特別鼎談 目白キャンパスから広がる生き物の世界:特集: 学習院TIMES 学習院大学:読売新聞オンライン

学習院TIMESロゴ

伝統とともに未来を拓く、学習院の“今”を伝えます。

特集 Special Contents

※掲載の肩書は取材当時のものです。

1 / 3

都市化が極限まで行き着いたように見える東京ですが、生き物と共生できる環境を守り育てることは、人間にとって住みやすい街にするためにも、重要な課題と言えるでしょう。そうした視点で学習院大学目白キャンパスを見ると、豊島区でも指折りの豊かな緑が維持され、多くの生き物の棲み家になっていることに驚かされます。
そこで本日は、学習院に縁の深い三人の生き物が大好きな方にお集まりいただきました。知識のある人の目を通して、普段は多くの人が意識していない姿を紹介いただくとともに、それにどんな特徴や価値があるのか、また、

未知の自然に触れることが生き物好きを育てる。

----まずは自己紹介と学習院との関わりを簡単に教えてください。

小野 展嗣(おの ひろつぐ)
国立科学博物館名誉研究員

小野
昭和51年(1976年)に学習院大学法学部を卒業し、国立科学博物館に35年勤めてきました。現在は同館の名誉研究員で、専門はクモの研究です。
川上
新宿区の大久保生まれで、生き物の面白さや自然観察についての普及活動を続け、今は文章を書いたりテレビの解説者をしています。
大谷
学習院大学経済学科の3年です。昨年は生物部の部長を務め、キャンパスにどんなチョウが生息するか調べました。

----生き物を好きになった動機や、現在に至るまでの「生き物歴」を教えてください。

川上 洋一(かわかみ よういち)
生物研究者

小野
子供の頃は家の近所の田んぼや水たまりで生き物と遊んでいました。学習院には初等科からで、中等科の時の担任で生物部を指導され、ご自身もトンボ研究家であった宮川幸三先生の素晴らしい授業を受けて、知識や興味がさらに広がりました。その野外授業で巣を張るアシナガグモを見て強い感銘を受け、クモを研究しようと決心しました。高等科や大学でも琉球諸島や小笠原諸島に出かけ採集や研究をしています。
 しかし当時は、クモの研究では将来生活できないと周囲に反対され、銀行に就職しようと思っていました。けれども研究を諦めきれず親に頼み込み、クモ研究の中心地だったドイツに留学したのです。そこで指導を受けた先生から研究を続けるよう強く勧められ、結局そのまま7年間もドイツにいました。その後は日本の国立科学博物館で募集していた研究員に採用されたので帰国し、それからもずっとクモ一筋です。
大谷
祖父の家で教わったセミ捕りから虫が大好きになりました。小学生で地元の自然観察会に参加したのがきっかけで興味が深まり、中学生で昆虫同好会や研究者の学会にも入会しています。大学の生物部では、部を盛り上げようとする行動力ある先輩たちに連れられ、キャンパスの生き物調査をしたり、山や海にも観察に出かけたりと、とても楽しい活動でした。

大谷 理貴(おおたに まさき)
学習院大学経済学部経済学科3年

川上
家の近所は大都会でしたが、盆栽屋だったので庭の植物に集まる昆虫もいて興味を持ちました。自然が少ない都会で図鑑や本から知識を得ることが多い子供でも、ちゃんと生き物好きになるという証人です。年長者に連れられ採集に行ったり、山や南の島に何度も出かけるというところは、小野先生や大谷さんと同じような経験をして来ました。幼少期の自然体験、指導者や先輩の存在、未知の自然に触れることなどは、生き物好きを育てるためには欠かせませんね。