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トップ>オピニオン>地域の資源を活かしたビジネスを学生がつくる ~産学官が連携する中央大学の新たな講義の可能性~

オピニオン

柚木 理雄 【略歴

地域の資源を活かしたビジネスを学生がつくる

~産学官が連携する中央大学の新たな講義の可能性~

柚木 理雄/中央大学特任准教授 株式会社Little Japan代表取締役CEO 特定非営利活動法人芸術家の村理事長 元農林水産省
専門分野 人文地理学

 2019年4月。学生が2年間をかけて、地域の資源を活かした新たなビジネスづくりにチャレンジをする新たな講義「ソーシャル・アントレプレナーシップ・プログラム(SEP)」が開設されました。

 私自身、日々ビジネスの難しさにもがいている現役の経営者でもありますが、本講義の、学生によるただのビジネスの体験では終わらず、実践的にビジネスづくり学ぶこれまでになかった仕組みに惹かれこの講義の担当をさせていただくことになりました。

 本稿では、私が感じた本講義の魅力、可能性について、お話をさせていただければと思います。

1.講義の概要

 本講義の学生は、2年間をかけて、地域の資源を活かしたビジネスづくりに取り組むことになります。

 ここで言う地域とは、中央大学と協定を結んだ3つの村(東京都檜原村、山梨県小菅村・丹波山村)のことで、各村に対して1ゼミ最大30名、計3ゼミ最大90名となっています

2.学生の2年間のコミットと選抜

 まず一つ目の特徴が、学生が2年間同じゼミを取り続けるということです。

 通常の半期・数ヶ月程度の講義の中では、どうしても与えられた課題に対して計画や試作品をつくることで精一杯となってしまいがちなところ、2年間という時間があるからこそ、
 ①学生自らが活用する資源や解決する課題の特定
 ②ソリューションの提案
 ③ソリューションの実行
 ④PDCAサイクルを回しながらの改善
 ⑤持続可能なビジネスの仕組みの構築
まで、学生が主体的に取り組んでいくことができます。

 また、参加している学生は選抜をした意欲の高い学生で、1ゼミ最大30名となっています。

3.中央大学からの支援

 2つ目の特徴が中央大学からの手厚い支援です。学生が新商品・サービス開発するのにあたっては資金が必要となりますが、村へ通う旅費等はもちろん、試作品の開発に対しても大学より資金的な支援があります。

 もちろん無条件の支援ではありませんし、また、学生自らも資金調達も行っていくことにはなりますが、これには膨大な労力と時間がかかり、最初の足がかかりとなる支援を大学から得られるという点は非常に大きな力となります。

 さらには、学生たちの素晴らしい取り組みを広めることについては、大学からも広報いただける等の支援もあり、新商品・サービスを広めていくのに際して学生にとって大きな助けとなると考えています。

4.中央大学と3村による支援

 地域の資源を活かしてビジネスをつくっていく上で、村の方のご協力は必要不可欠となります。

 しかしながら、この関係構築には非常に長い時間がかかり、この関係構築だけでも学生生活が終わってしまいます。

 一方で、本講義の3つ目の特徴として、各村に常駐の村内スタッフを配置するという仕組みを入れており、村内スタッフの方を中心に、地域資源や地域住民との交流の場等を提供いただけるような仕組みが整っています。

 村内スタッフの方や村の方とのコミュニケーションをとるのに際して、現地を訪問することは重要ですが、どうしても遠方のためなかなか通うことが難しいという事情もあります。

 その点に対しても、3村と中央大学をつなぐテレビ会議システムも設置されており、常に村内スタッフをはじめとした村の方にも講義に参加いただきコミュニケーションをとりながら進めることが可能となっています。

5.企業との連携

 商品・サービスを実際に企画していくのにあたっては、企業の方との提携が必要となってまいります。

 これに対して、本講義では、専門的な講義を行っていただくこと、学生の提案へのご意見をいただくこと等のかたちで企業の方にご参画いただいており、企業の方との接点を持つことができるようになっています。

 また、ここのプロジェクト単位では、すでに企業の方と提携をした商品開発も進んできているところです。

 今後も、多くの企業の方との接点をもち、専門的な立場からのアドバイスのほか、場合によっては企業の方にとっても地域での新ビジネスづくりを経験できる場として講義にもご参加いただきながら、商品・サービスの開発、ビジネスづくりを進めてまいりたいと考えています。

6.産学官連携が実現する学びの場と地域への価値の還元

 本講義では、大学(学)が、3村(官)と企業(産)と連携し、学生が、地域の資源を活かしたビジネスづくりにチャレンジします。

 学生にも選抜や2年間という期間があるなど、一定のコミットは求められていますが、その分、より実践的な学びの場となります。

 また、地域にとっても、短期間学生が来て、それで終わり、というのではなく、2年間を通じた関係性ができ、さらには新たなビジネスが生まれる可能性があるなど、学びの場を提供してくださる地域に対しても価値を還元できる講義となると考えています。

 参加いただく企業にとっても、貴重な地域でのビジネスづくりができる場となっており、また企業の方が参加をしてくれることで学生だけで取り組む以上の成果を生むことが可能となると考えています。

柚木 理雄(ゆのき・みちお)/中央大学特任准教授 株式会社Little Japan代表取締役CEO 特定非営利活動法人芸術家の村理事長 元農林水産省
専門分野 人文地理学
株式会社Little Japan代表取締役、NPO法人芸術家の村理事長、中央大学特任准教授、Localist Tokyo共同代表ほか
京都大学卒業後、農林水産省に入省。2012年NPO芸術家の村を立上げ空き家を活用した場づくり・コミュニティづくりを開始。2017年「地域の資源を活かした事業をつくる」をミッションに株式会社Little Japanを創業。空き家を活用しシェアハウス、カフェ/バー、ゲストハウス、セレクトショップ等や月1.5万円~のホステルパスで全国のホステルに泊まり放題になる「Hostel Life」を運営。
2019年4月に中央大学に地域の資源を活かしたビジネスを学生と村が連携してつくる講座が新設されることを受け特任准教授として着任。同講座を担当。

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