島根大学医学部附属病院

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島根大学医学部附属病院 ロゴ 島根大学医学部附属病院こどもに優しい医療を提供
地域医療と連携し小児(外科)医療の砦となる

島根大学医学部附属病院小児外科は、新生児から青少年までの幅広い年齢層の小児患者に対し、高度な専門医療を提供している。病院に2001年に赴任し、小児外科が開設された2006年当初から小児外科を担当し、現在、小児外科診療科長を務める久守孝司医師に、地域における小児外科医療の中核的な存在として、信頼と実績を築いてきた取り組みについてお話を伺った。

久守 孝司

小児外科 診療科長/講師
久守 孝司

くもり・こうじ/1987年宮崎医科大学卒業。日本小児外科学会認定小児外科専門医、日本外科学会認定外科専門医、日本超音波医学会認定超音波専門医。専門分野は、小児外科、小児泌尿器科、新生児外科、小児超音波検査、重症心身障害児(者)外科疾患。



約6割が日帰り手術
患者と家族の負担を軽減

 当院は、「地域医療と先進医療が調和する大学病院」という理念のもと、患者さんに安全で満足度の高い医療を提供すべく、高度急性期医療やがん診療、再生医療の分野などに注力してきました。小児医療においては、小児外科医をはじめ、小児心臓外科医と小児脳神経外科医が在籍していることは、地域の子どもたちに対して、充実した医療環境を提供することになっております。
 2006年に診療科として独立した小児外科は、県内唯一の小児外科手術の専門施設として、手術を必要とする小児患者を島根県内全域から受け入れています。手術は当院で実施しますが、術前の診察や術後のフォローは、「松江赤十字病院」、「東部島根医療福祉センター」、「島根県立中央病院」、「西部島根医療福祉センター」の4つの地域病院と協力。この連携体制のおかげで、少子化の時代にありながら、当初71件ほどだった年間手術件数は年々増加、2013年以降、毎年約350件前後を推移しており、大幅に増加しました。(図1参照)
 当院小児外科の大きな特長は、患者本人と家族の負担を軽減するために、大学病院でありながら日帰り手術を導入している点です。消化管の前処置が不要な場合、基本的に入院当日に手術をしており、2023年は全入院患者の約60%で日帰り手術を選択。遠方からの患者さんとご家族は、宿泊施設「だんだんハウス」を利用することができるので、遠くから何度も通院する必要はありません。島根県は東西に広く、当院までの県内の移動においても数時間を要する地域もありますので、このような受け入れ態勢や日帰り手術は、喜ばれています。
 また、全国でわずか50人程度しかいない「チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)」(※1)が当院には在籍しており、医療従事者と患者や家族の間に入って、メンタル面や手続きなども含めて、手術や治療をしっかりサポートするというシステムが確立されています。その他、「手術室体験ツアー」を通じて、手術を控えた子どもとその家族が手術室に親しむ機会を提供。病院スタッフ全員が協力し、手術を控える子どもと家族を守る体制を整えています。

年間手術数の推移(図1)


傷跡が目立たない手術を実施

 一生残る傷跡に最大限の配慮をしています。手術は可能な限り低侵襲手術を実施し、できるだけ目立たない位置(下着等に隠れる位置)に、できるだけ小さい傷で実施しています。疾患によっては、例えば、多くの子どもが経験する可能性のある急性虫垂炎は、おへその中に手術の傷が隠れるようにするため、外から見ても分かりません。
 術後は成人になっても継続的な医療ケアが必要になることがあります。手術を担当した医師が診続けることで、急な事態にも対応できるうえに、患者さんのQOLも向上させることができるでしょう。2022年11月、院内に、病気や障がいにより、日常的な医療的ケアが必要な子ども(医療的ケア児)とその家族をサポートする「島根県医療的ケア児支援センター」が開設されましたので、連携をとりながらフォローしています。今後とも、島根県に住む医療的ケアが必要な子どもたちの健やかな成長と生活の質の向上が実現できるよう、数多くの関係機関と協力していきたいと考えています。


小児外科診療グループ

小児外科診療グループ

(※1)出典 一般社団法人日本チャイルド・ライフ・スペシャリスト協会 CLS全国勤務施設(34施設49名、2024年1月現在)


HOSPITAL DATA

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