参加することでポイントを貯めて、そのポイント数に応じて子どもたちが自由に習い事ができるというものです。

 今回は、本提案のご紹介と、この経験から得た学びや喜びを皆さんにお伝えしたいと思い、寄稿させていただきます。

アイデアの原点は身近な経済的不自由

 子どもの貧困は、解決が急がれる社会問題の一つです。私たちも、未来ある子どもたちへの一助となりたいと考え、子どもの貧困問題をテーマに研究を始めました。

 現状分析をする中で、私たちは「見えづらい貧困」の問題の存在を知りました。衣食住には困っていなくとも、経済的負担を理由に周囲と同じような「当たり前の機会」を受けられない子どもたちがいるのです。

 さらに、私たち自身の経験を振り返ると、経済的負担を理由に習い事を諦めた経験がある人が少なからずいることに気づきました。こうした「身近な経済的不自由」の解消が、子どもの相対的貧困問題そのものの解決の糸口となることを期待し、子どもの習い事を支援する提案をすることにしました。

 また、子どもたちに自分の努力次第で教育機会を得る喜びを与えるべく、ラジオ体操カードのシステムを取り入れました。

 一方で、実際に政策を動かすには、常識的には財源が必要ですが、私たちは「人々の善意」をつなげることに価値を見出すことで、お金が不要な仕組みになるよう工夫しました。現金が動かなくとも、あらゆる経済主体が善意を持ち寄ることで、子どもたちに沢山の体験を与えることができるのではないかと考えたのです。

提案の実現性を高めるための実地調査

提案の意図

 この提案を実現ができるのかどうか、実際の放課後事業はどのような活動なのかを知るために、私たちは豊島区役所、板橋区役所、板橋区内の学童施設にインタビュー調査をしました。そこで働いている人たちや利用している人たちへの調査から、このアイデアの問題点や良い点をヒアリングできました。

 まず問題点としては、私たちの提案する「ポイントカード型教育バウチャー券」を実施するには人手不足が一番の課題だとわかりました。

 次に良い点としては二つあり、一つ目は現金が動かないという提案であるため、税金を活動資金にしている役所でも新事業として取り入れやすいということでした。二つ目は現代の子どもの自己肯定感が低いという問題に対し、自分で頑張ったことが自分に目に見える形で還元されるという提案の特徴が解決へのアプローチとなることでした。これらは私たちにとっても盲点だったので、聞くことができてよかったです。

 また、私たちの提案に賛同してくださる方がいたことは、この問題意識を現場の方々も感じていたということだと思い、とてもうれしく感じました。

 実地調査を行うことで、私たちの提案をより現場目線で考えることができましたし、普段の学校生活の中では関わることがない人たちとお話しできたことは私たち自身にとってとても良い経験となりました。

決勝大会本番を終えて

決勝大会での発表の様子

 実地調査やプレゼンテーションの練習を重ねる中で、この提案に対する私たちのこだわりは、日に日に強くなっていきました。

 -より実現性の高いものへするためにはどうしたらよいのか-

 区役所の方をはじめ、放課後事業のマネージャー、学童に通う子どもたち、清水先生をはじめとした経済学科の教授、そしてゼミ生...沢山の方々から頂いた意見をもとに私たちは試行錯誤を繰り返し、決勝大会当日に臨みました。

 「こんな制度があったら嬉しい。」

 日本を代表する金融専門家の方々に自分たちの提案を評価して頂けた時は、この提案に対する私たちの"想い"が、"かたち"になった瞬間でした。今大会を通して、私たちの提案は確かに、実現性の高いものへとなっていったのでしょう。

 「より多くの子どもたちの、"やりたい" が叶う社会になったらいいなぁ。」

 こういった何気ない"想い"から始まった提案が、実現に近づいた喜びは、今までになく大きなものでした。

審査員の皆さまと

 ごく普通の大学生である私たちですが、自分たちの"想い"を一つの提案としてまとめ、「日銀グランプリ」という大きな舞台で伝えるということは、非常に貴重な経験でした。こうした経験が学生時代に出来たことを誇りに思い、今後の人生の糧にしていきたいと思います。

 最後になりますが、日銀グランプリに参加する機会をくださった清水先生や、調査に協力してくださった皆さま、そして決勝大会の準備に際し力を貸してくださった沢山の方々に深く感謝申し上げます。

参考:日本銀行日銀グランプリサイト
https://www.boj.or.jp/announcements/nichigin_gp/index.htm/

決勝大会出場チームの論文、プレゼン資料、当日発表の動画が日本銀行サイトにて公開されています。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2019/rel191227a.htm/

2020.3.9

プロフィール

古瀧 紗夜/佐藤 七愛/小泉 亜夕 (学習院大学経済学部3年生、清水順子ゼミ所属)