変形性膝・股関節の人工関節置換術に実績ある病院
同院の「人工関節センター」では2001年の創設以来、主に股関節や膝関節の人工関節手術に特化した医療を提供し、累計手術件数6700件以上の実績を持つ(2023年12月まで)2022年からは膝や股関節の再生医療を開始。痛みに悩む人たちの福音になっており、再生医療を受ける患者は増加傾向にあるという。
同センターでは2023年1月から12月までの間に、人工股関節置換術208件、人工膝関節置換術91件を実施。膝関節については2021年に赤外線誘導式手術支援ロボット「CORI」を導入して以降、より高精度な人工関節設置と安定した膝の動きを実現。手術件数は年々伸びている。
人工股関節置換術手術では近年、患者の体により優しい低侵襲な手技が工夫されており、同センターでは、「仰臥位前方アプローチ法」を採用しているのが一番の特長だ。
股関節は後方にある短外旋筋群という筋肉に支えられ、関節包靭帯と呼ばれる靭帯に包まれている。進入法(アプローチ法)には後方、側方、前外側、前方の4つがあり、主に後方と前方が主流だが、大西宏之センター長は、2つのアプローチ法の長所短所についてこう話す。
「国内でよく行われている後方アプローチ法は短外旋筋群や関節包靭帯の一部を切離するため、術野が広くなり安全に人工関節を設置しやすいのですが、股関節の安定を保つそれらの筋腱を切ってしまうため、脱臼リスクや日常生活動作への行動制限が出てきます。一方、前方アプローチ法では、術野は狭くなるものの筋腱切離を全くせずに手術を行うことができますので、術後の痛みが少なくてすみ、早期回復が期待できます。脱臼のリスクもほぼありません」
また「側臥位(横向け)よりも仰臥位(仰向け)の方が手術中に骨盤が動かず安定するため、人工関節の設置精度が高くなり、両脚の長さも揃えやすい」と安井広彦副センター長は話す。
人工関節の材質は長期耐用性のあるセラミック骨頭とクロスリンク加工したポリエチレンを使用。股関節、膝関節ともにIBBC法(骨セメント固定時に顆粒状の水酸化アパタイトを骨、セメント間に介在させる方法)という独自の人工関節固定法を採用しており「術後30年、40年が経過しても緩みが報告された例はほぼない」(大西センター長)。
手術後は10日~2週間で退院でき、階段の昇降や正座など日常生活動作に困ることはほとんどない。「しばらくすれば山登りやゴルフといった趣味なども違和感なく再び楽しめるようになる」(同)という。
厚生労働省に認可された第二種再生医療等提供機関として同センターでは2022年1月から股関節、膝関節を治療する再生医療をスタート。再生医療とは人が本来持つ「自然治癒力」を高める治療のこと。治療法には、患者の血液から抽出して得られるPRP(多血小板血漿)を関節に注射するPRP療法をはじめ、APS療法、PFC–FD療法、ASC療法などがある。
2023年1月~12月の治療件数は277件。特に股関節の再生医療を受けられる施設は全国的にも少なく、関西を中心に受診患者は増えているという。
「患者様の症状や生活スタイル、予算に応じて最も適した治療をご提案しています。いずれの療法も関節の痛みを抑え、機能の改善が見込めます。ただ、擦り減った軟骨が再生したり変形した骨が元に戻ったりするわけではなく、再生医療は薬物療法と手術療法との中間に位置付けられます。いろいろな治療を受けても改善しない、でも手術はまだ先でいい、といった方の選択肢と考えて頂ければ」(同)。
大西センター長が大切にしているのは「もしこの患者様が自身の家族だったらどうするかを常に考え、患者様の『こうありたい』との想いに寄り添うこと」。「ご要望を叶えられるよう、これからもより良質な医療の提供に努めてまいります」と話している。
社会医療法人 寿会
富永病院
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院長/富永紳介
診療科目/脳神経外科、整形外科、神経形成外科、脳神経内科、循環器内科、内科、放射線科、リハビリテーション科