病院の実力2024 ＞ 医療法人社団 博豊会　博豊会 東京脊椎病院

理事長・院長
森　俊一

もり・しゅんいち／愛媛大学医学部卒業。日本脊椎・脊髄神経手術手技学会（JPSTSS）理事。日本整形外科学会認定整形外科専門医。

的確な診断と治療、リハビリまで総合的に提供

　2023年９月、あらゆる脊椎疾患を対象に高度医療を提供する「博豊会　東京脊椎病院」が東京・足立区にオープンした。森俊一理事長・院長は「2013年に八王子脊椎外科クリニックを開設し、精密な脊椎手術で地域の信頼を得て10年の節目。新病院では全78床を設け、内訳は急性期一般55床、回復期リハビリテーション23床。術後のアフターケアも充実させ患者様の生活を切れ目なく支援する願いが叶います」と語る。
　首腰の痛みや手足のしびれがあっても、正しい知識がないため湿布と鎮痛剤の服用で糊塗し、我慢している方は少なくない。
「なるべく早く専門医を受診しMRIやCT撮影、神経ブロックなどの検査で原因疾患を特定しなければなりません。多くは脊椎や椎間板の変形やズレ、靭帯の肥厚等により脊椎の中を通る神経（脊髄）が圧迫・障害され症状が表れます。ただ手術で原因を解決しても、長期間圧迫された神経は過敏で難治性の神経障害性疼痛に移行しかねません。脊椎疾患は早期治療が鉄則です」
　合併症状にも注意が必要で、例えば腰部脊柱管狭窄症は、休み休みにしか歩けない間欠性跛行が主症状だが、放置すれば排尿・排便を司る神経にダメージが及ぶ。脊椎が左右に曲がる側弯症では肺や心臓を、前かがみになる後弯症では胃腸を圧迫するため、進行すれば臓器障害を誘発しかねない。歩行能力も著しく低下し要介護に直結する。

経験豊富な専門医が執刀する脊椎手術

　同院には内視鏡下手術を含め、脊椎脊髄手術を担当する医師が現在５名。日本脊椎脊髄病学会、日本脊髄外科学会などに所属する実績豊富な医師と看護師やコメディカルを含めた全チームメンバーが、症例ごとにカンファレンスを行い、最適解を導いた上、チームで執刀する。
　従来から行われてきた椎弓部分切除術や椎弓形成術、ヘルニア摘出術などの神経除圧術。不安定性やすべり、側弯・後弯がある場合に行われるインプラントを使って矯正、固定するインストゥルメンテーション手術では、背中からアプローチするPLIFのほか、脇腹から進入するXLIF、OLIFなどを実施。頚椎では従来の前方もしくは後方からの除圧固定術に加え、椎間板ヘルニアに対して行う先進の手術方法として、人工椎間板を用いた置換術があるが、これも病態に応じて行っている。また、内視鏡下手術も積極的に行っており、腰椎椎間板ヘルニアに対しFED、腰部脊柱管狭窄症に対しFEL、頚椎症性神経根症に対しFECFなどを選択し行っている。これら難易度が高い術式に対応できる先進設備の導入も怠りない。Ｏアーム（術中モバイルCT）、高精度ナビゲーションシステム、リアルタイムでデジタルＸ線画像を表示するＣアームシステム、神経モニタリングなど大学病院同等を完備。安全性を担保し、傷が小さく筋肉を温存する低侵襲手術を実現する。「それぞれの手術にメリットデメリットがあり、患者様の意向や生活スタイルを聞きながら、柔軟に手術方法を選択しています。」
　市民講座などの地域の啓発活動にも尽力。脊椎疾患はすべてに手術が必要なわけではなく、理学療法で改善する症例も多数。「術後の運動指導で予後も良好になる。患者さまに寄り添うオーダーメイド治療がモットーです」
　首腰の痛み、手足のしびれを感じたら、迷わず受診しよう。快適な日常生活を取り戻すはじめの一歩となる。