おおたかの森病院

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おおたかの森病院ロゴ 医療法人社団 誠高会 おおたかの森病院消化器内科と外科のコラボで
膵臓がんと胆管がんに高い実績

肝・胆・膵のがん医療に定評があるおおたかの森病院。消化器内科と外科が連携し、黄疸等の合併症を内視鏡治療で迅速に改善。最短スケジュールで手術に臨み根治につなげてきた。併せて大腸がんの内視鏡手術と単孔式腹腔鏡手術を紹介する。

松倉 聡

理事長・院長
松倉 聡

まつくら・あきら/ 1993年東京大学医学部卒業。同大学医学部附属病院 第2外科入局。99年国立がんセンター中央病院 肝胆膵外科チーフレジデント、2001年東京大学附属病院 肝胆膵・ 人工臓器移植外科 助教。05年よりおおたかの森病院院長、13年医療法人社団誠高会理事長就任。日本外科学会認定外科専門医、日本肝臓学会認定肝臓専門医。



安達 哲史

消化器・肝臓内科 医長
安達 哲史

あだち・さとし/消化器・肝臓内科 医長。2010年千葉大学医学部卒。日本内科学会認定総合内科専門医、日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医・関東支部評議員、日本消化器病学会認定日本消化器病専門医、緩和ケア研修修了。



膵・胆管がんの迅速治療で手術の成功率を上げる

 消化器がんの中でも膵臓がんと胆道がん(胆管がん・胆嚢がん)は“サイレントキラー”と呼ばれる。初期症状が乏しい上、進行も早いため、気づいた時は根治不能な症例が多いからだ。特に膵臓がんは5年相対生存率が8.5%(出典:国立がん研究センターがん対策情報センター・2022)と極めて厳しい。
 おおたかの森病院は、松倉 聡院長を筆頭に、肝臓・胆嚢・膵臓領域を専門とする医師を複数擁し、このやっかいながんに積極的に取り組んでいる。
「ステージⅡまでのがんなら、一刻も早い手術が予後を決定します。当院はすぐERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)で黄疸治療に着手します」(松倉)
 胆管がんや膵頭部がんでは、腫瘍が胆汁の流れを阻害するため重度の黄疸を発症。炎症、高熱、肝機能障害などを伴い、そのままでは手術に耐えられない。ERCPは口から内視鏡を入れ、十二指腸経由で胆管や膵管にアプローチ。詳細なX線画像を撮影すると共に、胆管にステントを留置し、胆汁排出を促す。迅速な黄疸の抑制が、時間との戦いとなるその後の手術に、大きなアドバンテージとなることは言うまでもない。
 担当は消化器・肝臓内科の安達哲史医長。胆管挿管は高難度の手技だが、安達医長は着任以来6年間で1025例(2016年12月~2022年11月)に対し、98.7%の実績。
 内視鏡的アプローチの困難な肝門部胆管がんでは、消化器外科医である松倉院長が肝臓の外から針を刺すPTCD(経皮経肝胆道ドレナージ術)で胆汁を排出。内科と外科が連携する迅速な術前処置が、がん医療を成功に導く。
 そして最終的に予後を決定づける外科手術である。
「膵がんの手術は膵液が漏れると周辺の動脈を溶かしてしまい重篤な合併症を起こしてしまいます。またがんが血管へ浸潤している場合が多く、転移、再発を防ぐために、周囲の臓器や血管も含めて切除することが根治へつながります」(松倉)
 国立がんセンター、東大附属病院肝・胆・膵外科で執刀し、移植の経験も豊富な松倉院長が率いる外科チームは、相互に影響しやすい肝・胆・膵のがんに対応し、浸潤に対する血管再建などの高難度の手術において安定感を発揮する。本院2022年の肝・胆・膵臓がんの手術実績は51例を数える。

外科では松倉院長(写真:中央左)を中心に、肝胆膵疾患の手術を多数行っている。

外科では松倉院長(写真:中央左)を中心に、肝胆膵疾患の手術を多数行っている。

安達医長の豊富な内視鏡経験から、迅速で体の負担が少ない治療が受けられる。

安達医長の豊富な内視鏡経験から、迅速で体の負担が少ない治療が受けられる。

大腸がんはESDとSILSで対応

 罹患者の多い胃がん・大腸がん・食道がんの治療も内科・外科の連携が奏効する。安達医長は「どのがんも粘膜下層の1㎜以下でリンパ節転移がなければ、低侵襲な内視鏡手術ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)で“剥ぎ取る”ことが可能」と語る。
 ESDはガイドラインにある標準的な術式だが、安達医師の6年間の実績は食道がん18例、胃がん153例、大腸がん118例、計289例で穿孔はゼロという。「大腸は曲がりくねっている上、壁が薄く、腫瘍の中には横に5cm以上も広がる例もあり難易度が高い。当院のように厚生労働省の施設基準を満たした医療機関しか実施できません」(安達)。
 がんの浸潤が粘膜下層1mmを超えたら外科医の出番である。近年は腹腔鏡手術が主流だが、おおたかの森病院はおへその窪みを1ヵ所、3㎝ほど切開するだけのSILS(単孔式腹腔鏡手術)に定評がある。器具の挿入口を3つ備えた特殊なポートを嵌めて行うもので、傷痕はおへそに隠れ目立たない。痛みも出血も僅少で体に優しい。
「ポートから大腸を出し、腫瘍を的確に切除することが可能。骨盤奥の直腸にもカメラと鉗子が容易に届き、細密なモニター画像で神経を温存しつつ、安全な手術が行えます」(松倉)
 SILSは胆嚢結石による胆嚢摘出にも活躍。一方、胆管結石は、安達医長がERCPを駆使して排出する。
 消化器内科・外科の幅広いコラボレーションが、病態に応じた個別化医療を実現している。


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