脊椎脊髄疾患手術・治療
脊椎脊髄の疾患は、保存療法だけでは神経の損傷が進んでしまうこともある。平和病院 横浜脊椎脊髄病センターの田村睦弘センター長は患者個々の状況を見極め、ベスト・タイミングで低侵襲の手術に努める。その詳細を聞く。
平和病院 横浜脊椎脊髄病センター
センター長
田村 睦弘
たむら・むつひろ/慶應義塾大学医学部卒業後、同大学整形外科学教室入局。川崎市立川崎病院、国立病院機構村山医療センター、済生会横浜市東部病院などを経て現職。2012年2月平和病院・横浜脊椎脊髄病センター設立。東京都八王子市にある高月整形外科病院・脊椎センター長兼任。医学博士。日本整形外科学会認定整形外科専門医。日本整形外科学会認定脊髄内視鏡下手術・技術認定医。日本脊椎脊髄病学会の指導医。
平和病院・横浜脊椎脊髄病センターでは脊椎脊髄疾患治療のために、薬物療法、運動療法、神経ブロック治療などの保存療法を始め、内視鏡や顕微鏡を含むさまざまな手術を提供している。
モットーは患者さまのために、本当に必要な手術だけを厳選することだ。
平和病院副院長で横浜脊椎脊髄病センター長の田村睦弘医師は、「手術対象となるのは、保存療法を続けても効果のない方と、身体に麻痺などの症状が出た方などです。手術の適応を正しく見極めて、低侵襲な手術に努めています。
センターでは椎間板ヘルニアの手術で、『椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)』、『内視鏡下椎間板切除術(MED)』または『経皮的内視鏡下椎間板切除術(PED)』などを行います。MEDやPEDの他に、直径12㎜の中間サイズの内視鏡による手術も行っています。ヘルニアの性質、位置、大きさに応じて3種類の内視鏡を使い分けます」と話す。
同センターでは「腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症」の手術も内視鏡下で行う。手術は可能な限り特定した患部のみを狙い、低侵襲に徹する。
「狭窄部位が複数ある場合、それぞれに内視鏡下の手術を行うと、かえって時間や体の負担がかかるため、従来通り切開し、直視下で手術することもあります。超短時間で手術を終わらせたい高齢者や重篤な基礎疾患のある方にも、切開手術を選択する場合があります」
患者さんの状態に応じて体に負担のかからない最適な方法を選択している。
椎骨がぐらついて狭窄や腰痛の原因となる場合は、「固定術」を検討する。
「腰椎変性すべり症や腰椎変性側弯(そくわん)症では、MIS‒TLIF(低侵襲腰椎後方椎体間固定術)が代表的な術式です」
その他に、脇腹またはやや前側から脊椎にアプローチするXLIF (側方腰椎椎体間固定術)とOLIF (前側方腰椎椎体間固定術)も行う。
一方、脊椎の変形やすべりがあっても、除圧のみで治癒する例も多々あるという。あえて固定は行わず、根治を目指す。患者にとって適切な治療を見極める“的確な眼”こそ田村医師の真骨頂だ。
近年多い椎骨の圧迫骨折には、医療用セメントを患部に注入する『椎体形成術(BKP)』も行う。
また、「頸椎椎間板ヘルニア」や「頸椎症性脊髄症」など頸椎疾患に取り組んでいるのも同センターの特徴だ。従来の頸椎前方や後方手術に加えて頸椎人工椎間板置換手術も導入予定である。
同センターは、地域の整形外科クリニック・ペインクリニックからの信頼も厚く、患者紹介も多い。遠方からも患者さんが訪れるという。首・腰のトラブルを抱える方のセカンドオピニオンも積極的に受け入れている。
医療法人 平和会
平和病院 横浜脊椎脊髄病センター
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