「泌尿器科・婦人科ロボット手術/高度医療の地域病院連携」特集『我孫子東邦病院/東京慈恵会医科大学附属柏病院』

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医療法人社団 太公会

我孫子東邦 ロゴ 我孫子東邦病院

[ロボット支援下手術]
男性/前立腺がん全摘術 女性/骨盤臓器脱・仙骨膣固定術

泌尿器科に特化しロボット手術で高い実績
骨盤臓器脱など女性泌尿器科疾患にも積極対応

前立腺がんのロボット手術を筆頭に、前立腺肥大、尿路結石など泌尿器疾患の低侵襲治療に早くから着目し、地域医療を牽引してきた我孫子東邦病院。女性泌尿器科分野にも力を入れ、骨盤臓器脱のロボット手術でもすでに100例以上の実績を積んでいる。東京慈恵会医科大学附属柏病院(以下、慈恵医大柏病院)との連携も心強い。

藤尾 圭

理事長
藤尾 圭

ふじお・けい/2005年東邦大学医学部卒業。東邦大学医療センター大森病院、岡山大学病院、我孫子東邦病院、岡山大学病院泌尿器科助教などを経て、16年我孫子東邦病院副院長 18年8月から現職。医学博士(岡山大学博甲)。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医。日本骨盤臓器脱手術学会所属。日本女性骨盤底医学会所属。



女性特有の骨盤臓器脱をロボット手術で治療

 泌尿器科疾患の先進的治療で地域医療に貢献する我孫子東邦病院。中でも前立腺がんでは、2012年にロボット手術が保険適用されるやすぐにダビンチを導入。18年に新型へ更新し、これまでに累計1009症例(詳細は実績表参照)を実施してきた。
 同院は8人の泌尿器科常勤医を擁し、さらに、慈恵医大柏病院の泌尿器科と緊密に連携。執刀医を受け入れるほか、がん化学療法や放射線療法など高度な集学的医療の協力を得るなど万全の体制だ。
 2020年からは地域で先陣を切り、女性泌尿器科疾患「骨盤臓器脱」の治療として、ロボット支援下手術仙骨膣固定術(RSC)をスタートさせた。こちらも慈恵医大柏病院の産婦人科と連携している。
「骨盤臓器脱は子宮、膀胱、直腸のいずれか、または複数が下垂し、膣口から脱出する疾患。命に係わることはありませんが、内臓の下垂感や排尿障害を伴うことが多く、女性の生活の質を著しく低下させます」と語るのは理事長の藤尾圭医師だ。
 骨盤内の臓器を下から支持する骨盤底筋群が、加齢や出産時の受傷で緩むことが原因とされ、患者は60代以降のシニア層である。「恥ずかしい」「年だからしかたない」と、受診を諦めてしまうケースも少なくない。
「RSCは子宮上部を摘出後、2枚のメッシュで膣の前後壁を挟み、子宮頸部と固定して引き上げ、仙骨に縫い付けるもの。骨盤内深部での細密な手技に、関節が自在に動くロボットアームは最適です」
 どのタイプの骨盤臓器脱にも高い効果が示され、再発率が低い。術後は性交渉も可能になる。
「痛みも出血も少ない低侵襲なロボット手術で、改善する病気だとぜひ知ってください」
 稀に膀胱が正しい位置に戻ることで、腹圧性尿失禁が顕在化する例があるが、テープで尿道を支持するTOT手術で治療可能。
「骨盤臓器脱の有無にかかわらず、尿失禁の治療にも応じています」
 女性泌尿器科治療は、人生百年時代の心強い味方である。

■増設されたロボット支援下手術専用手術室

■増設されたロボット支援下手術専用手術室。

主な診療実績(2023年1月~12月)


HOSPITAL DATA

我孫子東邦病院

医療法人社団 太公会
我孫子東邦病院

〒270-1166 千葉県我孫子市我孫子1851-1 TEL.04-7182-8166
https://www.abikotoho.org
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東京慈恵会医科大学附属柏病院地域の基幹病院として産婦人科と
周産期の高度医療を提供

髙野 浩邦

産婦人科診療部長・教授
髙野 浩邦

たかの・ひろくに/1988年東京慈恵会医科大学卒業。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。ほか複数の産婦人科関連学会の役員を兼務。専門領域は、婦人科悪性腫瘍、腹腔鏡手術、ロボット支援下手術。



 当院は千葉県東葛北部医療圏の基幹病院。特に医療資源が限られる産婦人科は、地域の女性と新生児の命と健康を守る最前線です。
 地域がん診療連携拠点病院であり、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんの患者さんは集中します。当院の一番の特徴は他科との連携に積極的な点で、必要であれば、泌尿器科、消化器、肝胆膵、形成外科、血管外科と共に執刀。全力で根治をめざします。
 2022年、ロボット(ダビンチ)導入後は子宮体がんの他、良性疾患である骨盤臓器脱治療に仙骨腟固定術を開始。ただ大学病院の手術室は悪性疾患優先ですから、連携先の我孫子東邦病院に私以下数名が出向き、ロボット支援下仙骨膣固定術(RSC)を行っています。ロボット支援下手術に通暁した我孫子東邦病院での手術は、患者さんに手術をお待たせしないメリットがあると同時に、若い医師の良い経験の場ともなっています。同院の産婦人科部門の体制が整ったら、子宮筋腫のロボット手術(膣式子宮全摘術)も、協働で実施できればと考えています。
 一方、当院の産科は、ハイリスクな合併症妊娠も手掛けるほか、近隣で産後出血などトラブルがあると、ほとんどが当院に救急搬送されており“最後の砦”として、全医療スタッフが尽力しています。