順天堂大学医学部附属 順天堂医院

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順天堂大学医学部附属 順天堂医院 順天堂大学医学部附属 順天堂医院患者さんの立場に立った総合的なサポートを目指す

髙橋 和久

院長
髙橋 和久

たかはし・かずひさ/1985年順天堂大学医学部卒。米国ハーバード大学医学部附属マサチューセッツ総合病院がんセンター留学、順天堂大学医学部呼吸器内科学講座教授、同大学医学部附属順天堂医院副院長などを経て、2019年より現職。



水嶋 章郎

緩和ケアセンター長
水嶋 章郎

みずしま・あきお/1984年順天堂大学医学部卒。90年大学院医学研究科博士学位取得(麻酔科学専攻)。専門は緩和医療、疼痛制御。順天堂大学大学院医学研究科緩和医療学教授、2013年より現職。



髙橋 順天堂医院は2010年に厚生労働省指定地域がん診療連携拠点病院に指定され、2018年にはがんゲノム医療連携病院となりました。毎年4千人以上の新規がん患者を受け入れており、豊富な診療実績があります。がんを扱う幅広い診療科に各領域の専門医を揃え、特定機能病院ならではの高度で先進的な医療を提供してきました。ロボット支援下手術など低侵襲医療にも力を入れ、基礎疾患を持つ患者さんや高齢の患者さんも安心して治療を受けられる体制を整えています。根治的な治療で好成績を上げる一方、進行がんや再発、終末期の患者さんに緩和ケアチームと担当医が協力しながら緩和ケアを中心とした全人的なサポートを実践していることも、当院の特徴と言えるでしょう。
水嶋 緩和ケアは心と体のつらさをやわらげ、その人らしく過ごせるように支援する医療です。がんの進行具合を問わずすべての患者さんに必要ですが、根治が難しくなった患者さんにはより重要になります。緩和ケアがQOL(生活の質)の向上だけでなく、生命予後を延長することも明らかにされています。当院では早くから緩和ケアに着目し、2003年1月に緩和ケアセンターを設置。専従の医療チームによる緩和ケア診療を開始しました。緩和ケアチームは、ペインクリニック医師、メンタルクリニック医師、がん看護専門看護師・緩和ケア認定看護師、心理士、薬剤師、栄養士といった専門家で構成されています。
髙橋 緩和ケアチームをレベルアップすると同時に、各科でがん診療にあたる医師に緩和ケアに関する知識や技術を身につけてもらうための緩和ケア研修会にも力を入れてきました。東京都内の一医療機関当たりの研修修了者の割合は当院がトップという状況がずっと続いています。
水嶋 そのおかげで緩和ケアが必要な患者さんの初期対応は各診療科の医師がおこない、通常の方法ではコントロールが難しい症状など専門的なケアが必要な場合には緩和ケアチームが対応する――といった体制が整っています。また、特にきょうだいとの関係や将来など繊細な対応が求められる小児がんの患者さんは、全員、緩和ケアチームが介入しています。


がん治療センターがあらゆる悩みに対応

水嶋 緩和ケアチームが支援する対象は入院の患者さんですが、外来通院や地域の医療機関に転院していく患者さんも心身のつらい症状、家族との関係、お金の問題、がんによる容姿の変化、就学・就労といったさまざまな悩みを抱えています。そこで2007年に、入院外来を問わず患者さんとご家族が抱える問題に対応するための「がん治療センター」を設立しました。院内緩和ケアチームも含めた多職種が連携し、外来化学療法、緩和ケア、看護外来、がん相談、心理士相談、就労支援などに対応するほか、がん関連の図書コーナー、がん茶論、ミニレクチャーなど情報交換をする場も提供しています。
髙橋 医療が進歩し、がんを完全に治すことができなかったとしても、医療を上手に利用しながら良い状態で長く生きられるようになりました。患者さんに安心して療養していただけるように、オール順天堂でしっかりと支えていきます。


院長 髙橋 和久・緩和ケアセンター長 水嶋 章郎


順天堂のがん治療
不安を取り除く包括的なサポート

[PICK-UP] 血液内科

安藤 美樹

血液内科 教授
安藤 美樹 医師

あんどう・みき/1997年順天堂大学医学部卒。ベイラー医科大学、東大医科学研究所などを経て2021年より現職。


CAR-T療法で難治がん克服を目指す

 血液内科は、貧血や血小板減少症など良性の血液疾患から、白血病、悪性リンパ腫といった血液のがんまで幅広く診療しています。近年特に力を入れているのが、血液がんに対する「CAR-T細胞療法」です。患者さんの血液から免疫細胞の一種、T細胞を採取し、がんと戦うように強化して体に戻す先進的な遺伝子治療で、当院は急性白血病、悪性リンパ腫に対する「キムリア」「イエスカルタ」、多発性骨髄腫に対する「カービクティ」の提供施設に認定され、多くの治療を行ってきました。いずれも従来の抗がん剤治療や抗体治療に反応しない、再発・難治性の患者さんが対象ですが、白血病の場合は約8割が寛解を得られ、リンパ腫も半数以上が寛解を得るなど好成績を上げています。患者さん一人ひとりに対する日々の診療を大切にしながら研究にも取り組み、より多くの人を救う治療法の開発を目指しています。

患者さんのリンパ球からT細胞を分離し、冷凍するためのセルプロセシング室を完備

患者さんのリンパ球からT細胞を分離し、冷凍するためのセルプロセシング室を完備。


[PICK-UP] 消化器内科

伊佐山 浩通

消化器内科 教授
伊佐山 浩通 医師

いさやま・ひろゆき/1992年東京慈恵会医科大学卒。専門は胆道・膵臓疾患に対する内視鏡治療、化学療法消化管ステント治療。2017年より現職。


難治の膵臓がんでも諦めない治療を

 膵臓がんは、5年生存率が極めて低い難治がんです。予後が悪い理由の一つは早期発見がしづらいことですが、当科では超音波内視鏡の技術を駆使してできるだけ早い段階でがんを疑う所見を見つけています。見つかった時点で目に見えないがんが全身に散らばっている可能性が高いため、術前の化学療法でがんを抑えて最高のコンディションで手術に送り出し、術後もしっかりと化学療法を行うことで根治率を高めています。一方、遠隔転移などで根治ができない患者さんに効果と副作用のバランスを見ながら上手に化学療法を行うこと、適切な緩和ケアで症状を和らげることも、私たちの大切な役割です。消化管の通過障害がある患者さんにはステント治療で食事を摂れるようにするなど、QOLを高めてできるだけ良い状態で長く生きられるようにサポートをしていきます。

高度な技術を持つ内視鏡のスペシャリストが、検査やステント治療を担当している

高度な技術を持つ内視鏡のスペシャリストが、検査やステント治療を担当している。


[PICK-UP] 放射線科

鹿間 直人

放射線科 教授
鹿間 直人 医師

しかま・なおと/1987年信州大学医学部卒。米国MD.アンダーソン癌センター、フォックスチェイス癌センター留学。2017年より現職。


幅広く活用できる放射線治療

 放射線治療は、がんに高エネルギーの放射線を当ててがん細胞の遺伝子に傷をつけ、死滅させる治療です。根治目的の治療で手術に匹敵する好成績を上げるだけでなく、痛みなど緩和的な治療においても欠かせないものになっています。さらに近年は強度変調放射線治療(IMRT)や定位放射線治療といった「高精度放射線治療」が普及し、より精度が高く合併症が少ない治療が可能になりました。当院もさまざまな位置合わせの技術を導入するなど、さらなる精度の向上に取り組んでいます。小線源治療など照射技術のバリエーションが豊富なことも、当院の特徴です。少分割照射を積極的に取り入れ、社会生活への影響を少なくでき、高齢や持病で手術を諦めなければならない人も治療ができたり、臓器の形や機能を温存できるなど、多くのメリットがあります。安心して治療を受けてください。

腔内照射に加え組織内照射を行い最適な治療を行います。国内外の研修も受け入れています

腔内照射に加え組織内照射を行い最適な治療を行います。国内外の研修も受け入れています。


[PICK-UP] 形成外科

水野 博司

形成外科 教授
水野 博司 医師

みずの・ひろし/1990年防衛医科大学校卒。専門は乳房再建、熱傷再建、マイクロサージャリー、難治性創傷治療、下肢救済治療、再生医療、脂肪組織由来幹細胞による再生医学。2010年より現職。


術後の人生を心地よく過ごすために

 形成外科は、生まれながらの異常や、病気やけがによってできた身体表面の傷や欠損を、手術などで改善する診療科です。がん医療においても、がんの切除によって損なわれた見た目や障害された機能をできるだけ手術前に近い状態に戻すことで、患者さんのQOLを維持・向上するという重要な役割を担っています。たとえば舌がんの摘出手術では、術後の顔貌の変化や摂食嚥下機能の低下、発音や会話の障害を最小限にとどめるために、太ももなどの皮弁を移植しますが、細い血管をつなぐマイクロサージャリーの技術が欠かせません。また、乳がんの全摘術後の乳房再建では、インプラントを使った再建だけでなく自家組織による再建も豊富な実績があります。がんを治すことは最優先ですが、術後患者さんが心地よく過ごせるように、主診療科の医師と密に連携しながら力を尽くしています。

先進のデジタル顕微鏡と大画面3Dモニターを活用した再建手術を実践しています

先進のデジタル顕微鏡と大画面3Dモニターを活用した再建手術を実践しています。


HOSPITAL DATA

順天堂大学医学部附属 順天堂医院

順天堂大学医学部附属
順天堂医院

〒113-8431 東京都文京区本郷3-1-3
TEL.03-3813-3111(大代表)
https://hosp.juntendo.ac.jp/
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