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異文化間の接触場面におけるさまざまな問題をひも解く

リサ・フェアブラザー
外国語学部英語学科准教授

どうやって友人を映画に誘いますか?

リサ・フェアブラザー 外国語学部英語学科准教授

 皆さんは、友人を映画に誘うとき、どんなふうに声をかけますか?
まずは「今度の週末、空いてる?」などと、相手に予定が入っていないことを確認してから、「実は見たい映画があるんだけど、一緒にどうかな」と本題を切り出す。

 日本ではごく当たり前のやり取りですが、海外で同じことをすると、「回りくどい」という印象を与えてしまうことがあります。本来、私たちは、円滑な人間関係を維持するためにさまざまな言葉を活用しています。しかし、その使われ方しだいでは、意思の疎通に何らかの摩擦が生じてしまう可能性があるのです。そこで、異なる背景をもつ人々が実際に参加している「接触場面」のあり方を探っていくのが、私の専門分野です。

「なぜ、こうなるのか」を考え抜く

 この数年の研究テーマは、大きく2つあります。一つは、「日本人が海外に留学する際、いかなる問題が起こり得るか」ということです。友人関係はどうやって築けばいいのか。
うまく授業に参加するためには。先生との付き合い方は──。これらは単に語学力のレベルだけでなく、英語をどのように使い、どう自分を表現するかということも影響しています。

 そしてもう一つは、「多言語が使用されている職場で発生する課題」に関してです。
グローバル化が進むこの社会においては、多様な国の人々と共に働く機会が増えています。
日本語、英語、中国語、韓国語、ヨーロッパの各言語──。それぞれの無意識の言動が実はトラブルのタネとなっていた。そのようなケースは、決して珍しくないのです。

 さらに相手の態度などによって、自分の経験も変わっていくでしょう。
また、職場での上下関係とは別に、使用言語によっても力関係が生じるケースが多いです。

 こうした研究の成果をふまえ、授業では、学生たちに多くの事例を投げかけます。
そのねらいは、「この場合ではこうすべきだ」など、トラブルを回避するためのテクニックを伝えることではありません。自分ならどうする? なぜこんな結果になる?

 人間と人間の関係に、絶対的な答えはありません。ですから、意識を高め、考え抜く習慣を身に付けてほしいと思っています。

英語はすべて同じではない

 英語は、英米はもちろんのこと、カナダ、オーストラリア、アジア、アフリカの諸国、さらにはグローバリゼーションとともに世界中のビジネス場面で使われており、その使用範囲も拡大しています。ただし、言語というものは、常に変化し続けていく存在でもあります。

 例えば「vest」という単語を例に挙げると、アメリカならシャツの上に重ねる服を意味しますが、イギリスでは下着のことを指します。また、同じ国の中であっても、いわば方言のように話し方や文法が違っているケースなども、数え上げればきりがありません。
つまり、一口に英語といっても、その背景には国民性や地域性が深くかかわっているのです。

 本学の英語学科には、「読む・聞く・話す・書く・考える」がバランスよく向上するカリキュラムに加えて、社会学、歴史、文化、文学など、幅広い専門分野が用意されています。
いろいろなことを吸収しながら、ぜひ、異なる背景をもつ人々によるコミュニケーションについて、視野を広げてみてください。

リサ・フェアブラザー 外国語学部英語学科准教授
リサ・フェアブラザー
外国語学部英語学科准教授

社会言語学の観点から異文化間の接触場面を研究している。特に日本の多言語職場と留学先でのインターアクションに焦点を当てている。最近の論文:「Simple management in contact situations」Journal of Asian Pacific Communication(共著)2012年。

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