企画・制作:読売新聞社ビジネス局広告
4月24日から26日まで福岡市で、第67回日本リウマチ学会総会・学術集会を開催しました。コロナ後初の全面対面開催で、参加者は国内外から6000人を超えました。リウマチ治療は21世紀に入って進歩し、適切に治療すれば普通に暮らせる病気になってきました。でも、まだまだ皆さんに理解していただいているとは思えません。本講座を通じて、「何となく普通に暮らせる気がしてきた」という気持ちになっていただければ幸いです。
関節リウマチでは、関節を覆っている滑膜(かつまく)に炎症が起こると新しく血管ができます。すると、本来身体を守ってくれるリンパ球が血管を通ってどんどん出ていく。そして関節の組織を細菌やウイルスと間違って壊してしまい、痛みや腫れを引き起こし、最終的には関節を破壊します。
最近の研究では環境要因が大きいとされ、喫煙や歯周病、腸内細菌の乱れ、肥満などが挙げられます。また、多くの日本人は白血球の中にリウマチになりやすいと言われている遺伝子を持っています。さらに、感染症、骨折、妊娠・出産、強い精神的ストレスなどが発症の引き金になると言われています。
医師はまず、滑膜の炎症を止めて、全身への影響を食い止めます。推奨している治療の考え方としてT2T(Treat to Target:目標達成に向けた治療)があります(※)。患者さんと相談して治療目標を決めます。登山で言えば頂上である「寛解(かんかい)」を目指すのか、7合目にあたる「低疾患活動性(ていしっかんかつどうせい)」にするのかを話し合います。
重要なのは医師と患者さんが相談しながら服薬を続けること。そして一旦、寛解や低疾患活動性になったら、その状態を保ち続けなければいけない。それがポイントです。
※ … Smolen JS,et al:Ann Rheum Dis, 69, 4:631-637(2010)
デモンストレーター
田中 良哉氏
患者モデル
坂口 綾子氏(公益社団法人 日本リウマチ友の会 福岡支部 支部長)
田中良哉氏がデモンストレーター、日本リウマチ友の会福岡支部長の坂口綾子さんが患者モデルになり、診察と診断、治療方針の決定をステージで再現しました。
田中氏は問診の後、肩や腕のつけ根、手足や指など計28カ所の関節を触り、痛みや腫れのある関節を確認しました。続いて、目の渇きや唾液腺、リンパ腫の腫れなどをチェック。さらに血液検査や罹病(りびょう)期間、患者さんの全般評価(VAS)など、坂口さん自身の詳細を参考に疾患活動性を評価しました。坂口さんは寛解(かんかい)を目指しており、田中氏が今後の治療方針について説明しました。
竹内 勤氏
今回の市民公開講座は第67回日本リウマチ学会総会・学術集会が主催しました。開会した4月24日までは私が日本リウマチ学会の理事長だったのですが、交代いたしまして、新たに田中良哉先生が新理事長に就任されて、日本のリウマチ学会を牽引(けんいん)していただくことになりました。田中先生には学術集会のみならず、この市民公開講座を挙行していただきまして、このように多くの皆さまに視聴していただいて、診察のデモンストレーションも行っていただきました。皆さまにも大変役に立ったのではないかと思います。