医療法人徳洲会 岸和田徳洲会病院

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岸和田徳洲会病院 ロゴ 医療法人徳洲会 岸和田徳洲会病院高度急性期病院としての医療を推進。
地域が信頼する“24時間断らない病院”

尾野 亘

病院長 尾野 亘


 1977年、現在74ある全国の徳洲会グループの病院の中で3番目に開院したのが岸和田徳洲会病院。大阪府の泉州地区、人口約90万人を医療圏とし、20の診療科、7つのセンター、6部門を包括する地域の基幹病院だ。
 開院当初150だった病床数は現在400床に増床。「生命だけは平等だ」という同グループの理念を、より多くの人に提供していく方針だ。
 特に力を入れているのが救急で「救命救急センター」での受け入れ数は昨年度(2021年4月~2022年3月)が8590件と、大阪府内の受け入れ件数1位となっている。
 2022年春、新・新館が完成したが、この一角に「常設型救急ワークステーション」が併設され、市の救急隊員が常駐する。救急隊との連携で、1人でも多くの命を救う体制がさらに強化された。
 2023年には「スーパーICU(集中治療室)」が始動する。通常のICUより広く、医師、看護師、理学療法士などのスタッフがチームで患者をケアする先進の救急治療ベッドである。
 病院長の尾野亘医師は、「400床のうちスーパーICUが8床、ICU 12床、HCU(高度治療室) 10床、救命センター28床があり、ベッドの約15%が特定機能ベッドです。また、災害時の拠点病院にも指定されています。それも含め、高度急性期病院としての医療を推進していきます」と語る。
 心疾患、消化器疾患、がん治療などそれぞれの診療科での治療にも定評がある。
 消化器治療は内視鏡による体に負担の少ない治療を行う。徳洲会病院の理念である離島・僻地医療にも取り組み、医師を交代で派遣し内視鏡検査・治療を行っている。
 心疾患に対しては、患者の症状、年齢などに応じ、幅広い治療法で対応する。開胸手術のほか、大動脈弁狭窄症に対するTAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)や、MICS(小切開心臓手術)などの低侵襲治療が行われる。
 がん治療は府が指定する診療拠点病院として、高水準の医療が提供され、患者・家族に対する支援も充実している。「人がすべて」という尾野病院長の考えの下、医療の質向上に取り組むQI活動を綿密に行っているのも特徴だ。

2022年完成の新・新館には、救急ワークステーションを備える。

2022年完成の新・新館には、救急ワークステーションを備える。

救命救急センターが2020年4月から運用を開始した「ラピッドレスポンスカー」

救命救急センターが2020年4月から運用を開始した「ラピッドレスポンスカー」

心臓血管外科では、累計9000例以上の手術を行ってきた。

心臓血管外科では、累計9000例以上の手術を行ってきた。

大動脈弁狭窄症に対するTAVIなど、身体的負担の軽いカテーテル治療も実施。

大動脈弁狭窄症に対するTAVIなど、身体的負担の軽いカテーテル治療も実施。

ドクターヘリが発着するヘリポートを2015年に開設。

ドクターヘリが発着するヘリポートを2015年に開設。

JCI認証取得病院・厚生労働省 臨床研修指定病院

JCI認証取得病院・厚生労働省 臨床研修指定病院


病院沿革


特別企画 東上総長、尾野病院長 独占インタビュー

新・新館が稼働、「スーパーICU」の
新設など高度な救急医療を推進

2022年に開館した「新・新館」で合計400床になった岸和田徳洲会病院。市の「救急ワークステーション」が併設され、連携するとともに、「救命救急センター」に「スーパーICU」8床が新設され、救急医療体制が強化されている。心疾患、消化器疾患、がん治療も合わせ、高度急性期医療を推進している。

尾野 亘

病院長
尾野 亘 Wataru Ono

おの・わたる/1995年奈良県立医科大学卒業。2001年から岸和田徳洲会病院消化器内科勤務 2019年4月岸和田徳洲会病院消化器内科部長兼副院長。同年9月から現職。日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会認定消化器病専門医。



高度急性期医療に特化した医療を提供

 大阪府・泉州エリア、人口約90万人の地域を主な医療圏とする岸和田徳洲会病院は1977年の開院以来、先進的な医療を推進するとともに、増床、屋上ヘリポートの設置など時代の要請に応じた設備を整えてきた。2022年には新・新館が完成、ベッド数は400床となった。
 病院長の尾野亘医師は、
「常に時代を先取りする試みをし、職員が一体となって進化しようという姿勢がある病院だと思います」と語る。
 高度急性期医療に特化し、特に救命救急、心疾患治療、消化器系疾患治療、がん治療の4つを柱とし、それぞれの領域で先進的治療が行われる。
 その実力のほどは、全国で約20の医療施設しか認定されていない国際的医療機関認証であるJCIの取得(2018年)・更新(2021年)にも示されている。
 主軸となる救命救急では昨年度(2021年4月~2022年3月)の搬送数が大阪府最多の8590件になった。
「2023年春、救命救急センターで、スーパーICU(特定集中治療室)8床が稼働を始めます。これは従来のICU(集中治療室)より広く、医師、スタッフがチームで患者をケアする先進的な集中治療室です」(尾野病院長)
 これにより従来のICU、一般病棟とICUの間に位置づけられるHCU(高度治療室)含め特定機能ベッドが揃うことになり、1人でも多くの命を救うための体制がさらに強化された。

■2022年2月に完成した新・新館。市の救急ワークステーションを併設、病床数は合計400床に。さらに2023年春には本館にスーパーICU8床を新設。

■2022年2月に完成した新・新館。市の救急ワークステーションを併設、病床数は合計400床に。さらに2023年春には本館にスーパーICU8床を新設。

■2018年12月に取得した医療機関の国際認証JCIを2021年12月に更新

■2018年12月に取得した医療機関の国際認証JCIを2021年12月に更新

消化器系疾患で先進的治療を推進

 同院は消化器系疾患の治療に実績がある。消化器内科を専門にする尾野病院長は、
「食道、胃、大腸など、消化器系にできるがんは早期ならESD(内視鏡的粘膜下層剝離術)により切除できます。40歳を超えたら1度は内視鏡検査を受けていただくことをおすすめします」と話す。
 また、同院では検査・治療のためにEUSという超音波内視鏡を導入、現在、1年で約400件の検査実績があり、年々件数が伸びている。これは先端に高解像度の超音波が備えられた内視鏡で、胃や十二指腸の粘膜にあてることですい臓や、胆嚢、胆管を観察することができる。
「すい臓や胆嚢の病変を早期に発見し、治療に繋げることができるようになりました。これまで診断することが難しかった疾患に道筋が見えてきましたね」(尾野病院長)

がん切除術(ESD)など内視鏡検査・治療も同院の強み。デザインを一新した白衣を着る内視鏡チーム

■がん切除術(ESD)など内視鏡検査・治療も同院の強み。デザインを一新した白衣を着る内視鏡チーム



畔栁 智司

副院長・心臓血管外科主任部長
畔栁 智司 Satoshi Kuroyanagi

くろやなぎ・さとし/2002年滋賀医科大学卒業。医学博士。日本外科学会認定外科専門医、心臓血管外科専門医認定機構心臓血管外科専門医。

TAVI、MICSなど低侵襲な多様な治療法を展開

 岸和田徳洲会病院では心疾患治療を重点領域とし、冠動脈、弁膜症、大動脈から末梢血管まですべての領域を診療する。
 たとえば心臓弁膜症の中の大動脈弁狭窄症の治療では、従来の胸を開いて人工弁に取り替える開胸手術のほか、大腿から細い管を通して人工弁を留置するTAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)と呼ばれる方法が行われている。また、小さく切開して患者の負担を軽くするMICS手術(小切開心臓手術)も行われるなど治療の種類は多様だ。
 同院の副院長で心臓血管外科主任部長の畔栁智司医師は、
「患者さんの症状、年齢などに応じて、最も適した治療法を決定するようにしています。実際、手術はどこでしても同じとは言えません。当院では心臓血管外科、循環器内科、麻酔科が連携したハートチームが自信を持って治療にあたっています」と語る。同院では心疾患予防の市民、開業医に向けた講演会など、啓蒙活動も積極的に行っている。「息切れ、胸の痛みがあれば年齢のせいと見過ごさず、早めに診察することをおすすめしたいですね」(畔栁副院長)

MICS手術の様子(中央:畔栁副院長)

■MICS手術の様子(中央:畔栁副院長)


出田 淳

院長補佐・副院長
出田 淳 Makoto Izuta

いずた・まこと/1988年兵庫医科大学卒業。医学博士。日本内科学会認定総合内科専門医、日本神経学会認定神経内科専門医。

良質な医療を提供するための多様な試み

 医療の品質と安全の取り組みのQI(Quority Indicator)活動も盛んだ。各部署で問題点を洗い出し、1年かけて取り組んだ改善点は、「QI大会」で発表・審査され、優秀なプログラムが表彰される。直近の大会では、「糖尿病透析患者の重症足病発生率の低減」が1位を獲得。また、「会計番号表示から支払いまでの時間短縮」など患者の利便を考慮した取り組みも評価された。
 QI活動担当の副院長・出田淳医師は「1つの部署での成果は他部署でも取り入れ、全員の知恵で医療の質を高めようという気運が高まっています」と話す。
 厚労省は2024年、「医師の働き方改革」を施行するが同院では以前から、有給休暇の取得推奨、初期研修医・専攻医の時間外勤務短縮を図り、ワークライフバランスを考える。2023年は医師の時間外勤務の短縮を実施するほか、敷地内にある職員のための保育園も拡張し、男女問わず優秀な人材の確保に努める。これは、「人がすべて」という尾野病院長の考えが反映されている。
「勤務環境を改善することで、病院が強靭な体力を維持でき、それが良質な医療の提供に繋がると考えています」(出田淳副院長)
 同院が地域から信頼される理由はこのような幅広く精緻な取り組みにある。

QI大会の様子(発表は透析センター)

■QI大会の様子(発表は透析センター)


救命救急センター

大阪府トップの搬送数に満足せず、チーム医療を推進して、より良い救急医療を目指す

尾野 亘

救命救急センター長
鍜冶 有登

かじ・ありと/1980年大阪市立大学医学部卒業。2011年から岸和田徳洲会病院に勤務。日本救急医学会認定救急科専門医。

 当院では24時間オープンの断らない病院として救命救急にあたり、2021年度(2021年4月~2022年3月)は8590件を受け入れました。確かにその数字には手応えを感じていますが、それだけで満足してはいません。私たちの使命は受け入れた患者さんの命を1人残らず救うこと、その覚悟を持って日々、治療に当たっています。
 基本的に受け入れを断ることはありませんが、同時に多数の搬送の要請があるなどで応えられなかった患者さんもいます。受け入れることができなかった件数を減らすために、体制を整えるなどの試みを今後も続けていきたいと思っています。
 2022年度には市の要請を受け、当院に岸和田市の「常設型救急ワークステーション」が併設されました。救急医療の場では一番早く患者さんに接した人の処置が大事で、的確な治療に繋がります。救急隊員と当院の医療スタッフが顔の見える関係を構築することで、うまく連携でき、治療の質の向上に繋がっていると感じています。
 救命救急はスタッフ全員でのチーム医療がカギです。当院の強みは「救命救急センター」だけでなく、症例に応じて各診療科が連携し病院全体で患者さんの治療に当たる連携の良さにあります。
 今後もより良い救命救急医療を目指して邁進していきたいと思っています。

ドクターカー

ドクターカー

HOSPITAL DATA

医療法人徳洲会 岸和田徳洲会病院

医療法人徳洲会 岸和田徳洲会病院
〒596-8522 大阪府岸和田市加守町4-27-1
TEL.072-445-9915(代表)
https://kishiwada.tokushukai.or.jp/
医療法人徳洲会 岸和田徳洲会病院

【診療科目】 内科/消化器内科/循環器内科/神経内科/外科/整形外科/形成外科/脳神経外科/心臓血管外科/産婦人科/小児科/皮膚科/泌尿器科/耳鼻咽喉科/眼科/歯科口腔外科/放射線科/麻酔科(大前典昭)/病理診断科/リハビリテーション科/救急科/心療内科/呼吸器内科/腎臓内科/消化器外科/歯科