杉村病院

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医療法人 杉村会 杉村病院命に関わる脳疾患や心疾患に迅速対応し、
地域の急性期医療を担う

熊本市中央区にある医療法人杉村会「杉村病院」は1956年の開院以来、「地域の人々の健康を守り、地域の人々から愛され、社会に貢献できる病院を目指す」という理念を掲げ、救急医療や慢性期疾患のケア、糖尿病治療や生活習慣病の予防など、地域のニーズに沿った先進の医療サービスを提供してきた。現在、心筋梗塞や脳卒中など命に関わる急性期の救急医療に力を入れ、全身の血管病を検査、診断、治療する体制を整え、日本脳卒中学会より一次脳卒中センターに認定されている。

杉村 勇輔

副理事長 兼 脳神経内科医長
杉村 勇輔

すぎむら・ゆうすけ/2010年東邦大学医学部医学科卒業。板橋中央総合病院、東京都済生会中央病院、熊本大学病院などを経て、2019年より現職。日本神経学会認定神経内科専門医。日本脳神経血管内治療学会認定脳血管内治療専門医。熊本大学病院脳神経内科臨床教授。

専門性の高い脳卒中治療を提供

 同院は2019年4月、それまでの頭痛外来、脳卒中内科外来を発展させ、急性期の脳卒中に対応できる高度先進的な脳神経内科を開設。熊本大学病院脳神経内科特任助教だった杉村勇輔医師(現在、同科臨床教授)が副理事長兼脳神経内科医長に就任し、「脳卒中の24時間364日救急体制」をスタートさせた。
 血栓によって脳の血管が詰まる脳梗塞の場合、血栓を溶かす薬剤を静脈に注射して血の固まりを溶かすt-PA療法(発症から4時間半以内)、あるいはカテーテルを用いて血の固まりを除去し、再開通させる脳血管内治療(カテーテル治療、発症から24時間以内)が標準的治療だ。
「三次救急病院が備えるこうした専門性の高い治療を、当院では常に提供できる体制を整えています」
と杉村副理事長は話す。
 2019年度の救急搬送件数は1,674件(うち脳血管障害は334件で約20%)。救急隊との勉強会を開催して意思疎通をはかり、
「救急搬送件数は年々、右肩上がりで増えています。三次救急病院の負担軽減に資する役割を果たせていると思います」(同)。
 脳卒中は、要介護や寝たきりになる一番の原因となるため、発症後は一刻を争う早期の治療が必要だ。
「1階フロアは、救急外来、カテーテル治療室、MRI室が近接し、スピーディーで無駄のない動線を確保していることが当院の最大の特長です。2019年度、救急隊が到着してからカテーテル治療室で再開通するまでに要した時間は、81.5分(中央値)でした。患者様が到着して10~20分以内にCTやMRIなどの必要な検査を行って治療方針を決定。脳血管内治療が必要な場合でも、1時間以内に血管を開通できる場合があります」
と杉村副理事長は胸を張る。

1階フロアは、救急入り口、救急外来、カテーテル治療室、MRI室が近接し、スピーディーで無駄のない動線を確保している。

1階フロアは、救急入り口、救急外来、カテーテル治療室、MRI室が近接し、スピーディーで無駄のない動線を確保している。

救急は24時間365日対応。救急外来診療と血管内治療の2つのチームが同時に召集される。

 

HCU(高度治療室)には、患者さんの状態を見極めるため、医師、薬剤師、看護師、セラピストなどが携わっている。

HCU(高度治療室)には、患者さんの状態を見極めるため、医師、薬剤師、看護師、セラピストなどが携わっている。

医療連携室では、事務職と救命士が救急に即時対応できる体制。

医療連携室では、事務職と救命士が救急に即時対応できる体制。



熊本大学病院と密に連携し、迅速に対処

 熊本県は人口あたりの脳血管内治療医が全国的に少ないが、脳血管内治療専門医でもある杉村副理事長は、脳梗塞をトータルに診る脳神経内科医の立場から、特に重症の脳梗塞患者に対する脳血管内治療に情熱を注いできたという。同院の脳卒中治療の中心的役割を担っており、熊本大学病院脳神経内科臨床教授として、後進の指導にもあたる。
 熊本大学病院脳神経内科は同院から徒歩3分の距離。互いに密に連携しながら、地域の患者の治療にあたっている。大学病院の医師が応援に駆けつける、またはその逆もあるといい、迅速で的確な救急医療を提供するため、支え合っている。
 両院とも医療関係者専用のコミュニケーションアプリ「JOIN」を導入しており、高いセキュリティのもと、患者の診断画像や心電図などのデータをデバイス上で共有、確認ができる。そのため、その場に医師がいなくても遠隔で適切な指示やアドバイスをしたり、症例について遠く離れた医師に意見を聞いて相談したりといったチームでの遠隔医療も可能だ。


患者が抱える問題をあらゆる方向から全人的に治療

 同院は2009年、心筋梗塞や狭心症などの心疾患から末梢、下肢の血管病まで、全身の血管病に対応する「心臓血管センター」を開設。微細な病変の検出が可能な3テスラMRIをはじめ、冠動脈の状態を高い精度で観察できる128列マルチスライスCTや、二方向から血管の病変を確認できるバイプレーン型血管造影装置(アンギオグラフシステム)など先進の医療機器を用いることで、検査・解析、説明までを半日という短時間で行い、薬物、心臓カテーテル、バイパス手術など、症状に応じた治療を提供している。
 また、糖尿病代謝・内分泌内科では、糖尿病や、脂質異常症など生活習慣病を合併した患者に対して、命の危険に繋がる心疾患や脳疾患へと進行しないよう、病型や合併症状態など個々の状態に合ったオーダーメイドの治療が行われている。
 杉村副理事長は、
「脳神経内科、循環器内科(心臓血管センター)、糖尿病代謝・内分泌内科が互いに密に連携し、患者さんが抱えている問題をあらゆる方向から全人的に治療できるのが当院の強みです。全身の血管は繋がっており、一人の患者さんの頭部から下肢まで、全身の血管病に対して1つの病院でトータルに対応、完結できる体制を構築しています」
と話す。
 また、たとえば土曜日や年末に診療するといった、患者のニーズに合わせた柔軟な対応ができることも、中規模の民間病院ならでは。
「特にコロナ禍のいま、民間病院はその専門性や得意分野を生かして、地域での自らの役割をしっかりと果たしていくことが大切だと思っています」(同)

二方向から血管の病変を確認できるバイプレーン型血管造影装置を備え、血管内治療を積極的に推進。脳神経内科、循環器内科、糖尿病代謝・内分泌内科が連携し、全身の血管病に対応。

二方向から血管の病変を確認できるバイプレーン型血管造影装置を備え、血管内治療を積極的に推進。脳神経内科、循環器内科、糖尿病代謝・内分泌内科が連携し、全身の血管病に対応。

血管の状態を高い精度で観察できる128列マルチスライスCT。

血管の状態を高い精度で観察できる128列マルチスライスCT。

微細な病変の検出が可能な3テスラMRI。

微細な病変の検出が可能な3テスラMRI。



「コンパクトな基幹病院」実現へ「新病院」を建設予定

 急性期治療終了後の患者への回復期リハビリテーションも充実。ADL(日常生活動作)の向上、社会復帰を目的としたリハビリプログラムを各患者ごとに作成。医師や看護師をはじめ、リハビリスタッフや検査技師などコメディカルが一丸となり、チーム医療を実践している。
 地方では仕事や生活のため自動車の運転が不可欠な人が多いが、脳卒中による高次脳機能障害や高齢者の認知機能低下など、運転に必要な運動能力を総合的にチェックできる本格的なドライブシュミレーターを、西日本の医療施設ではいち早く導入(2019年4月)。民間の自動車学校とも提携し、きちんと運転ができるかの是非を評価。トレーニングやリハビリにも役立てている。
 2022年秋には、現在の場所を拡張し、新病院を新築する計画だ。
「現代医療に即した先進的な病院として、急性期と回復期それぞれの機能をさらに充実させ、高度な専門性を持った『コンパクトな基幹病院』へと、さらなる進化を遂げる予定です。これからも患者さんの症状に応じたさまざまな治療の選択肢を示しながら、最善の医療を提供していくことで、地域の人たちの命を守り、健康寿命の延伸に努めていきたい」
と杉村副理事長は力強く語った。

運転に必要な運動能力を総合的にチェックできる本格的なドライブシュミレーターを導入

運転に必要な運動能力を総合的にチェックできる本格的なドライブシュミレーターを導入。

急性期治療終了後の患者さんへの回復期リハビリテーションも充実

急性期治療終了後の患者さんへの回復期リハビリテーションも充実。


HOSPITAL DATA

医療法人 杉村会 杉村病院

医療法人 杉村会
杉村病院
院長/乾 誠治
〒860-0811
熊本市中央区本荘3-7-18
TEL.096-372-3322
http://sugimurakai.jp/