手術支援ロボット導入病院特集
整形外科単科病院として開院した米盛病院。近年、救急医療にも注力し、鹿児島県の地域医療を多面的にサポート。整形外科では2019年にMakoを導入し、人工関節手術において、質の高い医療の提供に取り組む。
整形外科
水島 正樹
みずしま・まさき/日本整形外科学会認定整形外科専門医 他
2019年12月に開院50年を迎えた米盛病院の始まりは、整形外科単科の診療所(19床)であった。長らく整形外科単科の病院であったが、2013年に救急科を標榜追加し、2014年に鹿児島市与次郎地区に新築移転。2018年には200床の回復期病棟を併設した。現在では、脳神経外科・心臓血管外科・循環器内科などを加えた18診療科・506床を有し、「1秒を救う。一生につなぐ。」をコンセプトに地域医療の量と質の向上に努めている。
同院は、血管造影装置やCT、手術台などが集約されたハイブリッドER(救急室)を完備し、救急搬送受け入れ後、病態の把握から緊急手術まで迅速に行える環境が整う。さらに、全国的に数少ない民間医療用ヘリ(Red wing)を運航し、災害医療や離島・遠隔地の重症患者の受け入れにも積極的に取り組む。
また、独自の「救急相談ダイヤル#7099」を設け、同院の救急救命士が24時間365日、地域住民からの受診相談に対応、救急車の適正利用促進にも貢献している。
整形外科では、関節・脊椎・外傷など分野ごとにチームを組み、より専門性の高い診療を行っている。関節変性疾患に対する人工膝・股関節置換術において、高度な手術技術が必要であり、綿密な術前計画が手術により正確に再現されるか否かが、耐久性のみならず、関節機能までも左右することが証明されている。習熟した外科医であっても従来法の人工膝関節手術では25%以上の症例で術前計画から3度以上のインプラント設置誤差を生じるという報告があり、同院ではかねてから術中ナビゲーションシステムや3D術前計画ソフトを用いて、より正確なインプラント設置を追求してきた。2019年には、Mako(メイコー)を導入し、2020年1月から九州・沖縄地域で初めて臨床使用を開始。同年12月末までに228件の人工関節置換術を実施した。「Makoでは1ミリスライスのCT画像を参考に医師が詳細な術前計画を行います。術中、関節内の軟部組織や骨の状態を評価し、計画に加味した後は、ロボテイックアームの出番です。ロボテイックアームは医師が理想とする患者個々の計画を再現性高く、正確に行えるよう手術操作を補助してくれます。従来の手術と比較し、視野確保を目的に大きく手術範囲を展開する必要がないため、過剰な骨切除や軟部組織損傷のリスクが低減され、患者さんの身体的負担の少ない手術を完遂できます。先行する海外の病院からは、人工関節の設置精度の向上や術後疼痛の低減、患者満足度の改善に関する報告も発信されています。当院スタッフと一丸となり、手術時間短縮も達成できました」と水島正樹医師は語る。
また、充実した術後リハビリテーションも特徴のひとつ。極端な入院短縮化を行わず、家庭や社会に不安なく復帰できるようADL(日常生活動作)を重視した機能回復訓練を実施する。リハビリスタッフは約200名在籍。医師をはじめとしたメディカルスタッフが連携を取り、手術加療からリハビリまでシームレスな周術期医療を提供している。
社会医療法人 緑泉会 米盛病院
〒890-0062
鹿児島市与次郎1丁目7番1号
TEL.099-230-0100
http://www.yoshida-seikei.jp/
■診療科目/整形外科、救急科、外科、脳神経外科、心臓血管外科、消化器外科、形成外科、内科、循環器内科、呼吸器内科、消化器内科、心療内科、放射線科、産婦人科、リハビリテーション科、リウマチ科、小児科、麻酔科(麻酔科医:岩永康之)