人工関節手術の先進医療 手術支援ロボット導入病院特集

病院の実力2021 > 社会医療法人 緑泉会 米盛病院

社会医療法人 緑泉会 米盛病院ロボティックアーム手術支援システム
Mako(メイコー)を導入し、設置精度と患者満足度の高い
人工膝・股関節手術の実現を目指す

整形外科単科病院として開院した米盛病院。近年、救急医療にも注力し、鹿児島県の地域医療を多面的にサポート。整形外科では2019年にMakoを導入し、人工関節手術において、質の高い医療の提供に取り組む。

水島 正樹

整形外科
水島 正樹

みずしま・まさき/日本整形外科学会認定整形外科専門医 他

積極的な救急医療で地域を支える

 2019年12月に開院50年を迎えた米盛病院の始まりは、整形外科単科の診療所(19床)であった。長らく整形外科単科の病院であったが、2013年に救急科を標榜追加し、2014年に鹿児島市与次郎地区に新築移転。2018年には200床の回復期病棟を併設した。現在では、脳神経外科・心臓血管外科・循環器内科などを加えた18診療科・506床を有し、「1秒を救う。一生につなぐ。」をコンセプトに地域医療の量と質の向上に努めている。
 同院は、血管造影装置やCT、手術台などが集約されたハイブリッドER(救急室)を完備し、救急搬送受け入れ後、病態の把握から緊急手術まで迅速に行える環境が整う。さらに、全国的に数少ない民間医療用ヘリ(Red wing)を運航し、災害医療や離島・遠隔地の重症患者の受け入れにも積極的に取り組む。
 また、独自の「救急相談ダイヤル#7099」を設け、同院の救急救命士が24時間365日、地域住民からの受診相談に対応、救急車の適正利用促進にも貢献している。


新しい技術を用いた精度の高い人工関節置換術と
充実した術後リハビリテーション

 整形外科では、関節・脊椎・外傷など分野ごとにチームを組み、より専門性の高い診療を行っている。関節変性疾患に対する人工膝・股関節置換術において、高度な手術技術が必要であり、綿密な術前計画が手術により正確に再現されるか否かが、耐久性のみならず、関節機能までも左右することが証明されている。習熟した外科医であっても従来法の人工膝関節手術では25%以上の症例で術前計画から3度以上のインプラント設置誤差を生じるという報告があり、同院ではかねてから術中ナビゲーションシステムや3D術前計画ソフトを用いて、より正確なインプラント設置を追求してきた。2019年には、Mako(メイコー)を導入し、2020年1月から九州・沖縄地域で初めて臨床使用を開始。同年12月末までに228件の人工関節置換術を実施した。「Makoでは1ミリスライスのCT画像を参考に医師が詳細な術前計画を行います。術中、関節内の軟部組織や骨の状態を評価し、計画に加味した後は、ロボテイックアームの出番です。ロボテイックアームは医師が理想とする患者個々の計画を再現性高く、正確に行えるよう手術操作を補助してくれます。従来の手術と比較し、視野確保を目的に大きく手術範囲を展開する必要がないため、過剰な骨切除や軟部組織損傷のリスクが低減され、患者さんの身体的負担の少ない手術を完遂できます。先行する海外の病院からは、人工関節の設置精度の向上や術後疼痛の低減、患者満足度の改善に関する報告も発信されています。当院スタッフと一丸となり、手術時間短縮も達成できました」と水島正樹医師は語る。
 また、充実した術後リハビリテーションも特徴のひとつ。極端な入院短縮化を行わず、家庭や社会に不安なく復帰できるようADL(日常生活動作)を重視した機能回復訓練を実施する。リハビリスタッフは約200名在籍。医師をはじめとしたメディカルスタッフが連携を取り、手術加療からリハビリまでシームレスな周術期医療を提供している。

Makoを用いた人工関節置換手術

Makoを用いた人工関節置換手術。Makoはロボティックアームのほか、ナビゲーションのための情報処理機、光学式カメラ、術者用モニターなどで構成される。術中は術野および手術器具の位置関係がリアルタイムで表示される。


手術実績件数


HOSPITAL DATA

社会医療法人 緑泉会 米盛病院

社会医療法人 緑泉会 米盛病院
〒890-0062
鹿児島市与次郎1丁目7番1号
TEL.099-230-0100
http://www.yoshida-seikei.jp/


■診療科目/整形外科、救急科、外科、脳神経外科、心臓血管外科、消化器外科、形成外科、内科、循環器内科、呼吸器内科、消化器内科、心療内科、放射線科、産婦人科、リハビリテーション科、リウマチ科、小児科、麻酔科(麻酔科医:岩永康之)