病院の実力2024 ＞ 札幌白石記念病院

脳血管内治療センター長
恩田 敏之

おんだ・としゆき／札幌医科大学卒。日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医、日本脳神経血管内治療学会認定脳血管内治療専門医。

脳卒中センター長
髙橋 　賢

たかはし・けん／岩手医科大学卒。日本内科学会認定総合内科専門医、日本神経学会認定神経内科専門医、日本脳神経血管内治療学会認定脳血管内治療専門医。

血管内治療に尽力し
地域の救命率向上に貢献

　脳卒中の治療は一刻を争う。
　札幌白石記念病院は、一次脳卒中センター（PSC）コア施設として24時間365日、救急搬送される患者を受け入れ、地域住民の救命に尽くしている。
　脳血管内治療センター長の恩田敏之医師は「当院では、開頭しない低侵襲な血管内治療が約8割を占めます。脳梗塞では血管に詰まった血栓を除去し、血流を再開させる『血栓回収術』を実施。年々、血管内治療実績の割合は増加しています」と語る。
　脳動脈瘤の破裂で起こるクモ膜下出血は、再破裂の危険性が極めて高い。治療法は瘤にコイルを詰める血管内治療「コイル塞栓術」と、開頭し瘤の根元を挟む「クリッピング術」の2タイプ。やはり前者が8割という。
　未破裂動脈瘤の予防的治療には、これらに加え先進的な血管内治療「フローダイバータ―ステント」も実施。瘤のある血管に特殊ステントを留置し、瘤の血液流入を抑える低侵襲治療だ。
　治療のコアとなる医師は脳神経外科専門医4名と神経内科専門医2名。そのうち各々2名・計4名が日本脳神経血管内治療学会認定専門医の資格を合わせ持ち、開頭手術と血管内治療を臨機応変に選択し提供している。
「当院の強みは診療放射線技師、手術室看護師、臨床工学技士、臨床検査技師、薬剤師などの医療スタッフが脳卒中治療に通じたエキスパートだということ。巧みな連携で、『搬送⇒各種検査⇒画像診断⇒治療開始』まで30分から1時間以内。患者さんの予後は、チームの迅速で的確な治療にかかっています」（恩田医師）。
　CTや血管撮影装置もハイエンド機種を導入。CTは病変部周辺の神経細胞の損傷レベルまで解析。血管撮影装置は多面的で精緻な画像を描出し、デリケートな血管内治療を実現する。

術後管理や再発予防
リハビリまで総合的に

「SCU（脳卒中ケアユニット）は12床。専任の看護師と理学療法士等もチームに加わり、血圧や頭蓋内圧の管理、浮腫や再出血の予防を実施。超早期リハビリも開始します。一般病棟より治療成績が良くなる傾向が報告されており、実際当院でも退院も社会復帰も早くなっています」とは脳卒中センター長で脳神経内科医の髙橋賢医師。
　同院ではカテーテルの穿刺・挿入を一般的な脚の付け根の動脈ではなく、腕の橈骨動脈から行うことが多い。出血が少なく患者は治療翌日から歩行可能に。術後の回復が早い要因の一つだという。
「脳卒中は心臓疾患とも関連します。例えば不整脈が原因で心房にできた大きな血栓が脳動脈に飛べば心原性脳塞栓症に。循環器内科と連携し、患者さん個々の病態の原因を究明し、再発防止を図ります」（髙橋医師）
　必要に応じ埋め込み型心電計を用いたり、心臓の超音波検査や造影CTを実施したり、退院後も基礎疾患である動脈硬化や生活習慣病の管理に役立てる。
「本院には回復期リハビリテーション病床が33床あり、急性期治療後、運動機能などの低下があれば、一貫した療養が可能。腎臓内科と連携した人工透析も受けられ好評です」（恩田医師）
　患者の立場に立つきめ細かな医療で地域貢献を果たしている。