病院の実力2024特別版 ＞ 交野病院

交野病院
院長
寳子丸 稔

ほうしまる･みのる／1981年京都大学医学部卒業、同大脳神経外科に入局｡91～93年UCSDに留学｡大津市民病院脳神経外科診療部長をへて2013年よりセンター長､16年より院長に就任｡日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。

交野病院
信愛会脊椎脊髄センター長
上田 茂雄

うえだ・しげお／1998年佐賀医科大学医学部卒業、同大学附属病院脳神経外科に入局。カナダ・トロント大学、大津市民病院脳神経外科などを経て、2013年より交野病院信愛会脊椎脊髄センター勤務。22年よりセンター長に就任。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。

脳神経外科医9名が在籍し整形外科医と連携。年間1千件以上の手術を実施

　「信愛会脊椎脊髄センター」は2013年に開設。頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症、頚部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、後縦靭帯骨化症など頚椎や腰椎の病気から脊椎・脊髄腫瘍に至るまで、脊椎脊髄疾患の全てを診療している。
　同センターの特色は主に3つある。まず一つ目が、脳神経外科医9名と整形外科医１名の計10名が専任で在籍し、脳神経外科医と整形外科医が互いに連携しながら診療を行っていること。寳子丸稔院長は「脳神経外科医は脳と脊髄の観点から、整形外科医は骨の観点から脊椎脊髄の病気をともに診療することで、診断の精度が高まり、幅広い治療の選択肢を得られるのが強みです」と話す。
　二つ目は、手術症例の多さだ。2022年（1月～12月）は胸腰椎除圧術、頚椎除圧術（椎弓形成術など）、胸腰椎固定術などを中心に計1018件の手術を実施。その中には手術の難易度が高い脊髄腫瘍摘出術20件も含まれる。手術件数は増加傾向にあり、関西圏だけでなく全国から患者が来院している。
　同センター長の上田茂雄医師は「手術症例数が増えればスタッフの経験値が高まり、創意工夫をする機会も増えます」という。たとえば手術に使う道具一つとっても、汎用品ではなく、より扱いやすいよう独自開発したものを使い、患者に優しい低侵襲な手術ができるよう努めている。
「医師や看護師、リハビリスタッフなど職員が一丸となり手術症例の多さを質の高さへとしっかり繋げることができています。数多くの手術経験があるからこそ、もし患者様に何らかの問題があった場合でも、すぐに気づくことができるのです」（上田センター長）

難治性疼痛の患者には、脊髄電気刺激療法で痛みを軽減

　三つ目は、薬物療法では十分な効果が得られず、慢性的な痛みを抱えている難治性疼痛の患者に対し、脊髄電気刺激療法を積極的に取り入れていること。
「痛みが軽減して歩けるようになる方もおられます。様々な治療をしたにもかかわらず、よい結果が得られていない患者様にとっては福音だと思います」と寳子丸院長。「たとえ他院では無理だった症例でも、この方法なら改善するのではないかなど医師たちから様々な治療への提案があがるのも当センターの特長です」と微笑む。
　手術までには至らずとも、腰痛などで悩んでいる患者に対しては、それぞれの病態に応じ、運動法、生活習慣改善、栄養指導などのアドバイスも欠かさない。「軽症から重症の患者様まで、脊椎脊髄疾患で悩める全ての人に対応できる施設でありたい」（寳子丸院長）
　最後に上田センター長は「患者様に治療法を提案するときは、自分の家族に置き換えて接することを最も心がけています。どの疾患にも標準の治療法がありますが、同じ治療法、術式でも切磋琢磨して技術を磨けば磨くほど精度や有効性は向上します。そのように日々チャレンジを積み重ねていくことで、次世代にバトンを繋いでいきたいです」と熱い思いを語ってくれた。