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医療法人 杉村会

医療法人 杉村会 杉村病院 杉村病院超急性期から回復期まで、脳や心臓を中心とした
全身血管病のトータルケアをめざす

 杉村病院は1956年の開院以来「地域の人々の健康を守り、地域の人々から愛され、社会に貢献できる病院をめざす」との理念のもと、脳卒中や心疾患を中心とした全身血管病を診療する専門病院として、救急救命から生活習慣病の治療まで地域のニーズに沿った先進の医療を提供してきた。2023年春からは杉村勇輔・新理事長率いる新体制が始動。本館東側に新病棟が完成し、本館手術室も全面リニューアルされた。「時代にあった必要とされる医療とは何かを考え、患者様の満足度向上をはかる」(杉村理事長)との考えを汲む、意欲溢れる若いスタッフたちが揃い、より質の高い医療の提供に努めている。

杉村 勇輔

理事長
杉村 勇輔

すぎむら・ゆうすけ/2010年東邦大学医学部医学科卒業。板橋中央総合病院、東京都済生会中央病院、熊本大学病院などを経て、2019年医療法人杉村会杉村病院副理事長。2023年4月より現職。日本神経学会認定神経内科専門医。日本脳神経血管内治療学会認定脳血管内治療専門医。



新病棟が完成し、本館手術室も全面リニューアル。
時代のニーズに合った環境を整備

 同院は命に関わる脳疾患や心疾患を中心に全身血管病を診療する病院であり、脳卒中については24時間365日対応で血管内治療も可能な「一次脳卒中センター」に認定されている。杉村勇輔理事長は同院の特徴について「超急性期から回復期まで脳卒中や心疾患の患者様を一貫して治療、リハビリができる環境が整っており、『コンパクトな基幹病院』であることが当院の最大の特徴です」と語る。
 2023年4月には、本館東側に近未来的なデザインの新病棟(6階建)が完成。1、2階は急性期病棟(計79床)、3、4階は回復期病棟(計84床)が占め、5階には急性期の脳卒中患者を、医師、看護師、リハビリスタッフら専門チームが発症当初から24時間体制で集中的に治療する「SCU-脳卒中ケアユニット」(6床)を創設。熊本県下では大学病院や公的医療機関に次ぐ開設となる。
 同じフロアには、診療科を問わず緊急入院や24時間体制でカテーテル治療後の全身管理などを行う「HCU-高度治療室」(8床)を配置。「新病棟は効率的な動線や機能性などを熟考し、診療環境が大幅に向上しています。安心安全で質の高いケアを提供できるように努め、入院生活をより快適に過ごして頂けるようになりました」(杉村理事長)。
 また、従来の本館手術室を拡張、リニューアルし、先進の血管撮影装置を導入。高精度な血管内治療が可能となり、全身血管病により対応できるハイブリッドな手術室へと生まれ変わった。

「全身血管病」対応ハイブリッド手術室/新病棟開設に伴い、現病棟にある従来の手術室も拡張。先進の血管造影装置を導入し、精度の高いカテーテル手技を行う

「全身血管病」対応ハイブリッド手術室/新病棟開設に伴い、現病棟にある従来の手術室も拡張。先進の血管造影装置を導入し、精度の高いカテーテル手技を行う。


「現状維持は後退。時代の変化に応じ、新しいことにチャレンジを」

林 建佑

脳神経外科部長(キャプテン)
林 建佑

はやし・けんゆう/2009年熊本大学医学部卒業。2020年熊本大学医学博士。熊本大学病院、熊本赤十字病院、済生会熊本病院などを経て、2021年熊本大学病院脳神経外科病棟主任。2022年1月より現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。脳血栓回収療法実施医。


 脳神経外科部長(キャプテン)の林建佑医師は「脳卒中は時間との戦いです。脳梗塞ならば血栓を溶かすt-PAを静注する(4・5時間以内)か、あるいはカテーテルを用いて血栓を回収し血流を再開通させる血栓回収療法(発症から24時間以内)を行いますが、院内救命士も常駐しており、患者様が運びこまれてから診断をつけ治療を始めるスピードが非常に速いと自負しています。脳神経外科と脳神経内科が日頃から連携しているため、治療の選択肢の幅が広がり、各々の患者の状態に応じた的確な対応ができています」と話す。
 杉村理事長が指揮をとり始めてから最も変わったのは「時代の変化、新しいことにチャレンジすることに前向きなスタッフたちが集まっていること」だという。「今までと同じでいい、変化は好まないという人は当院では通用しません。というのも、社会は常に前に進んでいますから、このままでいいと現状維持を選んだ時点で後退しているわけです。時代が求めることや患者様のニーズに合わせた変革、創意工夫、挑戦のできる人材を年齢に関係なく登用しており、そういう人たちが院内を明るく活気づけてくれています」と、杉村理事長は微笑む。

「SCU」と「HCU」が隣接
スタッフ間で助け合い、最善の治療を提供

 理事長の意を汲み、新体制を支えるスタッフらに話を聞いた。看護部統括コマンダーの畑農梨恵さん、理学療法士(PT)シニアマネージャー梅田幸成さんと花野賢人さん、言語聴覚療法士(ST)シニアマネージャー・岡望さんの4人は、いずれも30代で管理職を務めている。
 新病棟5階にあるSCUとHCUを統括する畑農さんは「SCUとHCUが同フロアで隣接しているので、互いに重症患者の情報共有を行い、緊張感を持って業務にあたっています。大病院とは違い、コンパクトな病院なので、医師、看護師、リハビリなど、他職種との距離が近く、互いに気づいたことを何でも話し合える雰囲気です」と話す。
 23年7月から運用が始まったSCUについて、主任で看護師の坂本さんは「発症早期の患者様を24時間体制で集中的に治療する病床です。6床のうち4床はブラインドのある個室なので、特にくも膜下出血の患者様がコイル塞栓手術をするまでの間の暗室管理がしやすいです。脳卒中は時間が勝負。他職種と密にコミュニケーションを取り、異常の早期発見に努めることで、よりよい治療に繋がっています」と話す。

畑農梨恵

看護部
統括コマンダー
畑農梨恵

坂本仁美

SCU主任看護師
坂本仁美



超急性期から回復期まで一貫したリハビリを実現

 脳卒中では超急性期からリハビリを開始できるかどうかが患者の予後を左右する。同院にはPT34人、OT22人、ST8人が在籍。今後はさらに充実したリハビリを行うため、2~3割程度増員予定という。
 SCU専任PTの梅田さんは「当院の一番の特徴は超急性期から回復期まで一貫して患者様を診られること。できるかぎり早期にリハビリに取り組めるよう努め、患者様の状態に応じたプログラムを作成。一人ひとりに丁寧に寄り添っています」と話す。花野さんは「退院した後も外来リハや訪問リハを通じて、自宅での生活で不安に感じた点や課題を聞き取り、その都度リハビリのあり方を改善しています」と話す。
 術後は栄養摂取も大切だ。STの岡さんは「術後食べられない状態が続かないよう食事が可能かどうかの評価を早期に実施し、重症の方でもできるだけ早く栄養を摂取できる体制を整えています」という。


日々の治療を検証し、研究成果を積極的に全国学会で発表

 同院では各スタッフが実臨床に沿った研究論文を全国学会で発表するなどの取り組みも盛んに行われている。STの岡さんは杉村理事長と共同で嚥下造影検査についての研究論文を日本脳卒中学会誌に発表。また、同院には西日本随一といわれるドライブシミュレーターがあるが、OTの本田さんは脳卒中患者を対象とした運転可否判定の有用性について、日本リハビリテーション医学会の学術大会で発表し、好評を博した。
 PTの梅田さんは「自分が日々行っている治療の効果が実際どうだったか、研究を通じて検証することでさらなる成果を出せますし、自己効力感も高まります。脳卒中患者のリハビリが多い当院ならではの研究が今後もできれば」と意欲的だ。
 最後に畑農さんは「少子高齢化が進み、医療現場でも将来的には外国の人たちを雇用する必要も出てくるでしょう。多様な価値観を認め合い、現状に甘んじることなく、患者様に満足していただけるサービスとは何かをこれからも追求していきたいです」と締めくくった。
「既存の枠や常識にとらわれることなく時代に適ったよりよい医療サービスを提供するためにはどうしたらいいかを病院一丸となって考えていきたい」と語る杉村理事長。意欲あふれるスタッフたちとの挑戦はまだ始まったばかりだ。

梅田幸成

理学療法士(PT)
シニアマネージャー
梅田幸成

花野賢人

理学療法士(PT)
シニアマネージャー
花野賢人

本田周暉

作業療法士(OT)
ヤングリハビリテーション
アナライザー
本田周暉

岡 望

言語聴覚療法士(ST)
シニアマネージャー
岡 望


SCUスタッフステーション

SCUスタッフステーション/脳卒中の専門知識を持つ医師、看護師、リハビリテーションスタッフらの専門チームにより、脳卒中を発症早期から24時間体制で集中的に治療する。

運転に必要な運動能力を総合的にチェックできる本格的なドライブシミュレーターを導入

運転に必要な運動能力を総合的にチェックできる本格的なドライブシミュレーターを導入。

急性期治療終了後の患者さんへの回復期リハビリテーションも充実

急性期治療終了後の患者さんへの回復期リハビリテーションも充実。


入院診療実績(2023年1~12月)


HOSPITAL DATA

医療法人 杉村会 杉村病院

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杉村病院

院長/乾 誠治
〒860-0811 熊本市中央区本荘3-7-18
TEL.096-372-3322
https://sugimurakai.jp/
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