病院の実力2023 ＞ 埼玉協同病院 関節治療センター

整形外科主任部長
関節治療センターセンター長
仁平 高太郎

にへい・こうたろう／1988年群馬大学医学部卒。1997年フランス。パリ第6大学病院に留学し人工関節手術に関して学ぶ。慶應大学病院、川崎市立川崎病院、さいたま市立病院等を経て現職｡日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本人工関節学会専門医・日本再生医療学会など。

整形外科部長
関節治療センター副センター長
桑沢 綾乃

くわさわ・あやの／2001年東京女子医科大学医学部卒。川崎市立川崎病院、東京医療センターを経て2008年から現職。日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本人工関節学会評議員兼人工関節専門医・日本股関節学会評議員・日本再生医療学会など。

ロボットかマニュアルで最適な治療を選択

　2019年にNAVIO、2021年にMakoシステム、ROSA、NAVIOの後継機のCORIといったそれぞれ特徴を持つ人工関節手術支援ロボット3機種を揃えた埼玉協同病院の関節治療センター。毎年1000件(2021年1～12月934件)近い人工関節置換術を行っているのは、仁平高太郎関節治療センター長と桑沢綾乃副センター長だ。
　ロボットを所有するだけでも先駆的だが、ロボットは機種によってそれぞれ特徴が異なる。股関節の人工関節で唯一使用を認可され、世界的に最も使用されている“Mako”、関節本来の形状に合わせた人工関節を設置できるため、靭帯を温存する膝の人工関節手術に威力を発揮する“CORI”、正確なアライメントを作り出すナビゲーション機能を強化し、靭帯バランスなど術者の意向も柔軟に組み入れた膝を作り上げる“ROSA”など、“強み”が違うのだ。
「現在(2022年12月)、国内で特徴の違う3機種の人工関節手術支援ロボットを導入しているのは当院だけでしょう。当センターでは、関節の変形や靭帯バランス、さらに患者さんのADLに応じてロボットを使い分けます。ただしロボットは手術の正確性を高めるために手術時間が長くなることも多く、総合的に従来法の方が良いと判断する場合、ロボットは使いません。ロボットはあくまでサポート役、術者の蓄積された経験や卓越した手技が最も重要です」と仁平センター長は説明する。
　また、桑沢副センター長は「患者様との出会いもご縁。当院で手術を希望して下さった信頼に責任を持って最高の手術を目指します。そして新しい脚でいきいきとした生活を取り戻してほしいんです」と熱く語る。
　同院は手術見学施設として全国から医師が学びに来院し、手術手技やロボット手術の手術指導も行っている。

APS療法は国内有数の症例数、再生医療でも先駆

　同院は厚生労働省に認可された第二種再生医療等提供機関でもある。脂肪組織を培養して関節内に注射する脂肪由来幹細胞移植、血液中の血小板を中心に成長因子などの有効成分を高濃度に抽出し関節内に注入するPRP療法(APS療法)※自由診療や、唯一の保険適応のため適応疾患は限られるが、自身の軟骨を培養し移植する自家軟骨培養移植など3つを採用している。
　中でもAPS療法は、症例数が2018年の再生医療開始以来、約1000件超(膝関節:850件、股関節:150件)と非常に多く、国内外で講演を依頼されるなど関節の再生医療分野でも指導的立場を担っている。
「手術だけでなく、再生医療も行うことで、患者様に寄り添い、納得いただける幅広い治療が提案できることが当院の誇りです」と両医師は語った。
　同院はリニューアルを進め、2026年にグランドオープンを控える。関節治療センターが拡大し、待望の変形性関節症に特化した病棟と外来がさらに整備されることになる。
※ 自由診療（健康保険適応外）の標準的費用について：APS療法 約23～24万円（状態により異なる）。