病院の実力2021 > おおたかの森病院

医療法人社団 誠高会 おおたかの森病院高度な急性期医療を実践し
患者さんの退院後も考える病院へ

つくばエクスプレスの開通とともに開院した「おおたかの森病院」。開院15年で救急医療や高度急性期医療に対応した体制を盤石なものにしつつある。千葉県柏市の地元のみならず、同院の高度な医療を頼るエリアは拡大している。

松倉 聡

院長
松倉 聡

まつくら・あきら/ 1993年東京大学医学部卒。同大学医学部附属病院第2外科入局。99年国立がんセンター中央病院 肝胆膵外科チーフレジデント、01年東京大学附属病院 肝胆膵・ 人工臓器移植外科 助教。05年よりおおたかの森病院院長、13年医療法人社団誠高会理事長就任。日本外科学会認定外科専門医、日本肝臓学会認定肝臓専門医。


 2020年に開院15周年を迎えた「おおたかの森病院」。365日24時間体制で治療を行う急性期病院でありながら、難易度の高い肝胆膵疾患の手術や、最新の腹腔鏡を用いた手術などの高度な医療需要にも応え、地域と共にある病院の地歩を固めてきた。
「急性期病院とは、教科書的な治療をきちんと行い、患者さん・近隣の病院・救急隊などから信頼される病院のことだと考えています。そして、そんな医療ができる病院を作ってきたと自負しています」と松倉聡院長は語る。
 教科書的な治療を当たり前のように行うことは実は難しい。人の体は解剖図のように一律ではない。部位によってはその構造に差違があり、検査や手術には経験と知識が必要だ。また、手術中に他の臓器に影響を及ぼすこともあり他科の専門医の力も必要になる。科目を超えた医師同士や医師とコメディカルとの綿密な連携が重症患者の治療には欠かせない。
「豊富な知識と経験を持ち、確かな技術が伴うことで基本的な治療ができる“チーム医療”の形成が救急医療には必要なのです」 その“チーム医療”も日々の取り組みの中から生まれる。
「院内のカンファランスや症例検討会、院外から人を招聘してのワークショップの開催や、コメディカル・スタッフの学会参加なども知識欲とやる気を刺激しています」
その最たるものとして循環器内科では、国内外の学会に向けて同院のカテーテル手術のライブ配信を行っており、医師・看護師・臨床工学技士などが一致協力して準備から実施まで行っている。このような取り組みを知った向上心豊かな新しいスタッフも徐々に集まり、人材の底上げにも繋がっているという。一方で、高齢者医療の在り方が大きな問題になっているが、この点について松倉院長は、「現在、救急医療や急性期医療の中心を占めるのは、じつは高齢者です。当院も高齢者医療に関しては、病院側が患者さんの退院後のケアのことまできちんと考え、地域の医療施設としっかり連携する必要があると考えています」そして、それでこそ地域包括ケアが成り立つとも語る。
 救急治療に注力した結果、患者さんの搬送も増えている。手術件数などから考えると倍の病床を持つ病院と同程度のパフォーマンスを見せてきたが、入院の余地がなくなってきた。そこで、同院は2020年5月に地域包括ケア病棟を稼働させ、11月からは新たなICUとHCUを整備し、282床の中規模病院として受け入れ枠を広げた。「地域の中で患者さんをきちんと受け入れ、きちんとお帰しできる体制が整いました。拡張した新施設と更なるチーム医療で、今後も地域に貢献していきたい」と松倉院長は熱く語った。


外科

高い専門性を持ち安全確実で低侵襲の治療を目指す

高い専門性を持ち安全確実で低侵襲の治療を目指す
 外科は、肝臓、胆のう、膵臓、食道、胃、大腸などの消化器系と、肺、乳腺、甲状腺などの呼吸器・内分泌系が対象。手術室4室、専門医の資格を持つ常勤医8人の充実した体制で専門性の高い医療を提供している。特に「手術で病気を治すだけでなく、いかに安全確実で、低侵襲の治療をめざすかが大事」という考えに基づき、患者の体への負担が少なく、手術創が1つで済む単孔式腹腔鏡下手術(SILS)を積極的に実施している。


整形外科

救急外傷から人工関節置換術まで広く対応

救急外傷から人工関節置換術まで広く対応
 整形外科は、骨・筋肉などのけがや病気を治療するプロフェッショナル集団だ。骨折などの外傷に24時間救急対応する他、高齢者の変形した関節を人工の関節に置き換える「人工関節置換術」などの手術治療も最新の知識と技術をもって行っている。高齢者の健康と運動には密接な関係がある。超高齢社会を運動器の健康という側面から支える診療科であり、そのニーズは年々高まっている。


心臓血管外科

大動脈の診療に強み 緊急手術に24時間フル対応

大動脈の診療に強み緊急手術に24時間フル対応
 急性大動脈解離や大動脈瘤破裂など、救命救急医療に365日24時間対応する心臓血管外科は手術件数の約半数が緊急手術だ。専用の手術室を整え、緊急時には県内外からのドクターヘリによる搬入も受け入れている。特に大動脈の診療には力を入れており、同院では胸部51件、腹部14件という屈指の手術件数を誇っている。また、難易度の高い胸腹部大動脈瘤に対しても、より低侵襲なステントグラフト留置術を行っている。


循環器内科

命を救う治療体制を整備 カテーテル治療は完成域に

命を救う治療体制を整備カテーテル治療は完成域に
 循環器疾患には急性心筋梗塞、急性心不全など一刻を争うものが多い。循環器専門の医師が24時間体制で待機し、迅速な治療を行うことが患者の生命を救うと考え、その治療体制を築いている。また、救急隊と直接連絡を取る柏ハートネットに参加することで、搬送中に準備が整い、多数の患者を救っている。2016年からは国の認可を受け、石灰化など難度の高い病変のロータブレーターによるカテーテル治療にも積極的に取り組んでいる。

HOSPITAL DATA

医療法人社団 誠高会
おおたかの森病院
〒277-0863
千葉県柏市豊四季113
TEL.04-7141-1117 FAX.04-7141-1116
https://www.otakanomori-hp.com/