医療法人徳洲会 岸和田徳洲会病院

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医療法人徳洲会 岸和田徳洲会病院救命救急が充実する新・新館建設工事がスタート。
ベッド数400床の大病院に発展。

総長 東上 震一

総長 東上 震一

病院長 尾野 亘

病院長 尾野 亘

 1977年の開院以来、岸和田徳洲会病院は地域の中核病院として発展してきた。中でも救急医療に力を入れており、ヘリポートやドクターカーをいち早く導入している。さらに2022年2月に完成を予定している新・新館は、地下1階地上4階の5フロアで構成しており、1階フロアには地元の岸和田市消防署と連携した「消防救急ワークステーション」を設置。市の救急隊員が常駐して、救急の緊急要請に対してはここから現場に出動する。
「消防署支所が民間病院の中に併設されるのは全国的に極めて希です。これも当院が長年にわたって岸和田市をはじめとする自治体と良好な関係を築いてきた一つの証と言えるでしょう」(東上震一総長)
 また、2020年から新型のドクターカーである『ラピッドレスポンスカー』を運用しているが、この『ワークステーション』とも連携するため、救命医の現場到着が一層スピーディーになる見込みだ。
「新・新館完成後はベッド数が59床増えて合計400床を超えます。これは、いわゆる『大病院』のカテゴリーに入りますので、私たちも気を引き締めて、患者さんに満足していただける医療を実施していきたいと思います」(尾野亘院長)
 同院は救急医療のほかにも、心臓病治療、内視鏡を使った検査と治療などで全国トップクラスの実績がある。また、近年はがん治療も充実させており、2020年には放射線照射装置「トモセラピー」のなかでも、CT(コンピュータ断層撮影)が可能な先進機種を設置した。がんだけに集中照射できるため、周辺組織へのダメージを抑えられるほか、毎回の照射前にCT撮影するため、がんの位置を正確に捉えられるのが特徴。入院の必要はなく、通院で済むことも患者にとっては便利だ。
 将来的には介護を含めた総合的な医療サービスの構築を目指しているという。
「人生の最後まで安心して暮らせる街づくりに貢献することが、私たちの究極の目標。そのためにやれることは何かを徳洲会グループ全体で考えていきたいと思います」(東上総長)

救命救急センターが2020年4月から運用を開始した「ラピッドレスポンスカー」

救命救急センターが2020年4月から運用を開始した「ラピッドレスポンスカー」

心臓血管外科では、累計9000例以上の手術を行ってきた。

心臓血管外科では、累計9000例以上の手術を行ってきた。

大動脈弁狭窄症に対するTAVIなど、身体的負担の軽いカテーテル治療も実施。

大動脈弁狭窄症に対するTAVIなど、身体的負担の軽いカテーテル治療も実施。

がん放射線治療機器「トモセラピー」。直前にCT撮影を行い、より精度の高い集中照射を実施。

がん放射線治療機器「トモセラピー」。直前にCT撮影を行い、より精度の高い集中照射を実施。

ドクターヘリが発着するヘリポートを2015年に開設。

ドクターヘリが発着するヘリポートを2015年に開設。

JCI認証取得病院・厚生労働省 臨床研修指定病院

JCI認証取得病院
厚生労働省 臨床研修指定病院


病院沿革


特別企画 東上総長、尾野病院長 独占インタビュー掲載

2022年2月完成を目指して、新・新館の建設がスタート。
民間病院では珍しい消防署支所も併設

岸和田徳洲会病院は1977年に徳洲会グループで3番目の病院として誕生。「生命だけは平等だ」という理念を徹底的に追求して、救急医療と心臓手術、そして内視鏡治療を三本柱に発展してきた。2021年春には新・新館建設工事がスタートするが、これに伴って、既存の本館や新館のレイアウトも再考。さらに充実した医療環境を整えて、地域貢献を目指す。

東上 震一

総長
東上 震一 Shinichi Higashiue

ひがしうえ・しんいち/1954年生まれ。80年和歌山県立医科大学卒業。和歌山県立医大附属病院臨床研修医を経て、82年同病院胸部外科入局。90年岸和田徳洲会病院心臓血管外科部長、2002年同副院長、06年から現職。2016年6月から徳洲会副理事長を兼任。

岸和田市と連携する、「消防救急ワークステーション」を設置

 岸和田徳洲会病院は総ベッド数341床を備えた、大阪府南部を代表する総合病院である。2002年に現在の場所に新築・移転。06年には健診をメインにした新館を増設したが、22年2月に3棟目となる新・新館が完成予定という。
 同院総長であり、徳洲会グループの副理事長を兼務する東上震一医師は、新・新館について次のように語る。
「構想自体は10年以上前からありましたから、ようやくここまで辿り着いたという印象です。新・新館が完成すると、ベッド数が400床を超える大病院になりますので、当院にとって一つの節目になるでしょう」
 地下1階、地上4階の5フロアがあり、1階には診療室のほか、岸和田市消防署の支所「消防救急ワークステーション」も設置。市の救急隊員が常駐し、緊急連絡があれば、ここから出動することになる。
「当院では2020年4月に新型のドクターカーである『ラピッドレスポンスカー』の運用を開始しました。これは、消防署から連絡を受けて、専用車に乗り、医師と看護師が現場に向かうシステムですが、新・新館完成後には消防車と同時に出発できるようになります。私たちが最も重要にしている救急医療が一層強化されます」(東上総長、以下同)
 既存の本館と新館のリフォームも予定。中でも本館3階にはスーパーICU(集中治療室)を設ける予定だ。

2022年2月に完成する新・新館。ベッドが59床増えて400床に。本館に「スーパーICU」を新設するなど、さらに高度な治療環境が整備される。(完成予想CG)

■2022年2月に完成する新・新館。ベッドが59床増えて400床に。本館に「スーパーICU」を新設するなど、さらに高度な治療環境が整備される。(完成予想CG)

心臓の僧帽弁逆流をクリップで制御するMitraClip(マイトラクリップ)は2018年から開始。これまで手術できなかった高齢者でも可能になった。

■心臓の僧帽弁逆流をクリップで制御するMitraClip(マイトラクリップ)は2018年から開始。これまで手術できなかった高齢者でも可能になった。

同院の“ハートチーム”。心臓血管外科医と循環器内科医が協力して、TAVIなどの高度な心臓病手術を実施。

■同院の“ハートチーム”。心臓血管外科医と循環器内科医が協力して、TAVIなどの高度な心臓病手術を実施。

前立腺がんなどで手術支援ロボット「ダビンチ」を使用。傷跡が小さく済むだけでなく、術後の回復が早いことも特長。

■前立腺がんなどで手術支援ロボット「ダビンチ」を使用。傷跡が小さく済むだけでなく、術後の回復が早いことも特長。

2018年12月に医療機関の国際的な評価基準であるJCI認証を獲得。

■2018年12月に医療機関の国際的な評価基準であるJCI認証を獲得。


慢性期医療や介護を含めたトータルケアを提供したい

 東上総長は心臓外科医として功績を残してきたが、今後は発症直後の急性期だけでなく、慢性的な病気への対応や、介護を含めたトータルケアを提供していきたいと語る。
「たとえば、健診と運動をセットにしたメディカルフィットネスや、医師が常駐する集合住宅など様々に考えられます。それをリーズナブルな料金で実現できるよう知恵を絞りたい」と東上総長。岸和田徳洲会病院を中心にした、次世代の医療サービスの実現に、大いに期待したい。


尾野 亘

病院長
尾野 亘 Wataru Ono

おの・わたる/1968年生まれ。95年奈良県立医科大学卒業。2001年から岸和田徳洲会病院消化器内科勤務。2019年4月岸和田徳洲会病院消化器内科部長兼副院長。同年9月から現職。日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会認定消化器病専門医。

新型コロナでは指定医療機関として重症患者を治療

 24時間365日、患者を受け入れている岸和田徳洲会病院では、新型コロナウィルス感染症でも同様に「断らない医療」を実践している。同院では救急救命センターの28床あるベッドのうち14床を新型コロナウィルス感染症患者用としており(12月1日現在)、ECMO(体外式膜型人工肺)も稼働させている。
「当院は新型コロナウィルス感染症患者のなかでも、気管挿管が必要な重症患者に対応しています」と尾野亘院長は話す。
「もともと心臓病患者にECMOを使用するケースが少なくなかったため、その操作に熟練したスタッフが多いのが強みになっています。今後は感染者や患者数の増加が予測されていますから、対応ベッド数を増やすなどの準備を進めています」(尾野院長、以下同)
 岸和田徳洲会病院では、救命救急、心臓病、内視鏡を3本柱にしているが、尾野院長は内視鏡検査と治療を得意としてきた。
 メスを使わずに治療できる内視鏡は、身体的にやさしい医療であり、高齢者を含めて誰でも受けることができる。尾野院長はこの内視鏡をベースにした離島や僻地での医療に岸和田徳洲会病院に着任した2001年から取り組んできた。現在は同院に在籍する約30人の消化器内科医が順番に離島に赴任する体制を整えており、2019年は鹿児島県や沖縄県を中心とした20施設で1万6638件の内視鏡検査・治療を行なった。
「当院は日本消化器内視鏡学会が認定する指導施設でもあることから、内視鏡操作をマスターしようという医師が全国から集まっています。実際に内視鏡を使った検査や治療も年間約2万件と多いため、技術を早期にマスターでき、その後に離島や僻地に赴いて現場を学ぶことができる。こうした好循環があることが当院の際立った特徴です」
 人間ドックや健診では経鼻内視鏡を使用。経口型と比べて抵抗が少ないだけに、初めてでも受診しやすい。
「挿入するチューブが細くなるため、観察範囲が狭くなるのではと思う方もいますが、近年はカメラの性能が大幅にアップしているのでそんな心配は不要です。まずは気軽にお問い合わせください」

がん切除術(ESD)など内視鏡検査・治療も同院の強み。

■がん切除術(ESD)など内視鏡検査・治療も同院の強み。


医療の質を保証する国際認証JCIを更新

 先進機器の導入にも積極的に取り組んでおり、2020年には放射線センターにトモセラピーを導入。これは、複雑な形状のがんだけに集中照射することが可能で、周辺の臓器のダメージを抑えられる特徴を持つ。また、診療科では乳腺外科と形成外科を開設。さらに幅広い治療が可能になった。
 このように年々進化している岸和田徳洲会病院だが、2018年に国際的な医療機関認証であるJCIを取得しており、2021年はその更新年となる。
「日本国内の病院機能評価認証も得ていますが、国際的にも認められ安堵しました。JCIはチェック項目が1300もあり、詳細で厳しいですからね。更新審査はよりハードルが高くなりますので、万全の準備をして臨む予定です」と尾野院長は力強く語った。


救命救急センター

新型コロナウィルス感染症患者だけでなく、全ての救急患者を受け入れて、「防ぎ得る死を防ぐ」

尾野 亘

救命救急センター長
鍜冶 有登

かじ・ありと/1980年大阪市立大学医学部卒業。2011年から岸和田徳洲会病院に勤務。

 当院は新型コロナウィルス感染症患者の中でも、重症者を受け入れる医療機関に指定されているため、軽症や中等程度を診察している病院から、状態が悪化した患者さんが、毎日のように送られてきます。いうまでもなく、現場には緊張感が張り詰め、医師も看護師も懸命に治療に取り組んでいますが、私たちの患者はそれだけではないということも意識しています。つまり、コロナ禍であっても、心筋梗塞や脳梗塞、あるいは交通事故などほかの要因で運び込まれる患者さんを断らないということも重視しています。
「プリベンタブル・デス」(防ぎ得る死)を防ぐことが、私たち救命救急医の使命です。ですから、コロナ患者対応でいっぱいなので、他の患者さんを断るということは絶対にしません。そのようなことがないように人員配置も工夫しています。
 当院では2020年4月に新型のドクターカー「ラピッドレスポンスカー」を導入しました。これは、消防署の要請に即応して、現場に医師と看護師が向かうシステム。現場での治療後に運び込まれる病院は、当院ではないこともありますので、その搬送先病院への医師に、症状を適切に説明するのも私たちの役割ですから、他院との連携がますます大切になるでしょう。
 2022年完成予定の新・新館には消防署の支所が設けられるため、さらに迅速な救急医療が可能になります。私たちスタッフも一人でも多くの命を救えるように努力したいと思います。

ラピッドレスポンスカー

ラピッドレスポンスカー

HOSPITAL DATA

医療法人徳洲会 岸和田徳洲会病院

医療法人徳洲会 岸和田徳洲会病院
〒596-8522 大阪府岸和田市加守町4-27-1
TEL.072-445-9915(代表)
https://kishiwada.tokushukai.or.jp/


【診療科目】 内科/消化器内科/循環器内科/神経内科/外科/整形外科/形成外科/脳神経外科/心臓血管外科/産婦人科/小児科/皮膚科/泌尿器科/耳鼻咽喉科/眼科/歯科口腔外科/放射線科/麻酔科(大前典昭・佐谷誠・高木治・土屋正彦・武貞博治)/病理診断科/リハビリテーション科/救急科/心療内科/呼吸器内科/腎臓内科/消化器外科/歯科