脊椎脊髄疾患手術・治療に実績ある病院
独立行政法人 国立病院機構
1941年の創設以来、整形外科領域の高度な知見と実績で信頼の厚い村山医療センター。中でも脊椎・脊髄疾患は専門とする医師14名を擁し、低侵襲な顕微鏡下手術では高度な医療技術を提供する。近年は脊髄損傷の再生医療にも参画し患者の期待に応えている。
整形外科医長
脊髄損傷治療技術研究室長
小林 喜臣
こばやし・よしおみ/2004年慶應義塾大学医学部卒。慶應義塾大学医学部博士課程で脊髄損傷に対するヒトiPS細胞由来神経幹細胞移植について研究。2018年より米国で細胞移植治療に用いる新規デバイスの開発のほか、中枢神経疾患に対する遺伝子治療の研究に従事。2020年10月より現職。
「骨・運動器疾患」の臨床研究施設として国内有数の実績を持つ村山医療センター。中でも脊椎・脊髄領域では、長く専門医療の牽引役を果たしてきた。たとえば小児の特発性側弯症の装具療法や矯正手術、脊髄腫瘍の細密な摘除手術、結核に起因する脊椎カリエスの治療など、対応できる医療機関が限られる希少疾患も、積極的に行う。
一方「患者数が多いのは①腰部脊柱管狭窄症と②頚椎症性脊髄症です」と語るのは整形外科医長・脊髄損傷治療技術研究室長の小林喜臣医師だ。脊椎(背骨)には脳と末梢を結ぶ脊髄(中枢神経)が通っているが、加齢などで脊椎が変形・狭窄すると脊髄を圧迫し、①では痛みと痺れで休み休みにしか歩けない間欠跛行や、排便排尿障害が起こる。②では手指をうまく使えない巧緻運動障害や歩行障害が目立つ。いずれも徐々に進行し、生活の質の低下は否めない。
「血行促進や神経保護に働く薬物療法がありますが、効果が限定的な場合は、病態に応じ変性した骨や靭帯を切除する除圧手術を提案します。当院は低侵襲で安全性を重視した顕微鏡下手術が主流です」(小林医師。以下同)
顕微鏡下の手術は、術野は明るく、血管や神経の細部までクリアに見える。執刀医と助手が向かい合ってレンズを覗き、二人で手術を進める。的確で侵襲の少ない手術で、出血量も抑えられる。
“低侵襲手術”とは、単に切開部が小さいことではなく、体の機能を温存する手術のことだ。同院では①に対し、脊椎の片側から鉗子を入れ、対側の関節や筋肉を傷つけることなく除圧する「片側進入両側除圧術」や、椎弓を縦に切り開き、筋肉の負荷を最小限とする「棘突起縦割式椎弓切除術」も行う。
「②には国内でも実施施設の少ない『スキップ・ラミノプラスティ(選択的椎弓形成術)』を推奨(図①」)。首の筋肉を極力傷つけずに特殊な器具で広げ、頸椎の除圧を実現します。手術は顕微鏡下で行い、神経モニタリング装置やナビゲーションシステムも併用。万全に努めています」
脊椎が不安定ですべり症や弯曲があれば、X線透視下で、隣接する椎骨同士をスクリューで留める固定術で矯正する。
「従来の固定術より脊椎の内側からスクリューを挿入する『CBT法』を採用しています。低侵襲で骨の硬い部位で固定を行うことができます。高齢者にも無理がありません」
同院には回復期リハビリ病棟があり、術後は社会復帰に向けた治療にすぐ移行できるのも特徴だ。
同院は脊髄損傷の再生医療にも注力している。一つは慶應病院と連携の下、受傷後3~4週間の亜急性期で完全麻痺の患者を対象とした「iPS由来神経幹細胞移植」の臨床研究。移植後のリハビリへと歩を進めている。
他に受傷後4日以内と1週間以内の急性期で、不全麻痺の患者を対象に、幹細胞移植の臨床治験も2タイプがスタート。かつては不可能とされた中枢神経の再生と機能回復をめざす。
「当院は脊髄損傷専門病棟60床を備え、かねて難易度の高い症例の治療とリハビリには、専門性の高い技術と経験があります」
村山医療センターのチャレンジにますます期待が高まる。
独立行政法人 国立病院機構
村山医療センター
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■診療科目/内科・外科・整形外科・リハビリテーション科・泌尿器科・歯科