第4回IgG4関連疾患国際シンポジウム・第13回日本IgG4関連疾患学会 〜それってなんの病気?原因不明の免疫異常〜 2021年12月4日(土)開催

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原因不明の免疫異常 igG4(アイジージーフォー)

全身の臓器に炎症が起きるIgG4(アイジージーフォー)関連疾患をテーマにした市民公開講座「~それってなんの病気?原因不明の免疫異常~」(日本IgG4関連疾患学会事務局主催、厚生労働省、読売新聞西部本社など共催)が12月4日、北九州国際会議場で開かれ、講演やパネル討論がありました。コロナ対応のため無観客で行われました。

講座は、12月2〜4日に対面とオンラインで開催された第4回IgG4関連疾患国際シンポジウム、第13回日本IgG4関連疾患学会に合わせて企画されました。

Speakers 講演者プロフィール

中村 誠司先生
(なかむら・せいじ)

厚生労働省科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)「IgG4 関連疾患の診断基準並びに診療指針の確立を目指す研究」班 班長

九州大学大学院 歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 顎顔面腫瘍制御学分野 教授

九州大学大学院 歯学研究院長・歯学府長・歯学部長

梅原 久範先生
(うめはら・ひさのり)

市立長浜病院 リウマチセンター センター長

川野 充弘先生
(かわの・みつひろ)

日本IgG4関連疾患学会 理事長
金沢大学附属病院 リウマチ・膠原病内科 診療科長

岡崎 和一先生
(おかざき・かずいち)

関西医科大学 理事・名誉教授
関西医科大学香里病院 病院長

田中 良哉先生
(たなか・よしや)

第4回IgG4関連疾患国際シンポジウム 会長
産業医科大学大学院 医学研究科長
産業医科大学医学部第1内科学講座 教授

司会
奥田 美香子
(おくだ・みかこ)

Panel Discussion パネルディスカッション

早期に診断、適切な治療を

パネル討論での発言(要旨)は以下の通りです。

  • 唾液腺が腫れている患者さんが少なくないことを口腔外科専門医として感じ、研究に関わるきっかけになりました。啓発活動と医療体制づくりが大切だと感じています。

    中村
  • 高齢のIgG4の患者さんには出来るだけステロイド治療をしないようにしています。

    梅原
  • 「もしかしたら」と思って膵臓を調べたらIgG4でした。知り合いの眼科医もバセドウ病かと思ったらIgG4だったそうです。専門領域を超えてこの疾患を疑ってほしい。

    川野
  • 膵臓がんと見分けるために必ず細胞を調べています。

    岡崎
  • 指定難病は自己負担の大部分が軽減されるので、費用面で不安にならないでほしい。知っていただき、周囲に知らせ、患者さんが早期に適切な治療を受けられる努力をしてゆきましょう。

    田中

Keynote Speech 基調講演

診療ガイドラインを作成

厚生労働省 難治性疾患政策研究事業「IgG4 関連疾患の診断基準並びに診療指針の確立を目指す研究」班 班長
中村 誠司先生(なかむら・せいじ)

IgG4と呼ばれる抗体の数値が高くなり、涙腺や唾液腺、膵臓、胆管など全身の臓器が腫れます。全身疾患としての全体像が日本で明らかにされ、世界に報告しました。国の難病に指定され、国内患者数1〜2万人。研究事業班で診断と診療の指針を作成しています。

共通してIgG4が高い数値

市立長浜病院 リウマチセンター長
梅原 久範先生(うめはら・ひさのり)

発見に至るまでは、膵臓疾患とミクリッツ病・シェーグレン症候群という二つの流れがありました。眼科や甲状腺、消化器、リウマチ、腎臓など様々な臓器の専門医が多くの論文を出し、共通してIgG4の数値が高いことに行き着いて、一つの病名に統一されました。

初期にアレルギー症状

日本IgG4関連疾患学会 理事長
川野 充弘先生(かわの・みつひろ)

初期にぜんそくや花粉症などアレルギー症状が出ます。さらに唾液腺や涙腺、リンパ節、膵臓、腎臓などが腫れます。「沈黙の臓器」と言われる腎臓では悪性腫瘍と疑われやすいです。最初に見つかる病変は「氷山の一角」で、その下に様々な臓器の病変が隠れています。

胆管・膵臓がんと紛らわしい

関西医科大学香里病院 院長
岡崎 和一先生(おかざき・かずいち)

63歳男性の膵臓に5センチの腫瘍が見つかりました。がんを疑いました。ところが組織検査や手術でもがん細胞は見つかりませんでした。国の指定難病は肝臓・胆道は9疾患、膵臓は3疾患ありますが、IgG4と非常に紛らわしいです。患者さんは高齢の男性が多いです。

ステロイドが特効薬

産業医科大学第1内科学 教授
田中 良哉先生(たなか・よしや)

IgG4は医師国家試験にも出題されている新しい概念の疾患です。特効薬の副腎皮質ステロイドで多くの患者さんが改善していますが、副作用があり感染症にも弱い。重要な時に使い、半年~3年でゼロを目指します。早く新しい治療方法が確立されることを願っています。