変形性膝・股関節の人工関節置換術に実績ある病院
社会医療法人 寿会
「人工関節センター」は2001年4月、初代センター長の大西啓靖氏が創設。主に股関節や膝関節の人工関節手術に特化した診療を行ってきた。2022年(1月~12月)は272件の手術を実施(うち股関節置換術は184件、膝関節置換術は88件)。2022年1月からは膝や股関節への再生医療をスタートさせ、痛みに悩む患者の福音となっている。
人工股関節置換術は、軟骨の摩耗で変形や痛みを引き起こし、ADL(日常生活動作)が著しく低下した場合に適応される。
大西宏之センター長は「人工股関節の手術は一般的には広い術野を確保できる後方アプローチが主流ですが、当院では基本的に前方アプローチで行っています。というのも、術中の筋腱の損傷や術後の痛みが少なくて済むので早期回復も期待でき、脱臼のリスクもほぼないからです」と話す。
同センターでは、術後の股関節の脱臼はなく、術後翌日から独歩可能な患者がほとんどだという。
一方、変形性膝関節症、関節リウマチなどの患者に対して行われる人工膝関節置換術では、手術支援ロボット「CORI」が用いられている。人工関節の手術支援ロボットCORIを2021年10月に導入。同院ではCORIによる単顆型人工膝関節置換術(UKA)と人工膝関節全置換術(TKA)を実施する。
CORIの最大の特徴は主に2つ。「一つはCORIを使うと骨の掘削誤差を1ミリ、1度以下に抑え、理想的な位置に高精度でインプラントを設置できること。二つ目は膝関節の進展時と屈曲90度のバランスだけでなく、可動域全ての靭帯バランスを確認できるため、個々の患者様の状態に合わせた微調整が可能で、より安定した違和感のない膝の動きを実現できることです」(大西センター長)
安井広彦・副センター長も「症例によっては切除せざるを得なかった十字靭帯を温存することも可能になり、術後満足度の高い手術ができています」と語る。
股関節と膝、いずれの手術も固定方法にはIBBC法(骨セメント固定時に顆粒状の水酸化アパタイトを骨、セメント間に介在させる人工関節固定法)を採用。術後30年、40年を経ても緩みはほぼないという。
同院では2016年から、脳卒中、脊髄損傷の再生医療に力を入れてきたが、そこで培った知識と経験を活かし、2022年1月から膝関節、股関節を治療する再生医療を開始している。厚生労働省に認可された第二種再生医療等提供機関として、22年(1~12月)は膝153件、股関節22件、23年(1~8月)は膝192件、股関節23件を実施した。
再生医療とは人が本来持っている自然治癒力を高める医療のこと。「関節が痛むが、まだ手術をするほどでもない、といった患者様を助けられる治療法です。保存的療法と手術療法の中間に位置付けられます」(大西センター長)
再生医療には患者の血液から抽出した有効成分を関節に注射するPRP療法、PRPをさらに濃縮しより多くの有効成分を抽出して注射するAPS療法、PFC‒FD療法の主に3つがある。
「いずれの療法も一定期間、痛みを抑え、関節機能の改善が期待できます」(同)。2023年11月からは脂肪由来幹細胞移植による再生医療(ASC療法)も開始する。こちらは「軟骨の再生がある程度期待できる可能性がある」(同)という。
大西センター長は「患者様が何を望み、どんな思いで過ごしておられるかなど、時間が許す限り丁寧に傾聴して、患者様の『こうありたい』を叶え、今後もより満足してもらえる治療を提供していきたいです」と語った。
社会医療法人 寿会
富永病院
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TEL.06-6568-1601
https://www.tominaga.or.jp/
■院長/富永 紳介
■診療科目/脳神経外科、整形外科、神経形成外科、脳神経内科、循環器内科、内科、放射線科、リハビリテーション科