約2000年前、医学の父・ヒポクラテスは「全ての病気は腸から始まる」と語ったと伝えられますが、まさに今、それが事実であることが次々に解明されています。
私たちの腸にある1000種類以上の腸内細菌は多種多様な働きをします。ビタミンやアミノ酸をつくる、炎症を抑える、運動機能や自己免疫に関わるなどのほか、メンタル面にまで影響を及ぼすことがわかっています。
そして、腸内細菌が老化にも関わっていることも明らかになってきました。マウスの実験では70歳のからだを60歳まで若返らせることに成功しています。老化は治療できる時代になり、どんどん研究が進んでいます。
若返りの薬はもはや夢ではありませんが、高脂肪で高たんぱく質な食事、糖分を摂り過ぎていると腸は老化し、それが全身の老化にもつながっていきます。
基調講演1
腸が変われば、未来が変わる
~老化とビフィズス菌のつながりとは?~
京都府立医科大学大学院教授
内藤 裕二先生
内藤 裕二先生
腸はすべての健康につながる
ビフィズス菌は認知機能にも関与
ビフィズス菌は腸の働きをよくし、免疫力を高める腸内細菌で、動物やヒトのからだ、特に日本人の腸に多く存在します。120年ほど前にフランスの小児科医が乳児の便からの分離に成功し、これを難治性下痢の患者に投与したところ、症状が良くなったという事例が発表されました。
私は、100歳以上の方が多く、しかも認知症の疑いのある方が少ないという京都の京丹後市を中心とした地域で長寿の研究をしています。ここで800人を対象に腸内細菌を調べたところ、驚くべきことに認知機能がしっかりしている人ほどビフィズス菌が多いことがデータで示されました。
この地域の人たちは野菜を中心に魚や海藻類を食べておられます。また鶏肉や牛乳をしっかり摂ることも健康長寿には必要で、このような食事がビフィズス菌の増加に関わっているのではないかと推測しています。
私は、100歳以上の方が多く、しかも認知症の疑いのある方が少ないという京都の京丹後市を中心とした地域で長寿の研究をしています。ここで800人を対象に腸内細菌を調べたところ、驚くべきことに認知機能がしっかりしている人ほどビフィズス菌が多いことがデータで示されました。
この地域の人たちは野菜を中心に魚や海藻類を食べておられます。また鶏肉や牛乳をしっかり摂ることも健康長寿には必要で、このような食事がビフィズス菌の増加に関わっているのではないかと推測しています。