回復期リハビリテーションの先進医療
175床全ベッドが回復期リハビリテーションに対応しており、脳血管疾患の患者が80%(2020年12月~2021年11月実績 634名/791名)以上を占めるリハビリテーション天草病院。ボバース概念に基づくチーム医療で機能回復を目指し、重症患者改善率、在宅復帰率は常に高い成績を維持している。急性期の病院からの信頼も厚く、評判を聞きつけた患者が県内外からも訪れるため、175の病床はほぼ満床状態が続く。そんな同病院の天草弥生院長に、特徴的なリハビリへの取り組みについてお話を伺った。
院長
天草 弥生
あまくさ・やよい/東邦大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会認定リハビリテーション科専門医。父・天草大陸現理事長の後を継ぎ2018年より現職。日本医療機能評価機構 リハビリテーション病院と付加機能評価リハビリテーション機能(回復)の認定を受けた同院を、敬愛の精神に満ち、より地域にひらかれた病院へと推し進める。
46年という長い歴史を持つリハビリテーション天草病院は、地域の中でいち早く「リハビリテーション病院」の名を掲げ、主に脳卒中や外傷患者の回復期リハビリテーションに取り組んできた。天草院長を含む日本リハビリテーション医学会認定リハビリテーション科専門医3名を筆頭に、日本神経学会認定神経内科専門医6名、日本内科学会認定総合内科専門医5名、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医2名、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医1名、リハビリを支えるセラピストも、総勢180名(理学療法士83名、作業療法士70名、言語聴覚士27名)と充実した診療体制を整えている。
近年は大学病院との連携にも力を入れている。たとえば、脳卒中の後遺症である手足のつっぱり(痙縮)に対しボツリヌス菌を筋肉内に注射して痙縮の改善を図るボトックス外来は順天堂大学の藤原俊之教授が同院を訪れ治療を行っている。「当院はボツリヌス治療の継続率が75%以上と高いのが特徴。これは確かな技術とスタッフ間の連携のたまもの」と天草院長。高次脳外来は埼玉医科大学総合医療センターの大林茂教授が担当。社会復帰への足がかりとなっている。摂食嚥下リハビリは日本歯科大学の菊谷武教授率いる口腔リハビリテーション科と当院歯科が連携し、嚥下内視鏡検査・嚥下造影検査を行っている。
「外部のリソースが加わることにより重症患者改善率はさらに上昇しています。嚥下障害に関しては、経管栄養から経口摂食への回復率(経口摂取回復率)も50%以上と高いことも特徴です。最新の医学的知見や大学病院での医療を取り入れられるメリットは非常に大きいです」と天草院長は語る。
同病院のリハビリテーションの特徴は、ボバース概念に基づくオーダーメイドのリハビリテーションを行っていることだ。ボバース概念とは、脳や脊髄などに障害を負った患者に対し、熟練したセラピストが神経・筋の可逆性や生体力学などを利用して一人ひとりに合ったケアを行い、機能改善を目指すアプローチのこと。入院中、スタッフは自分の家族のように患者に寄り添い、良いところを見つけてほめ、励ましの言葉をかけ続ける。少しでも機能が回復したら、それを生活場面で活かせるようチームで徹底的に関わっていく。退院時には、一人ひとりに合った自宅でできるリハビリ方法が書かれた冊子「ホームケアについて」を患者に手渡し、退院後の外来リハや訪問リハ、通所リハを継続できるように、スタッフ一丸となった努力も重ねている。
「患者さんの目標はそれぞれ違う。ご飯が口から食べられるようになりたい、歩いてトイレに行けるようになりたい、日課だった孫の弁当をまた作れるようになりたい、何が何でも職場復帰したい、と様々です。自分らしく生きていただくためにも、目標に向かって患者さんと共にあらゆる職種がチームとなり、日々の観察や治療を情報共有しながらリハビリを行うことが一番大切です」と天草院長。
医師・スタッフの手厚く粘り強いリハビリが評判を呼び、話を聞いた患者が県内外からも来院する。病床稼働率は常に98%以上を誇る。「地域に根差すとともに、他院に真似できない取り組みをすることで常にトップを走り続けたい」と力強く語る天草院長は、今後もスタッフとともに患者さんの「自分らしい生活」を追求し続ける。
医療法人 敬愛会
リハビリテーション天草病院
〒343-0002
埼玉県越谷市平方343-1
TEL.048-974-1171
https://www.keiaikai.com
■診療科目/リハビリテーション科、神経内科、内科、整形外科、歯科、小児歯科