院長
髙橋 和久
たかはし・かずひさ/1985年順天堂大学医学部卒業。米国ハーバード大学医学部附属マサチューセッツ総合病院がんセンター留学、順天堂大学医学部呼吸器内科学講座教授、同大学医学部附属順天堂医院副院長などを経て、2019年より現職。
当院は「患者第一」を掲げ、患者さんに優しく、安全で高度な医療の提供に取り組んできました。その一環として、女性が安心して妊娠・出産を迎え、生まれてきた子どもたちが健やかに成長していけるよう医療の面から支えることに力を入れています。母子医療の拡充を図るため、2019年に「周産期センター」と「小児医療センター」を開設。縦割りのひとつの診療科で診るのではなく、関連する各科、各部門、多職種が協力して一人の患者さんを支えるチーム医療を実践しています。
周産期センターは、妊娠から出産、新生児期にいたる過程で生じるさまざまな問題に、産科、麻酔科、小児科、小児外科などが緊密に連携し、24時間体制で対応。病気を抱えながらの妊娠や異常妊娠、分娩の異常、新生児の病気などに高度な専門医療や救急医療を提供するだけでなく、産科麻酔の専門医が常駐し、安全に無痛分娩ができる態勢の整備に努めてきました。さらに生殖補助医療など専門性の高い不妊治療や、若くしてがんになった患者さんのための妊孕(にんよう)性温存療法など、妊娠を望む方を対象にしたさまざまな医療も展開しています。
一方、乳児期からおおむね15歳までを担当する小児医療センターは、子どもの様々な病気とケガを診療できる設備とスタッフを揃えています。身体機能も精神も未発達な子どもの特性を熟知した小児科と小児外科を中心に、脳神経外科や心臓血管外科、眼科、形成外科、整形外科など各診療科が協力。手術は年間1000例を超える実績があり、より安全で精度の高い医療の提供を目指しています。
さらに慢性疾患をもつ子どもが小児期を終える頃に成人領域へ無理のないトランジション(移行期医療)ができることも、幅広い年代や病気に対応している大学病院ならではの強みと言えるでしょう。
日々医療を提供する中で私たちが最も大切にしているのは、患者さんの気持ちに寄り添うこと。入院生活を送る子どもたちやご家族、妊産婦さんの不安が少しでも軽くなり、心地よく過ごせるように、オール順天堂でサポートしていきます。
周産期・小児医療を連携してチームで行う
周産期センター長
板倉 敦夫 教授
1986年名古屋大学医学部卒業。同大産婦人科などを経て13年より順天堂大学産科婦人科学教授。19年から現職を兼任。
東京都の周産期認定施設となっている当院の周産期センターは、都内で発生する母体・胎児・新生児の緊急事態に常時対応してきました。とくに、病気を持って生まれてくる赤ちゃんが健やかに成長していけるよう、産科、小児科、小児外科、麻酔科、関連する各診療科が連携し、最善の医療を提供することを心がけています。胎児の段階で、できるだけ正確に診断して妊娠中は管理を徹底し、出生後は集学的な治療を行うなど、時間軸に合わせて適切な医療的ケアを提供できるのは、当センターの強み。不安を抱えるご両親に対しても、前向きに育児に取り組んでいただけるような支援を多職種で行っています。また、糖尿病や膠原病といった持病がある方の妊娠・出産のサポートや、積極的に無痛分娩に取り組んでいることも特色の一つ。産科麻酔の専門医が常駐し、安全に分娩できる体制の整備に努めています。
小児医療センター長
清水 俊明 教授
1983年順天堂大学医学部卒業。日本小児科学会専門医。専門は小児の消化器疾患および栄養学。現在、日本小児栄養消化器肝臓学会理事長。
小児医療センターでは、12の診療・研究グループを有する小児科部門と、小児外科を中心とした外科系診療科が協力し、小児にかかわる全領域の病気とケガを診療しています。特に消化器疾患では小児の内視鏡が行える数少ない施設でもあり、多くの炎症性腸疾患患者の治療を行っています。外科部門はあらゆる部位の高難度の手術に対応。各診療科の知見を結集することで最高レベルの治療を実現しています。当センターが大切にしているのは、子どもの心に寄り添った医療を提供すること。年齢に応じてわかりやすく病気や治療の説明をしているほか、入院生活のストレスを少なくするため、フロアに2か所のプレイルームを設置するなど療養環境にも配慮。心理士や保育士、子ども療養支援士などが子どもたちやご家族の心配を和らげ、安心して入院生活を送れるようにサポートをしています。
産科・婦人科(不妊治療部門)
河村 和弘 教授
1996年秋田大学医学部卒業。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会専門医。IVAを開発。
産婦人科では不妊治療にも力を入れており、年齢や原因に応じた最適な治療法を提案します。人工授精や体外受精、顕微授精、胚移植などほぼすべての治療が可能で、子宮筋腫や子宮内膜症といった婦人科疾患が原因の不妊に内視鏡と生殖補助医療を組み合わせた治療を行うなど、高度な医療を提供しています。とくに晩婚化で増えている早発卵巣不全に対する「卵胞活性化療法(IVA)」は、限られた施設でしか実施されていない特殊な技術。研究機関でもある当院は新たな治療法の確立や現状の治療の改善に取り組んでおり、研究から生み出された知見をより早く患者さんに提供できることも強みの一つとなっています。また、若いがん患者さんが、がんの治療後でもお子さんを持てるように、治療前に卵巣や卵子、精子を凍結する「妊孕(にんよう)性温存療法」を、がん治療医と協力しながら実施しています。
小児外科・小児泌尿生殖器外科
山髙 篤行 教授
1985年順天堂大学医学部卒業。2006年に小児外科・小児泌尿生殖器外科教授、19年より小児医療センター・副センター長を兼任。
小児外科部門は、生まれたばかりの赤ちゃんから中学生まで、年間約1100件の手術を担当しています。対象疾患は先天性のものも含め200種以上。関連する診療科も協力し、ほぼすべての臓器に対応できることが大きな強み。チーム全員が「この子が自分の子どもなら」という思いを共有し、最新の技術を駆使して安全性の高い手術を実現しています。当科では、腹腔鏡や胸腔鏡、ロボット支援下手術といった「低侵襲の手術」を積極的に導入。傷口が小さいのでからだへの負担が格段に軽く、体力のない子どもでも回復が早い。この先何十年も続く子どもの人生を考えると、傷跡が目立たないことも大きなメリットと言えるでしょう。さらに術後の管理や内科的な治療は小児科と連携して行うなど、それぞれの専門性を生かし、患者さんに最善の医療を提供すべく全力を尽くしています。
順天堂大学医学部附属 順天堂医院
〒113-8431 東京都文京区本郷3-1-3
TEL.03-3813-3111(大代表)
https://www.juntendo.ac.jp/hospital/