ロボット支援下手術・腹腔鏡手術・内視鏡治療に実績ある病院特集

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医師がロボットアームを操作して手術する「ロボット支援下内視鏡手術」。2018年には胃がんや直腸がん、22年には結腸がんが保険適用となり、公的保険の適用範囲拡大に伴ってロボット支援下手術は今後さらに普及していくと予想されている。直腸がんのロボット支援下手術で実績を持つ絹笠祐介先生に、ロボット支援下手術のメリットや今後の展望などについて伺った。

絹笠 祐介

取材協力
東京医科歯科大学病院
大腸・肛門外科 科長・教授
絹笠 祐介

きぬがさ・ゆうすけ/東京医科歯科大学卒業。国立がんセンター中央病院、東京医科歯科大学医学部腫瘍外科医員、札幌医科大学特別研究生、静岡県立静岡がんセンター大腸外科部長を経て、2017年から現職。



より精密で繊細な手術が可能に

 大腸がんの術式には標準治療の開腹手術、患部周辺に開けた小さな孔から内視鏡カメラや手術器具を挿入して行う腹腔鏡手術、「ダビンチ」と呼ばれるロボットを用いて、腹腔鏡手術と同じように小さな孔からカメラと器具を入れ、ロボットアームを操作して患部の切除、縫合などを行うロボット支援下手術の3つがあります。現在、大腸がん手術は腹腔鏡で多数行われており、ロボット支援下手術も急速に普及しつつあります。
 直腸のそばには前立腺、肛門、排泄や性機能に関わる神経などが張り巡らされ、それらを傷つけずにがんを摘出しなければならないため、直腸がんの手術は難易度が高いといわれています。
 腹腔鏡手術は手術痕が小さく痛みが少ない、回復が早い、開腹手術に比べて深い所がよく見えるといったメリットがあります。ただ、手の動きと鉗子の動きが反対なので術者はかなり高度な技術が求められます。経験の豊富な医師が手術を行った場合、開腹手術と同等な結果が得られます。
 ロボット支援下手術は、三次元立体画像を見ながら、手の動きがそのままアームの鉗子に伝わり、先端を器用に動かせ、手ぶれ防止や手の動きを縮小する機能などが備えられています。骨盤の奥や肛門近くにあるがんの取り残しも少なく、精密で繊細な手術が可能になりました。習熟が比較的容易なため、術者の経験の多寡に関わらず、安定した手術を行うことができます。


術後の排尿障害や再発リスクも低い

 私は前職の静岡がんセンター勤務時代に650例、現職で500例、合わせてこれまでに約1150例(2011年12月から2023年1月)の直腸がんロボット支援下手術を行ってきました。そうした経験からいえるのは、我々の施設では術後に起きる排尿障害が、ロボット手術だと5%弱になること、局所再発率も2%前後に低減することです。また、入院日数が1日程度短く、10日前後で済むとのデータもあり、患者さんへのメリットは非常に大きいと考えています。
 現在は一部の疾患のみにロボット支援下手術を適応している施設も少なくありませんが、今後は従来の手術が少しずつ置き換わり、ロボット支援下手術がスタンダードになると考えています。
 腹腔鏡手術やロボット支援下手術を受けられる際は「大腸癌治療ガイドライン」をよく読まれて、医師の習熟度やそれぞれの手術の長所短所などをよく確認し、ご自身に合った適切な治療を受けて頂きたいと思います。



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