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特別 対談

肺の生活習慣病「COPD」「知らなくて未治療」を減らす

肺の生活習慣病
「COPD」
知らなくて未治療」
を減らす


医療と行政の連携を考える

  • 一般社団法人日本呼吸器学会
  • 一般社団法人GOLD日本委員会
  • アストラゼネカ株式会社
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室 繁郎氏

奈良県立医科大学 医学部 教授 呼吸器内科医

室 繁郎

1989年、京大医学部卒。京大医学部付属病院呼吸器内科准教授などを経て、2018年から現職。日本呼吸器学会で閉塞性肺疾患学術部会長、「COPD診断と治療のためのガイドライン第6版(2022)」作成委員会副委員長を務める。

山村 吉由氏

奈良県広陵町長

山村 吉由

奈良県立王寺工高を卒業し、1967年に広陵町役場に奉職。環境部長、助役・副町長を経て2013年、町長に就任。21年に再選され、現在3期目。

内藤 佐和子氏

徳島市長

内藤 佐和子

2010年、東大法学部卒。在学中から徳島のまちづくりに関わり、20年4月から現職。21年4月、内閣府「男女共同参画会議」議員に就任。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、肺がダメージを受けることで呼吸が難しくなる病気で、要介護状態に陥りやすくなる「フレイル」との関連も指摘されています。奈良県立医科大学呼吸器内科の室繁郎教授と、COPD対策に積極的に取り組む徳島市、奈良県広陵町の両首長が対談し、課題を語り合いました。

早期発見に欠かせない
自治体の取り組み

  • COPDは、主に喫煙によって気管支や肺が傷つき、息を吐きにくくなる病気です。長期間にわたってゆっくり進んでいくため自覚しづらく、息切れしても「年のせいだ」と思ってしまうなど、早期発見が難しいのが課題です。国内に約530万人いると推定されるCOPD患者のうち、現在治療を受けているのは22万人ほどであり(*1)、なかなか病院に来てもらえません。自治体による啓発活動や受診勧奨などのご協力が必要です。
  • 国の健康増進計画「健康日本21」は2000年に策定され、13年度から第2次がスタートしていますが、その中でもCOPD対策は明記されています。広陵町では14年度に奈良県が実施した「たばこ対策モデル事業」に参画し、保健師が中心となって喫煙者への肺機能検査や個別禁煙指導に取り組んでいます。
  • 04年に市独自の健康づくり計画「とくしま・えがお21」を策定し、現在は23年度までの第2次期間中です。県民の健康寿命が全国平均より低いこと、また、COPDによる死亡率が全国平均より高く、ワースト1位だった時期もあることから、県・市ともに基本方針の一つにCOPD対策を掲げています。
  • 広陵町の具体的な取り組みとしては、20年度にアストラゼネカ、キャンサースキャンと行った官民連携事業があります。前年度の特定健診問診票や国保データベースを使い、喫煙習慣があるのにCOPDの治療歴がない「ハイリスク者」と「治療中断者」を抽出。ダイレクトメールで受診や治療再開を呼びかけた結果、両者とも前年同時期と比べて受診率が上がりました。アンケート調査でも、ハイリスク者の39.5%、治療中断者の44.8%から「受診した・受診するつもり」と回答をいただき、意識変容につなげられました(*2)
  • 市医師会と共同で、13年から独自の啓発活動に取り組んでいます。具体的には、肺がん検診の際に問診を行い、「40歳以上」「喫煙歴または受動喫煙歴がある」など3項目全てが当てはまる方にCOPD検査受診券をお渡ししています。毎年300人程度に渡すのですが、新型コロナの影響もあって受診率が著しく落ち込んでいます。認知度は、一般住民向けのアンケート調査を続けてきた結果、13年の29.8%から、21年は55.0%へと上げることができました。(*3)
  • 既存の枠組みを利用して自治体で行き届いた受診勧奨をしていただき、医療者として心強いです。

(*1)COPDの推定患者数と治療を受けている総患者数

COPDの推定患者数と治療を受けている総患者数

  • * 総患者数 : 調査日現在において、継続的に医療を受けている者(調査日には医療施設で受療していない者を含む。)の数を次の算式により推計したものである。【総患者数=入院患者数+初診外来患者数+(再来外来患者数×平均診療間隔×調整係数(6/7))】
    ※ NICE(Nippon COPD Epidemiology)スタディ 2001年に行われた、40歳以上の男女2,666名のデータによる大規模疫学調査
  • 1)Fukuchi Y. et al.: Respirology. 9: 458-465, 2004
    2)厚生労働省HP 平成29年(2017)患者調査の概況:
    https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/index.html

未治療だとどうなる?
フレイルや循環器疾患との関係性

  • COPDは進行すると息が切れ、知らず知らずのうちにあまり動かない生活習慣となり、体力が落ちてしまう場合があることも問題です。体力が落ちると、少し風邪をひいただけで、呼吸不全になったり、こじれて重症の肺炎に進行することもあります。また、寝たきり・要介護状態の前の虚弱状態「フレイル」になったりする可能性があります。早期にCOPDの診断をして適切な治療を受けることで、フレイルを予防する生活習慣を身につけていただくことが大切です。
  • 介護保険料は3年に一度改定しますが、毎回上がることから、介護予防の取り組みがおろそかなのではないかと指摘を受けることもあります。23年度には後期高齢者人口が前期高齢者人口を上回るという予想もあり、COPDが要支援や要介護状態の要因でもあることに着目し、しっかり対策をとっていきます。
  • 要介護状態になると、ご本人の生活の質が低下するだけでなく、ご家族にとっても介護疲れや介護離職などの問題が出てきます。近年では、本来は大人が担うような家事や介護を子どもが日常的に担わなければいけない「ヤングケアラー」の問題も指摘されており、フレイルから要介護状態になることを予防することは社会全体で取り組むべき課題だと考えています。
  • COPDになると、健康な方に比べて肺がんのリスクが3〜6倍(*)になると言われ、心筋梗塞や狭心症を併発する可能性も高いとされています。

受診の動機付けを
高める仕組みが必要

  • コロナ禍で20年度は集団検診が中止となり、21年度に再開したものの、肺機能検査はできず、チェックリストを用いての個別対応となりました。COPDについて広く知っていただくため、22年度は講演会なども計画しています。
  • 早期発見・治療が改善に結びつくケースもあること、COPDの進行がフレイルの進行にも関わる場合があることを丁寧に説明し、受診への動機付けを高めていきたいと思っています。「一度きちんと診断してもらおう」「家族のためにも、自身の健康状態を確かめておこう」と思っていただき、行動してもらうことが大切だと考えています。
  • COPDは長く付き合っていく疾患ですが、治療を続けることで現在の症状を改善でき、フレイルの予防や呼吸機能の低下の抑制も期待されます(*)。以前は階段を上るのにも苦労していたが、適切な治療により、今では毎週ゴルフをしているという方もいらっしゃいます。行政の皆様にご協力いただき、検診等を活用した早期発見と受診勧奨、治療を継続するモチベーションを保つ取り組みが必要だと感じています。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは(*)

たばこなどに含まれる有害物質によって気管支・肺がダメージを受け、呼吸がしにくくなる病気。長期間にわたる喫煙・受動喫煙が主な原因とみられ、ゆっくりと進行していくことから「肺の生活習慣病」とも言われる。
せきやたんが増え、体を動かしたときに息切れを感じるようになる。症状に乏しいこともあるので注意。重症化すると死に至る可能性もあり、日本人男性の死因9位(2021年*4)、世界の死因3位にあげられる。高血圧や心不全などの循環器系疾患、がんなどの合併率が高まる可能性があり、新型コロナウイルス感染症の重症化リスク因子ともされる。
COPDを発症した肺は完全には元の状態に戻らないとされるが、早期に発見し治療すれば、現在の息切れなどの症状を軽減したりだけでなく、将来の症状悪化、肺機能低下を抑制することも期待できるとされる。

肺の生活習慣病「COPD」
「知らなくて未治療」を減らす

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