病院の実力2022 ＞ マッターホルンリハビリテーション病院

理事長・院長
白川 泰山

しらかわ・たいざん/ 1992年広島大学医学部卒業後、同整形外科入局。市立八幡浜総合病院、中国労災病院、信原病院、広島県立安芸津病院勤務を経て、2000年マッターホルン病院院長、2003年医療法人エム・エム会理事長に就任し、現在に至る。

充実のリハビリで失われた機能回復をめざす

　マッターホルンリハビリテーション病院は1969年に開設。急性期の治療を終えた患者がリハビリを集中的に行う「回復期リハビリ病棟」（37床）と、継続的な治療や看護ケアが必要な「医療療養病棟・介護医療院」（57床）がある。
　現在、理学療法士37人、作業療法士12人、言語聴覚士10人が在籍。医師や看護師、栄養士、歯科衛生士などの専門職がチームを組み、各々の患者に最適なプログラムを作成。家庭環境などを鑑み、自宅に戻ってからの生活を見据えたリハビリを実践している。リハビリにおいては『Life is motion（生きることは動くこと）』をモットーとして掲げ、「患者に応じたリハビリ量の最大化と質の充実」を目指している。スケジュールを徹底管理し、「最大限のリハビリが提供できるよう、病棟 のスタッフらが一丸となって取り組んでいます」と野中回復期リハ責任者は語る。2021年度は１日平均8.8単位のリハビリを提供。在宅復帰率は91％を実現した。
　最大の特長はロボットリハビリ設備の充実だ。
「運動機能を再獲得するには人を介した動作練習だけでなく、ロボットによるアシストを活用した反復練習が不可欠」と白川泰山理事長は語る。
　例えば、脳卒中による下肢麻痺の患者には、歩行中の股関節および膝関節の動きをアシストするロボットスーツ「Hybrid Assist Limb（HAL：ハル）」や「Welwalk（ウェルウォーク）」、「Honda 歩行アシスト」、歩行中のつま先の引っかかりや蹴りだしを改善する「Re-gait（リゲイト）」、脊髄損傷患者には歩行を支援する「FREE Walk（フリーウォーク）」、さらに上肢動作の練習に用いる「ReoGo-J（レオゴージェイ）」、「CoCoroe（ココロエ）」など、多彩なロボット機器を揃えて いる。リハビリ責任者で理学療法士の野中泰樹氏は「これらを組み合わせることで、それぞれの患者様の疾患や状態に応じたリハビリをしっかりと行えるのが当院の最大の強みです。セラピストにとっては介助量の負担軽減にも繋がっています」と話す。
　また同院では低周波機器を用いた飲み込み練習、こまめな口腔内ケアの実施などにより誤嚥性肺炎を予防するほか、ＮＳＴ（栄養サポートチーム）による栄養管理を徹底している。

様々な現場にトレーナーを派遣し、スポーツリハビリに尽力

　同院ではスポーツによるけがからの復帰を目指すスポーツリハビリにも力を入れている。整形外科医でアスリートの肩関節治療などに携わってきた白川理事長は「スポーツ傷害の予防、傷害が起きた後の早期競技復帰、パフォーマンス向上の３つをめざして当院のトレーナーをスポーツ現場に派遣し、けがの応急処置法や予防のためのトレーニングなどを指導しています」と話す。
　疼痛性疾患の痛みを軽減するため、低侵襲な体外衝撃波による疼痛治療や、変形性膝関節症などに対する再生医療（ＡＰＳ療法）にも取り組んでいる。「退院時に患者様の医療成果が最大となるよう、今後も地域に根ざした良質な医療の提供に努めます」と白川理事長は力を込めた。