心臓病・血管病に強い病院
心臓血管疾患手術の低侵襲化を追究し、オーダーメイド医療をモットーとする本院。陣頭指揮を執る渡邊剛院長は2005年、ロボット支援下の僧帽弁形成術を先陣切って成功させたパイオニアだ。あらゆる心臓血管疾患に向き合い、救命に尽くす現場を追った。
院長
渡邊 剛
わたなべ・ごう/1984年金沢大学医学部卒。独ハノーファー医科大学留学。金沢大学医学部外科第一講座主任教授などを経て2014年にニューハート・ワタナベ国際病院を開設。日本外科学会認定外科専門医、日本胸部外科学会認定心臓血管外科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本ロボット外科学会理事長。
心臓血管外科領域を先導する渡邊剛院長のミッションは、世界最高水準の超低侵襲治療の追求だ。中でもロボット(ダビンチ)支援下の心臓手術執刀数は、世界一の称号を二年連続※とっている。
「ロボット心臓手術は、2018年に閉鎖不全や狭窄を起こした心臓弁膜症の僧帽弁・三尖弁の形成術が保険適用となり、ニーズも急増しました。当院のロボット心臓手術の特長は、胸部に1円玉大の孔を4ヵ所開けるだけですべての操作を行う『キーホール手術』。神経も骨も傷つけないため、出血と痛みが少なく回復が早い。3~5日で退院が可能です」
他に心房中隔欠損症と冠動脈疾患でもダビンチは大活躍。後者は完全内視鏡下のほか、後述するMIDCABとのハイブリッドも実施。日本で唯一の甲状腺のダビンチ切除術も手掛ける。
「硬く石灰化が進んだ大動脈弁を、自己心膜の一部で作成した弁に置き換える大動脈弁形成術(弁膜新生手術(Ozaki手術))も、近々ダビンチで行う予定です」
超低侵襲治療のもう一つの柱は「小切開心臓手術」である。心臓手術は胸骨を縦に20㎝ほど切り下げる正中切開を基本とするが、小切開(MICS)は肋骨の間を横に5~7㎝切開するもの。大動脈弁と僧帽弁の弁置換術は、MICSと内視鏡とのハイブリッドで行われる。
一方、小切開で行う冠動脈バイパス手術はMIDCABと呼ぶ。病変部の位置やバイパス本数に応じ、内視鏡のハイブリットを選択。
「全例で人工心肺は使いません。出血も少ないので輸血も不要」 独創的な不整脈治療として着目される「ウルフ‐オオツカ法」も、当院の大塚医師が小さな切開だけの完全内視鏡下で実施されている。
「心臓手術の成功率は開院以来6年間で99.5%。経験豊富な8名の心臓血管外科医をコアに、循環器内科医、麻酔医、看護師、臨床工学技士などが連携する“チーム・ワタナベ”のたゆまぬ研鑽の賜物でしょう」
もう一つ本院を特徴づけるのは、患者本位の開かれた医療体制だ。紹介状は不要。無料メール相談には院長自らが深夜でも即レス。初診時に、必要な検査はすべて済ませる。だから手術前は1回の受診で済み、かつ2週間以内には執刀という迅速スケジュールが組まれている。
「心臓疾患は命にかかわるため、患者さんの不安は大きい。一刻も早く最善の治療を尽くし、新たな人生への水先案内とならなければなりません」
その決意が、病院名『ニューハート』に込められているのだ。
副院長 兼 ウルフ-オオツカ
低侵襲心房細動手術センター長
大塚 俊哉
おおつか・としや/1986年東北大学医学部卒業
心臓は「洞結節」という司令塔が発する電気信号で規則正しい拍動を刻みます。このリズムの異常を不整脈といい、最も罹患者が多い不整脈が「心房細動」。主に肺静脈周辺から異常信号が出て、心臓が痙攣する疾患です。
慢性化すると心臓壁に負担をかけ、心不全のリスクが増大。何より問題は左心房に付随する「左心耳」内で血液が淀み血栓化。これが脳動脈に流れ重篤な脳梗塞「心原性脳塞栓症」の原因となることです。
「ウルフ‐オオツカ(WO)低侵襲心房細動手術」は、左右の腋窩に4個ずつ小さな孔を開けて行う内視鏡下手術。まず左心耳を医療用ホチキスで切除し血栓発生をストップ。心原性脳梗塞の不安から永久に開放されます。
次いで肺静脈、上大静脈等、心臓の裏側などを心臓の外側から専用の器具で挟み、ラジオ波で焼灼し、異常信号の伝導を電気的に隔離。心房細動の根治率は発作性なら90%以上です。所用時間は1時間半。2008年来、1800例を治療してきました。
心房細動治療には心臓の内側から患部を焼灼・隔離するカテーテルアブレーションがありますが、再発率は2~3割とされます。左心耳も残存するので抗血栓薬の服用も必要です。WO法を、自信を持っておすすめします。
副院長 兼 心臓外科部長
富田 重之
とみた・しげゆき/1992年金沢大学医学部卒業
心臓手術の基本である正中切開は胸骨を縦に長く切り開くため、痛みや出血、感染リスクが高く、骨の癒合にも時間がかかります。そこで肋骨の間や、腋の下を小さく切開し、病態に応じて内視鏡を補助的に使う「小切開手術」がさまざまに工夫され、低侵襲化が進みました。本院でも弁置換や弁形成、冠動脈バイパス手術などで可能な限り活用しており、体の大きい方にも対応しています。
ただ低侵襲とは傷の大きさだけに限るわけではありません。手術時間が短いこと、的確な切開と縫合で出血が少ないこと、周辺の神経や血管、筋肉などを極力温存し合併症を防ぐことなども低侵襲という事ができます。医師個人の技量とチームの総合力を高めて初めて実現するものです。
たとえば心臓に隣接する上行大動脈に動脈瘤が発生し、かつ大動脈弁を支える弁輪も拡張している重症の大動脈弁閉鎖不全症では、上行大動脈を人工血管に置換し、弁輪を整えて自己弁を温存する手術となります。
当院では心肺停止時間を90分と短縮し、人工心肺の負荷を低減。低体温化も一般的には28℃とするところを32℃で可能にしており、出血も少ないため輸血もほとんど不要です。ハイエンドな治療から、社会復帰後の「生活の質」をも見据え、総合的に行うことが低侵襲に繋がるのです。
副院長 兼 内分泌・呼吸器外科部長
石川 紀彦
いしかわ・のりひこ/1993年金沢大学医学部卒業
甲状腺は喉仏の下にある小さなホルモン分泌器官で、蝶が左右に羽を広げた形をしています。
甲状腺がんの95%はおとなしいタイプで、リンパ節転移の可能性はあるものの、早期発見ならほぼ完治を目指せます。
治療の第一選択肢は手術によるがんの切除です。一般的な手術では首を横に5~10㎝切開するため、傷痕が目立ちます。罹患率は女性が男性の約3倍と多いため、整容面で悩む方が少なくありません。
私が採用するのは「腋窩アプローチによるロボット支援下甲状腺切除術」。根治の見込めるがん、もしくは悪性・良性の区別が難しい腫瘍を対象とし、腫瘍のある側の甲状腺片葉切除と、附属リンパ節郭清を実施。片葉は残すので、ホルモン分泌機能は温存されます。
まず腫瘍側の腋窩(脇の下)を3㎝切開し、皮下を甲状腺に至るまで剥離。腋窩から4本のロボットアームを挿入し、手術します。ダビンチの立体カメラは解像度が高く、アームも執刀医の意図通り的確に動くので副甲状腺や反回神経など周辺組織を傷つける心配がありません。
腋窩の傷はごく小さく目立たず、満足度は高いのですが保険適用外なので実費は約120万円。
鎖骨下からアプローチする内視鏡下甲状腺切除術は保険の対象です。
医療法人社団 東京医心会
ニューハート・ワタナベ国際病院
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