救急・脳卒中治療に強い病院
IMSグループ 医療法人社団 明芳会
脳卒中で救命を果たせるか、後遺症を残さずにすむかは、迅速かつ的確な急性期治療にかかっている。横浜新都市脳神経外科病院は、多職種からなる選りすぐりのメディカルチームが、血管内治療と外科的治療のメリットを生かしたハイブリット治療を提供。全国でも稀有な21床のSCU(脳卒中ケアユニット)を有し、予防的治療から回復期リハビリテーション、維持期、慢性期の治療まで怠りない。24時間365日、地域の中核病院として、切れ目のない脳卒中医療に尽くしている。
病院長
森本 将史
もりもと・まさふみ/1993年京都大学医学部卒業。2002年京都大学大学院医学研究科修了。同年Center for Transgene Technologyand Gene Therapy(ベルギー)留学。国立循環器病センター脳神経外科、福井赤十字病院脳神経外科副部長、北原脳神経外科病院 副院長を経て2010年横浜新都市脳神経外科病院脳神経外科部長。2011年より現職。脳血管障害を専門とする。医学博士。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。日本脳卒中学会評議員。
急性期脳卒中の治療は時間との勝負。1分1秒が生命予後と機能予後の明暗を分ける。
横浜新都市脳神経外科病院では、質の高い治療を迅速に提供するため、24時間365日、森本将史院長率いる脳卒中チームが救急治療の最前線を担う。コアとなる専門医は7名の日本脳神経外科学会認定脳神経外科認定医、7名の脳神経血管内治療学会認定脳血管内治療専門医だ。
加えて脳卒中リハビリテーション認定看護師5名ほか麻酔医、放射線技師、薬剤師、理学療法士などの多職種が参画。SCU専属スタッフとも連携しチーム医療にあたる。森本院長は「地域の救急隊とは綿密な協働体制があり受け入れ要請は断りません。脳外科の年間3589件(202000年1月~12月)の救急搬送中644件が脳卒中でした」と語る。
特筆すべきは救急搬入から治療開始までの時間が40分以内と極めて短いことだ。
「一般には60分以内でもハイレベルとされます。処置や検査のタイムロスをなくすため、脳卒中に携わる部署の代表が集まるアキュートストローク委員会で毎月全例をチェックし、チーム全体にフィードバックするなど努力を重ねてきた成果でしょう」
検査機器も充実し、MRIは最新の3テスラを含む3台が稼働。CTと共に細密な立体画像を即座に描出でき、血管の透視画像を多面的に撮影する血管造影(アンギオ・グラフィ)室も2室が常にスタンバイ。最速で的確な検査→診断→治療を目指すルートがしっかり構築されている。
同院の一番の特徴は、脳卒中の「ハイブリッド治療」を提供できることだ。すべてのスタッフがメスを用いて開頭する「直達手術」と、カテーテルによる「血管内治療」に通暁しており、患者の状況により臨機応変にシフトが組まれる。
「患部の位置や病態、既往歴などにより、どちらの手技が安全性が高く、予後がよいか異なります。当院では熟練した専門医が一丸となり、総合的・長期的な判断を下します」
ハイブリッド治療が最も奏効するのはくも膜下出血だ。破裂した脳動脈瘤を挟んで止血する直達手術の「クリッピング術」と、瘤内に極細コイルを送り込む血管内治療「コイル塞栓術」の2択がある。
「以前はクリッピング術が主流でしたが、今は7~8割が血管内治療です。ダメージを受けた脳の温存に優れ、症状の改善率が上がりました」。
一方、脳卒中の症例で最も多いのが、血栓のために脳動脈が閉塞する脳梗塞だ。近年は足の付け根の血管からカテーテルを用い、血栓を回収する「急性期血行再建術」に積極的に取り組んでいる。
「2015年に医学雑誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ メディシン』に血栓回収法の高い有効性を示す論文が一挙5本掲載され、2017年には、症例により発症後24時間までは十分な治療効果が望めるとの論文も発表されました。画像診断で救える神経細胞(ペナンブラ)が確認できる限り、当院スタッフは全力で取り組む。2020年は96例で、これは全国でも有数の実績です」
血栓回収デバイスは、特殊ステントでからめ取るステント方式と、ポンプによる吸引方式、双方を組み合わせたコンバイン方式の3タイプ。症状によってセレクトされる。
これら急性期脳卒中治療のバックアップには、SCU(脳卒中ケアユニット)が欠かせない。血圧や頭蓋内圧の管理、浮腫や再出血への対応など脳卒中に特化した高度集中治療を実施するほか、超早期のリハビリも開始する。
「2020年秋にSCUを18床から21床に増床しました。この床数は全国でも稀有。SCUは一般病棟と比べて、死亡率の減少、在院期間の短縮、自宅退院率の増加、ADLの高い改善率などのメリットがあげられます」
一方、同院は進歩が目覚ましい脳卒中の予防的治療にも力を注ぐ。たとえば、くも膜下出血の原因となる未破裂脳動脈瘤は、直径が概ね5㎜以上で徐々に大きくなるものが予防的治療の対象となる。前述のクリッピング術とコイル塞栓術に加え、最新の血管内治療「フローダイバーターステント治療」も行っている。
「これは繊細な金属メッシュのステントを、脳動脈瘤に留置することで、瘤内への血液流入を減らし、瘤内の血液を血栓化して固める治療です。概ね半年、MRIで経過観察しながら血栓化の完了を確認します。メリットは動脈への負荷が非常に少ないこと。ただし瘤の形が細長いと血栓化しにくいなど不適応例もあるので、専門医の慎重な診断が必要です。現在この治療の認可を受けている施設は全国で80件のみです(2020年12月末)」
脳梗塞の原因となる「頸動脈狭窄症」の予防的治療も見逃さずに治療に積極的だ。
「頸動脈の内側に固まったプラークが脳動脈に飛んでしまうと脳梗塞が起こります。治療は狭窄部位をステントで広げる『経皮的頸動脈ステント留置術』と、メスで頸動脈を切開しプラークを切除する『動脈血栓内膜摘出術』のいずれかを選択します」
こうした予防、急性期治療に加え、回復期リハビリ病棟を60床備えるなど、回復期や維持期、慢性期の治療も手厚い。
市民公開講座では、脳卒中の温床となる生活習慣病や、脳ドッグの案内など様々な情報を発信し啓蒙に努める。
「磨かれた高いチーム力で、切れ目のない質の高い脳卒中治療を提供する」
創設以来のモットーが、地域を大きな安心で包み込む。
IMSグループ 医療法人社団 明芳会
横浜新都市脳神経外科病院
〒225-0013 神奈川県横浜市青葉区荏田町433
TEL.045-911-2011
https://www.yokohama-shintoshi.jp/
■許可病床数/317床
■受付時間/8:00~11:30、13:00~16:00(土曜午後休診)
■休診日/日曜、祝日
■診療科目/脳神経外科、整形外科、内科、循環器内科、リハビリテーション科